本誌1月号「アスリートパパの“ゆる食育”が参考になる!」で紹介しきれなかった…… 鈴木啓太さん、川﨑宗則さんの「食育エピソード」がタメになった話――ライター東 理恵
STORY1月号で掲載されている「アスリートパパの“ゆる食育”が参考になる!」(P.208-P.211)。誌面で紹介しきれなかったアスリートパパだからこそわかる“子どもの食育”。
スポーツをするお子さんがいる方はもちろん、成長期のお子さんがいる方もぜひ参考にしてください。
元プロサッカー選手(Jリーガー)・鈴木啓太さんの場合
鈴木啓太さん
1981年生まれ。AuB株式会社代表取締役。高校卒業と同時に、Jリーグ浦和レッズに加入。16年に亘り、浦和レッズで活躍。Jリーグベストイレブン、日本年間最優秀選手賞受賞、サッカー日本代表にも選ばれる。2015年引退直前、アスリートの腸内細菌に関する研究をベースに商品開発を行う会社を設立。妻は畑野ひろ子さん。2女の父。
元サッカー日本代表の鈴木啓太さんは、サッカーが強い静岡出身!
サッカー少年時代やプロの頃の食事について教えてくれました。
「選手時代は、ファストフードなども食べていました。食に関して、あまり神経質すぎてもいけないと思います。補食でバナナを食べていた時期や、おにぎりを食べていた時期、暑さでゼリー飲料の時もありました。
基本的に、試合前になればなるほど、体が重くならない、軽くて栄養が摂れるものを食べていましたね。試合の30分前、1時間前、あるいはハーフタイム――それぞれの状況によって食べるものは違っていました。食事と食事の間に食べるものに関してもプロフェッショナルになってきます。
その時々で何を食べればいいのか、が自分でわかるようになります。本格的に競技に取り組んでいくのなら、そういう食べ方を教えるのも必要ですが、今はまだ、子どもたちに純粋に体を動かすことを楽しんでほしいと思っています」。
ちなみに私、ライター東の小6の息子は、テニスの試合中に森永のラムネ(袋入り)ばかり食べます。食べ過ぎると体が重くなることをわかっていて、手軽に摂取できるブドウ糖を求めているのかもしれません。
私が「おにぎりを食べて」と言っても、ほぼ食べません。いま何を食べるといいか、子ども自身が考えているのでしょう。
鈴木さんは「健康マニア」のお母さんの影響で、腸の健康に気を使っていたと言います。
「高校生の頃から、菌の入ったサプリメントを飲んでいました。やはり人間の体の基本は食べたら出すことです。生体感知として、キレが悪い時よりもスルスルと出た時のほうが体調がいいですよね。赤ちゃんの健康も、そこで見ますよね。
いま僕の会社では、アスリートの腸内細菌に関する研究を行っていますが、そこでわかったことは、やはり栄養バランス。子どもにバランスよくいろいろなものを食べさせるということです。体を大きくするには、タンパク質が必要と言いますが、それだけではダメです。いろんな栄養成分を持つ食べ物を少しずつでも摂取することで、腸内細菌の多様性が高まります。栄養素が持つ菌のエサという効果を考えてみてほしいのです。
ようやく最近、菌に特化した飲むヨーグルトなども販売され、さまざまな菌が知られるようになりました。僕の家の冷蔵庫にも、いろんな種類の菌に効果があるとうたった機能性ヨーグルトがたくさん入っています(笑)」
ライター東も、子どもたちのお腹の菌までは考えていませんでした!
実は私自身、4年ほど前から機能性ドリンクヨーグルトを1日に3本ほど飲んでいたら、苦しんでいた花粉症に効果があったのです! くしゃみも、目のかゆみも、鼻水も、全くなくなりました(あくまで個人の意見です)。
実体験から、菌の効果を体感していたにも関わらず、子どもには……忘れていました。
小6の双子は、ともにヨーグルトが好きではないのですが、誌面に登場していただいたスポーツ栄養士の柳沢香絵先生が語っていました。
「ヨーグルトが苦手な方、納豆や味噌汁で代用してください」。
プロ野球選手・川﨑宗則さんの場合
川﨑宗則さん
1981年生まれ。愛称ムネリン。野球解説者、現在栃木ゴールデンブレーブス所属。1999年鹿児島工からダイエー(現ソフトバンク)に入団。最多安打、盗塁王など獲得後、2012年MLBに挑戦し、シアトル・マリナーズやブルージェイズなどで活躍。YouTubeやインスタも大好評。長男9歳、長女6歳、次女3歳の3児の父。
川﨑さんは、41歳の今も現役プロ野球選手! ソフトバンクホークスだけでなく、シアトル・マリナーズや台湾でも活躍されていただけあり、海外で食について改めて考えさせられたそうです。
「メジャーリーグ選手の体格の良さは、メジャーリーグに行ってこそわかりました。というのも、メジャーの選手たちは、試合後にかなり良く食べるのです。食材も食事の種類もかなり多い。野球をすると、9回の試合後は体重が減ってしまいます。試合終了後、なるべく早くに食べないと筋肉まで落ちてしまいます。
ですので、日本に帰ってきてから食の考えが変わりました。野菜もたくさん食べるようになりましたし、試合後すぐに食べられない時は、帰宅後すぐに食事をします」
なるほど、そうだったんですね!
私も息子も、激しく運動した後はしんどさに負けて、食べられなくなってしまいます。ダイエットにはいいのかもしれませんが、筋肉には良くなかったとは……。
そして、3人のお子さんがいる川﨑家では、「食べたいのを食べなさい」というのが方針で、あえて「これを食べろ!」とは言わないとか。
ああ、、、ライター東は、毎日のように子どもたちに「これ食べてよ!」と言っています……。
「子どもの頃に『これを食べなさい!』と言うと、それがトラウマで食べられないこともありますよね。今は食べられなくてもいいけれど、後で大きくなってから食べられることも結構あります。環境が変わって、食べられるようになることもあります。
先日、初めて田んぼでお米を作りました。“ムネ米”。それを家族に送ったら『美味しかった!』と言ってくれました。やはり、僕もまずは美味しいものを食べさせたい。美味しいものを食べさせるにはどうしようか、と考えるようになると思うのです」。
確かに、美味しいものを食べさせたいときに、「これ絶対美味しいから!」と半ば強制的に食べさせると子どもたちは一歩引いてしまうことがあります。美味しいものを食べさせるにはどうしたらいいのか。〈食べる〉という行為は楽しいもの。そして栄養を摂るということは元気に過ごすうえで大切なことです。私は娘と息子に、バランスの取れた食事を与えることができていない……。忙しさにかまけて、楽に作れる料理、子どもたちが好きな料理ばかり作っているな・・・・・・。改めてそう思いました。
学校給食が栄養のことを考えてくれているから、「まあ、いいか」と楽観的でした。
これからは、自分も含めて、栄養素のこと、菌のこと、しっかりと考えていきます!
反省。
撮影/吉澤健太、BOCO 取材/東 理恵
東 理恵
47歳。大阪府出身。3人姉妹の末っ子に生まれる。高校時代はソフトボール部。関西のテレビ局やラジオ局で構成作家→ISETANを経て、ライターに。STORYでは主に【JuniorSTORY】のページを担当する。マンガとアイスクリームが大好き。小6の双子(娘と息子)のママ。