雅子さまは太陽、紀子さまは海のよう…園遊会で魅せられた女性皇族ファッション
11月2日に、5年ぶりとなる天皇皇后両陛下主催の“秋の園遊会”が開催されました。心地のいい麗らかな気候の中で、目を引いたのはやはり、華やかで気品溢れる女性皇族の方々の着こなし。意外と知られていない園遊会での着こなしのルールや今年の特徴などを、放送作家・皇室ライターのつげのり子さんに伺いました。
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園遊会の服装にルールはあるの?
「園遊会は、赤坂御苑で開催される天皇皇后両陛下主催のガーデンパーティ。なので、皇室の方々は国際儀礼に則ったお召し物を選ばれます。
天皇陛下をはじめ皇室の男性は、昼の正礼服のモーニングを。皇后陛下をはじめ皇室の女性は、平成に入ってから洋装と和装を2回連続するローテションになりました。今年5月の春の園遊会は和装、その前の平成30年11月の秋の園遊会も和装、でしたので、今回は洋装だったというわけです。令和になり雅子さまが皇后陛下になられても、このローテションは踏襲されています。毎回、芝生の丘に皇室の方々がずらりと並ばれた際、色とりどりのお召し物が華やかで目を奪われますが、思わぬ色被りをしたり、似ているデザインにならないように、事前に職員や女官の方々が連絡を取り合っているのだと思われます」(つげのり子さん、以下同)
今回の傾向は?
「園遊会では、先頭を天皇皇后両陛下が歩き、続いて皇嗣である秋篠宮さまと紀子さま、その後ろに他の皇族方が続き、招待客に会釈やお声がけをするのが通例です。
今年は、雅子さま、紀子さま、華子さまは皇室らしい品格溢れるオーソドックスなスタイルで、続く彬子さまと瑶子さまは姉妹揃って控え目な装いでまとめられ、後ろのほうにいらっしゃる高円宮妃・久子さまと長女の承子さまのお二人はインパクトの強いファッションで登場。ノーブルな装いからシックに、そして最後はハッと目を引く着こなしというメリハリある流れを作って、招待客の方々を飽きさせない演出をされたのだと感じました。
意図したものかはわかりませんが、皇室の方々は年に2回、園遊会にお出ましになっているので、招待客の方々に楽しんでもらえるように、暗黙の内に自然と工夫されているのではないでしょうか」
各皇族方のファッションをCHECK!
雅子さま
秋の園遊会といえども、例年と違いまだ紅葉が始まっていない赤坂御苑の庭園に映えるイエローをキーカラーにされた雅子さま。大ぶりのパールのネックレスは、トレンド感のあるバロックパールを選ばれていて、クラシカルな流形を描くコード刺繍との洗練されたバランスが目を引きます。
「雅子さまは、ご婚約内定記者会見など、これまで人生の節目にはイエローのお召し物を選ばれてきました。つばのあるハットを目深にかぶられているのは、今年の春の園遊会はお天気が荒れ模様でしたので、万が一雨が降ってきても大丈夫なようにと考えられたのでは? 雅子さまの用意周到で真面目なお人柄が伺えます。また、他の皇族方は胸元にブローチを付けられていますが、雅子さまは、付けられていません。これはジャケットの襟元に刺繍の飾りがあるのでバランスを考えられたのではないでしょうか」
紀子さま
海や、晴天の空を思わせる鮮やかなロイヤルブルーが印象的な紀子さまの着こなし。全身差し色なくブルーで統一されていますが、ハットのコサージュ、リボン、ジャケットのウエストの切り返し、バッグの刺繍に「お花モチーフ」をアクセントに多用され、着こなしに上品なメリハリを加えられている印象です。
「雅子さまのイエローのお召し物は太陽を連想させますが、紀子さまは白い小物が効いていて白い波頭が弾ける青い海のよう。話し合ったわけではないとは思いますが、雅子さまと紀子さまで壮大な世界観を想像させてくれました。見ているだけで気持ちが高まりますよね」
華子さま
