「50歳で更年期症状が・・・」大塚寧々さんの向き合い方とは

誰にでも訪れる更年期に対して、万全に予習して対策する人もいれば、今回の大塚寧々さんのように「来たらそのときに考える」という人もいます。十人十色の症状と同じように、ひとりひとりの受け止め方、考え方も違うのです。

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○ 大塚寧々さん(55歳・女優)

1968年6月14日、東京都生まれ。1992年から俳優活動を開始。2024年1月5日スタートの金曜ナイトドラマ「おっさんずラブ-リターンズ-」(金曜夜11時15分〜・テレビ朝日系)に出演。


ホットフラッシュで扇子が
手放せなかった時もあるけれど
無理せずマイペースを心がけました

私が更年期症状を感じたのは50歳前後の時。気温が高くないのにもかかわらず、体だけは暑くて汗が出てくるような症状に見舞われました。体の内側がほてって(*1)いるような不思議な感覚で「これがもしかしたら更年期なのかな?」と感じつつも、特に対処はせず、扇子であおいでしのいでいました

同時に、40代のころよりも体力が少し衰えてきた感覚もあり、疲れやすかったりだるかったりしたことも。それが更年期症状なのかが分かりませんでしたが、私はもともと楽観的で大雑把なタイプ(笑)。まぁいっか、そのうち良くなるかもと思っているうちに、なんとなく症状が収まり、55歳の今ではほとんど不調は感じなくなりました

もともと割と冷え性だったこともあり、体のほてりを感じたときは少し驚きましたが、特に婦人科でホルモン検査をしたり、更年期について調べたりしませんでした。もちろん50歳前後に更年期という時期が訪れるという知識はありましたが、自分に症状が出たらそのときに対処すればいいと思っていました。同世代や年上のお友達はサプリなどを飲んだりしながら対策している人もいましたが、私は特に何もしませんでした。

そうやって50代前半をなんとなくやり過ごせてきたのは、もしかしたら太極拳のおかげなのかもしれません

【*1・体のほてり】

更年期症状の場合のほてりやのぼせといった症状は「ホットフラッシュ」とも呼びます。外気温は高くないのに、体の内側がカッと熱くなるもので、1日に数回起こることも。主な原因としては、卵巣機能低下、ホルモンバランスの乱れによる自律神経の不調にも影響していますが、その他、加齢に伴う身体的変化、心理的要因、環境要因が複雑に絡み合っているとも考えられています。重い症状の場合は放置せず、婦人科に相談を。

◇ 7年間続けてきた太極拳

— 日本大学芸術学部のご出身で、俳優活動のほか写真家などクリエイティブな活動もされている大塚寧々さん。自然体で、ナチュラルなイメージそのまま、年齢を重ねたうえでの体調不良や不調などの変化に対しても「あるがままを受け入れ、あらがわないように」されていると言います。

そんな心持ちでいられるのも当時やっていた太極拳のおかげかも、と言います。太極拳は、全身に気を巡らせることで血行やリンパの流れを良くし、自然治癒力をアップさせたり、深い呼吸を行うことで自律神経のバランスを調整する効果があるとか。更年期はホルモンバランスの乱れによる自律神経の乱れが原因のひとつ、とも聞くので実は結果的にとても良かったのかもしれません。

太極拳を始めたのは母のケガがキッカケです。腰を圧迫骨折し、一時は杖をつかないと歩けないような状態になっていたんですが、回復して家族で香港に行った際、太極拳教室に参加した母が1回の太極拳で劇的に不調が回復したんです。母が言うには、腰のあたりから血液が下半身に向けてどんどん流れていくような感じがしたそうです。散歩からホテルに戻るときに、急に雨が降ってきたんですが、杖なしで走ることができたんですよ。「太極拳って、もしかしたらすごくいいかも!」ということで、帰ってから母が教室に通うことになって、私も同行するうちに、気づいたら一緒にやっていました(笑)

今は、運動は散歩ぐらいです。散歩もウォーキングというような、基礎代謝のアップを狙うようなモチベーションがあるものではなく、気ままにその日の気分に合わせての本当のTHE 散歩。冬場であれば朝起きたときに白湯を飲みますが、夏場は飲まないですし、人様にお伝えするような健康美容ネタが本当にないんです(笑)。自然体というと聞こえはいいですが、私は〝適当〟なタイプですみません。

