宮澤エマさん「祖父(宮澤喜一元首相)は働く女性を応援する、自由な考え方の人でした」

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「今をどう生きるか、自分で決めていい」。
年齢、結婚、キャリア、家族との関係――人生の選択に迷いがつきまとうアラサー世代にとって、「正解」はひとつじゃない。30代を迎えた宮澤エマさんに、自身の経験から見えてきた“自分らしく生きるヒント”をインタビュー。そこには、プレッシャーや常識にとらわれない、しなやかな強さがありました。

Profile

祖父は元首相・宮澤喜一、父は元駐日米主席公使。2012年に芸能界入り後、舞台・ドラマ・映画と多方面で活躍。近年はNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』、TBS火曜ドラマ『初恋DOGs』や映画『国宝』に出演。演技力に定評がある実力派。

「このまま終わりたくない」から始まった、“アラサー期の選択”

――CLASSY.読者は主に25〜35歳の働く女性です。宮澤さんがアラサー世代だった頃、印象に残っている経験や、やっておいてよかったことはありますか?

私の場合、30代前半がちょうどコロナ禍と重なってしまって、当初イメージしていた30代とは少し違ったかもしれません。でも、年上の先輩たちから「30代は楽しいよ」と聞いていた通り、20代とはまた違った楽しさを感じられる年代だと思います。これから迎える40代にも、その年代ならではの良さがあるはず、と前向きに捉えています。

30代前半は、自分に対する自信が芽生え始める時期。何が得意で、何が苦手なのかも見えてきて、余裕を持って動けるようになる頃です。だからこそ、自分のフットワークを活かして、いろんなことに挑戦できたのは本当によかったと思っています。

大きな責任を背負わずにチャレンジできる自由な時期だからこそ、自分のために行動する時間を大切にしていました。

――迷いながらも「変わること」に踏み出すのが難しいという声も多いです。どう向き合えばいいと思いますか?

私自身も、「このままでは終わりたくない」という気持ちが強くて、舞台から映像の世界に挑戦しようと決めた時期がありました。一から学ぶつもりで、あえて未知の現場に飛び込んだんです。

悩みは尽きないものだけれど、年上の女性たちが自分らしく輝いている姿を見て、「歳を重ねるのも楽しみだな」と思えるようになって。若く見えることやモテにとらわれず、年齢に縛られない生き方も素敵だと、今は感じています。

――年齢や女性らしさにまつわる社会のプレッシャーについてはどう感じますか?

小さい頃から「おとなしく」「お行儀よく」と言われて育つことが多い女性は、知らないうちにそのような価値観に縛られてしまうこともあると思います。でも、私は「自分らしくていいじゃん」って思うようになりました。

「○歳までにこうしなきゃ」っていうルールも、誰が決めたのか分からない。むしろ、その枠を気にしない方がうまくいくこともある。だからこそ、もっと自由に、柔軟に、自分らしく生きていいんだと思います。

「家族だからこそ、ちゃんと向き合いたい」大切にしている“距離感”

――家族との関係も変化していく時期ですが、ご家族と過ごす時間で大切にしていることは?

なるべく「一緒にご飯を食べる」「一緒に旅行をする」ことを意識しています。特に姉がアメリカに住んでいるので、甥や姪がどんどん成長していく中で、一緒に過ごせる時間の貴重さを実感しています。

コロナ禍で親に会うのもはばかられた時期に、「親と会える残りの回数」を数値化した記事を読んで衝撃を受けました。月に1度会っても年に12回。それを年数で考えると、本当に限られていると気づいて、それからはできるだけ時間をつくろうと思うようになりました。

――最近、印象に残っている家族とのエピソードは?

母がニューヨークから帰国して、時差ぼけで機嫌が悪かった日があったんです。私もちょうど疲れていて、感情的にぶつかってしまった。でもその時、「そんな態度なら帰る」とはっきり言ったら、母が謝ってくれて。結果的に良い時間を過ごせました。

母は反省して素直に変わってくれる人ですが、それでも「親しき仲にも礼儀あり」だと実感しました。家族だからこそ、お互いを尊重し合うことが大事ですよね。

――お祖父さま(宮澤喜一元首相)との思い出や影響はありますか?

祖父が亡くなったのは私が18歳のとき。もっと社会人になってから話をしたかったなという思いはあります。でも、祖父の考え方は母にしっかり受け継がれていて、「働かざる者食うべからず」といった言葉もよく聞かされました。

祖父は働く女性を応援するリベラルな人で、「孫の顔が見たい」といったプレッシャーも一切なくて、家庭に自由な空気を持ち込んでくれていたと思います。

日曜日になると家族で祖父の家に集まって、私が即興で話をする「エマちゃんのお話タイム」が恒例でした。祖父はそれを笑いながら聴いてくれていて、私が「歌を歌いたい」と言った時も「エマちゃんはシンガーになりたいんだよね」と嬉しそうに話してくれたのが印象的です。祖父が自然体でいてくれたおかげで、家族全体が私の芸能の道を受け入れてくれたのだと思っています。

「結婚」も「出産」も、“正解”は自分で決める時代へ

――読者にとって、結婚や家庭をどうするかはキャリアと並んで大きなテーマです。宮澤さんは、ご自身のこれからについてどんなふうに考えていますか?

「結婚は、本当にしたい人だけがすればいい」と思っています。そんなふうに言える時代になってきたなと実感します。

少し前まで「結婚して、仕事もして、全部を手に入れないと成功していない」みたいな空気があったように私は感じていて…。

私は自分の幸せを自分で定義したいですし、“成功”という言葉に縛られずに生きたい。

結婚するも、しないも自由な時代に、結婚という制度にこだわらずパートナーを持つという選択肢だってありますよね。
でもキャリアが楽しくなる30代って仕事をしながら結婚や妊娠を意識せざるを得ない、プレッシャーを感じることが増える方も多いかと思います。
自分ではどうしようもないことも含め、女性の一生は変化と決断の連続で悩みは尽きませんよね。

選択肢を増やすことで心の余裕につながるのかもしれないと私は思います。
例えば、卵子凍結も一つの選択肢だと思います。もちろんメリット/デメリットもありますし、卵子凍結したからと言って確実に子供を産めるという確証もありません。でも今の自分が望む未来と10年後の自分が見ている世界は違うかもしれない。未来の自分のために、今の自分にできることはあるか。自分にとって大切なことは何か、自分の価値観と向き合う時間も大事なのかもしれません。

――いまは結婚や子どもを持つことも含め、いろんな選択肢がありますよね。宮澤さんはどんなスタンスですか?

同世代の女性と話していると、一人一人、様々な考えを持っていますし、この世に溢れる膨大な情報を受け取りながら選択しなくてはいけない難しさを抱えて悩んでいる人が多いなと感じます。

だからこそ大事なのは結婚、子供、キャリアどれにおいても価値観を強要されないこと。そして多様な選択肢がある生き方が女性にとって当たり前な世界になって欲しいと思います。

例えばアメリカ、特にニューヨークでは、結婚や出産について固定観念にとらわれすぎない、様々な生き方や可能性があると、現地に住む知人などと話していて、感じる機会が多いです。考え方はそれぞれだからこそ日本でもタブー視せずにオープンに話せる空気がもっと広がってほしいですね。

まず自分にどんな選択肢があるかを「調べてみる」だけでも心の持ちようが全然違うはず。どんな決断をしても思い通りにならなかったり、後悔もあるかもしれない。でも知識を持つということは、自分の未来への安心材料につながると私は考えています。

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