上皇陛下の弟である常陸宮さまの妃、華子さま。皇族らしいトーク風のハット、スーツというオーソドックスな装いですが鮮やかなグリーンのスーツのジャケットは、ペプラム調のシルエットでモダンな雰囲気を感じるもの。足元も白ではなくベージュ×黒のバイカラーのパンプスでなじませ、バッグは靴の黒とリンクした色のバランス感が洗練された着こなしです。
「華子さまは、今回出席された女性皇族の中で最年長ですが、高齢だからといって地味になるのではなくあえて鮮やかなグリーンを選ばれているところに、女性皇族としての気高い品格を感じました」
彬子さま
昭和天皇の弟、三笠宮崇仁親王の長男である寛仁親王の長女・彬子さま。ネイビーというシックな色味ながら、クラシカルなデザインが効いたツーピースで華やかな場でのバランスをとられていました。パンプスはスムースではなくパテントを選ばれ、バッグにはアンティーク柄のプチポワンバッグを合わされ、品のいい華を添えています。
「瑶子さまと姉妹でさり気なくリンクされた着こなしが素敵でした。美智子さまが好んで身に着けていらっしゃったカクテルハットが印象的です」
瑶子さま
彬子さまの妹、瑶子さま。彬子さまとリンクされたシックなネイビーのスーツには、バッグ、パンプスともにパテント素材を選ばれ、フレッシュなアクセントに。パンプスはトレンドのスクエアトゥで、着こなしにモダンな雰囲気を添えられています。
「袖元と袖口に鮮やかなブルーのラインが入ったスーツで、同じネイビーながら、フェミニンな彬子さまよりもシャープでモダンな印象で、らしさを演出されているのでは。バッグはアイコニックなヴァラ・リボンが目を引く、フェラガモとお見受けします」
久子さま
三笠宮崇仁親王の三男、故・高円宮憲仁親王の妃である久子さま。華やかなシャンパンゴールドのジャガード織りのスーツが目を引く着こなし。ジュエリー、バッグまでゴールドで統一し、足元のポインテッドトゥのシャープなパンプスでキリリと締められたハンサムな装いが、久子さまの雰囲気とマッチされています。
「他の女性皇族の方は、お洋服と同じ色のハットを被っていらっしゃいましたが、高円宮家の久子さま、承子さまは違う色のものを。皇室の方々の列の中でトリの順番でしたので、招待客の方々が飽きずに注目するアクセントとして考え選ばれたのではないでしょうか? 訪れた招待客を楽しませる工夫をされていることが感じ取れます」
承子さま
久子さまの長女、承子さま。パッと目を引く鮮やかなマゼンタ色のジャガード織のスーツは、スカートがタイトではなく、ボリュームのあるフレアシルエットで遊び心を感じられます。コンパクトなジャケットを着ると、他の皇族方とはかぶらないフィットアンドフレアなラインができあがり、変化をつけづらい洋装のお召し物の中でも、自分らしさを演出されているのが伺えます。
「久子さま同様お洋服の色と違うハットの他に、ネックレスも皇族ファッション定番のパールではなくスーツと同じ色のカラーストーンのペンダントを合わされていて、久子さま譲りのファッションへのこだわりを感じます」
コロナ禍では中止を余儀なくされていた“園遊会”。春の園遊会に続き、5年ぶり開催となる今年の秋の園遊会は、シンガーソングライターの松任谷由実さん、将棋棋士の加藤一二三さんら約1000人の招待客が出席したそう。ほがらかな気候も手伝い、主催者である天皇皇后両陛下を始め、皇族の方々、招待客のリラックスされた楽しそうな表情と華やかなお召し物が印象的でした。また来年、桜が彩りを添える春の園遊会での、女性皇族の方の気品溢れるお召し物、そして、愛子さまの園遊会デビューに期待が高まります。
教えてくれたのは…
放送作家・皇室ライター
つげ のり子さん
テレビ東京系『皇室の窓』の放送作家。2001年の愛子さまご誕生以来、皇室番組の構成を担当し、皇室研究をライフワークとしている。ワイドショーから政治経済番組、ラジオまで様々な番組の構成を手掛ける。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)『素顔の雅子さま』『素顔の美智子さま』(河出書房新社)などがある。
取材/味澤彩子
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