スケジュールなども、流動的にフレキシブルに考えます。例えばスーパーに買物に行こうと予定を立てていても、ちょっと疲れているように感じたら「今日はもう、いっか」「行くのをやめて、家にあるもので作ろうかな」みたいな。それこそネギと卵だけでチャーハン作ればいいよね、という感じ。そうでなくてはならない、それがなきゃダメという縛りをなくしたほうが、私にとっては〝ストレスレス〟なんです。無理をしない。休みどきを見つけてうまく休む。時間管理も体調管理も含めて、必要以上の緊張感を持たないようにする。それが更年期を楽に過ごす私なりのコツかもしれません。

◇ 若い頃と違って来るのが当たり前。「まあ、いっか」が合言葉

— STORY世代は一生懸命世代。家族の忙しさや人間関係、仕事など、自分以外のことで時間を奪われる環境の中、ついつい頑張りすぎてしまうことが多いもの。ちょっと無理がきたなと思ったら自分に休むことを許可していい、という大塚さんの言葉がとても新鮮でありがたく感じられます。肩の力を抜いてリラックスすることこそ、40代に必要なんだと気付かされるのです。

更年期は誰にでも訪れるものかもしれませんが、人それぞれ、症状が違うと聞いています。だから一概には「○○すればいい」とは言えないと思います。誰かにとって良かったものも、他の人にとっては合わないかもしれない。今は世間的に更年期が以前よりも注目されているようで、昔よりもオープンに語れるようになった分、情報も溢れていますが、あまり深刻に調べすぎて考えすぎちゃうのは、時には自分を追い詰めてしまうような気がします。自分のストレスや体調にそんなに真正面から向き合わないほうがもしかしたらいい時もあるかもしれません。直感や感覚に従うことが大事なんじゃないでしょうか。

なので私の場合は、下調べや予習しないで症状が出て初めて「自分には何が合うのかな」と考えてみた気がします。気が向いたら好きな音楽を聴いたり、アロマオイルで香りを楽しんだりして自分をいたわる。食べたいものを食べる。また、全然違う景色の中に自分を置くことを大切にしています。ちょっと遠出して鎌倉に行ったり、山の方に行ったり。景色や空気感が違うだけでも全然気分が違ってきます。自分が楽しくなること、自分が夢中になれることをしてみるのもおすすめです。

今の私だったら野菜作りに夢中。土を触ったりしていると落ち着きます。この間はごぼうを収穫して抜きました。でもごぼうって抜くのがすごく大変なんです。スコップで掘って掘って、それでもなかなか抜けなくて。土の中に長細く根付いていますからまさに正しく根菜ですよね。きんぴらごぼうにしたらおいしかったのですが、これからごぼうはお店で買おうと思いました(笑)。

私は〝なんとなく〟更年期は過ぎていったような感覚があります。大切だなと思うのは、私にとっては〝考えすぎない〟ことでした。そして、ちょっときついなと思ったら無理しないこと。いつもの調子が出ないと思ったら、その状況を受け入れてペースダウンするようにしました。例えば、昔のレコードで言えば、シングル盤の45回転だったものをLP盤の33回転にしてみるようなイメージで、ちょっと速度をゆっくりめにしてみてもいいのではないでしょうか。

50代となればもう30代や40代ほどの気力や体力がなくて当たり前です。それを「昔はできたのに、もう若くないんだ」などと思って落ち込まないようにする。どんな自分でもどんな状況でも楽しもうという気持ちを持てば更年期以降、心身ともに健やかに過ごせるのではないでしょうか。

コート¥49,500バッグ¥18,700(ともにハウス オブ ロータス/ハウス オブ ロータス 二子玉川店)ニット¥162,800パンツ¥75,900ベルト¥24,200(すべてペレック/タク&コー)ブーツ¥57,200(ロランス/ザ・グランドインク)ペリドットリング¥279,000(マリハ)

撮影/田頭拓人 ヘア・メーク/福沢京子 スタイリスト/安竹一未 取材/柏崎恵理 撮影協力/鎌倉 夏椿 ※情報は2024年2号掲載時のものです。

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