次に大人が旅したいイタリア「プーリア」~サン・マルツァーノワインに魅了された旅 vol.2|STORY

日本から約16時間、イスタンブールを経由してバーリ空港に降り立ちました。そこはイタリアの地図をブーツでたとえると、かかとの部分に位置するプーリア州。アドリア海やティレニア海という二つの海を楽しめる世界でも人気のリゾート地です。
ミラノとかナポリとか、よく聞くイタリアの都市とは違い、まだまだ訪れたことがある方は少ないのでは。今回は、「次に大人が旅したいイタリア」として個人的におすすめしたいプーリアについて、サン・マルツァーノのワイナリー視察のお話を中心にお届けしたいと思います。

 

日本人の口に合うプーリアの食文化

滞在中はオリーブやトマトなど新鮮な野菜やフルーツに、丸ごとかじりついた日々でしたが、農作物栽培でも有名なプーリアは、食材を活かしたシンプルで素材の美味しさを満喫できる食文化。これが日本人の口に合うので、朝から生ハム、ブラッターチーズ、生イチジク、に始まり、オレキエッテという耳たぶ型のパスタやパンツァロッティという揚げパンや新鮮な魚介類などが白ワインとも赤ワインとも相性が良く、3食しっかり食べましたが日本食が恋しくなることなく堪能しました!
旅は調子に乗って過食気味になりがちですが、胃も疲れることがなかったのは驚異的。

 

 

 

 

 

 

イタリアワインが最高に美味しいワケ

今回、リゾート地としても有名なプーリアを訪れた最大の目的は、ワイナリー訪問でした。1962年設立された長い歴史を持つ、「サン・マルツァーノ」。ロゼ、白、赤と日本ですべて飲みましたがすっかりファンになっていたので、ワイナリーを訪れることができて大興奮。酸化防腐剤を少量に抑えたサン・マルツァーノのワインは、飲みやすくて残らないのが特徴です。ワイワイと仲間と語り合いながら飲む、ファミリーで楽しむ、ひとり時間に味わうなど、どんなシーンにもマッチするので、私自身も贈り物に使うことが増えました。

シーンを選ばず飲めるイタリアワインは日本でも人気急上昇。

サン・マルツァーノは、プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア DOP(保護原産地呼称)エリアの中心に位置するイオニア海とアドリア海の間の細長い土地で、当時ブドウ生産者19人が集まり設立されました。「プーリアの土地の風土で育てられた完熟ブドウで、新鮮な果実味をしっかりと表現すること」を哲学としており、日本酒でいうところの杜氏のような役割を果たす歴代のワインメーカーが、その繊細な味を守り続けています。クリーンなテイストで、エレガントとモダンのバランスを大事にしている、という貴重なワインメーカーのお二人。味覚の説明としてかみ砕くと、甘味と酸味のバランスが鍵になるということで、そこにブドウのアロマ、焼いた樽での保管状態が加わり総合的な味わいがサン・マルツァーノの特徴になっているのだそうです。

広大な敷地に広がるサン・マルツァーノのワイナリー。

 

ブーリアの土地約10㎞圏内で育てられたブドウ畑で獲れるブドウのみを使用しており、8~10月の収穫シーズンには約16トンのブドウが手摘みされ、糖度や酸味のチェックの後、皮、種、実に分けられ、タンクに貯蔵。ここで白と赤に分けられ、発酵して樽にストックされます。樽の数は約2000、温度18度、湿度80%で管理され、人とコンピューターのハイブリットな製造過程を経てクオリティコントロールされることで、安定した味を提供することができるのだそうです。ブドウ園から収穫される研究はつねに繰り返されていて、たくさんのフラスコと向き合うスタッフの姿は真剣そのものでした。

手摘みのフレッシュなブドウ。

 

ブドウ摘みを初体験!

 

今回は収穫の時期ということで特別に収穫体験をさせてもらいました。ブドウの房の茎の部分をハサミで優しくカットしていく手摘みの作業は、丁寧に進めなければいけないのでとても大変。気が遠くなりそうですが、ここからワイン作りが始まるのだという1歩を体験できたのは貴重でした。時間をかけてやっと私たちの口に入るのだと思うと、感慨深いです。

ワイナリーを一緒に訪れたメディアのメンバーとともに。

そして、とてもお手頃価格なのが嬉しいのですが「なぜこの価格で提供できるのですか?」という質問の答えは、こう。まずエリアの管理が行き届いている畑は、土壌のクオリティをキープできるので農薬を少量に抑えブドウを栽培できる。ブドウの質が良いと酸化防腐剤の使用量も抑えてワインを作ることができ、コストパフォーマンスが高いワインができるというわけです。「この美味しさなら、もっと価格を上げても買いますよ」と思わず口にしましたが、社長のフランチェスコは「この価格をキープしてたくさんの人に飲んでもらいたいんだよ」と笑っていました。

左からロゼ(TAMARI)、スパークリング(CALCE)

 

白(EDA)

 

赤(F)

 

ここで、サン・マルツァーノワインの魅力について、もう少しご紹介させてください。この秋に発売したスパークリング(CALCE)で乾杯した後は、前菜にロゼ(TAMARI)を合わせて、次に海鮮にぴったりな白(EDA)、お肉やチーズ、パスタを食べて流し込むのに最高の赤(F)。食事との相性を考えながら飲むのもよし、気分でいただくのもよし。お天気にも恵まれたプーリアではスパークリングと白をたくさんいただきましたが、これからも友達とワイワイ飲みたい!そんな計画進行中です。

取材/高橋奈央

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