“雌雄同体”“頭から卵”?子どもが生き物に興味を持ったら「性教育」のチャンス
みなさん、こんにちは。「とにかく明るい『パンツの教室』」協会代表理事 のじまなみです。
さて、前回までは、性教育を始めるのに必要な準備についてお話ししてきましたが、いざ子どもと向き合った とき、みなさんはどのように話を切り出そうと考えているでしょうか? 今日はそんな、「性の話のきっかけ作り」についてお伝えしたいと思います。
動物や昆虫の生態の話を
「性の話」につなげていって
小学生までの性教育は、とにかく明るく楽しく話すのが肝心! だからこそ、話のきっかけには「子どもの好きなもの」を取り入れることがポイントです。
大抵の子どもは2〜3歳頃になると「ワンワン」や「ニャンニャン」など動物に興味を持ち始めます。また、保育園や幼稚園ではカメやザリガニ、小学校ではニワトリやウサギなどを飼育していることも多く、子どもにとって生き物は身近な存在に。お家でカブトムシやモルモットなどを飼い始める方もいらっしゃるかもしれません。そんな生き物たちの生態について親子で話しながら、「命のつながり」を入れ込んでいくのです。
たとえば、こんな話。
雨の日に花壇などにいるカタツムリは、「雌雄同体」といってひとつの個体がオスとメス両方の機能を備えています。その理由は、歩く速度が遅いので、なかなか別の個体と出合えないからだとか。出合ったその時を逃さず交尾できないと、いつ次があるかわからないわけですね。交尾するときは、頭部にある生殖器官をお互いに挿し合います。するとそれぞれの個体が受精して卵を持ち、頭を地中に潜らせて卵を産みつけるのです。
そんな話をすると、大抵の子は身を乗り出して聞いてくれますよ。そこですかさず、「カタツムリは頭から卵を産むけど、人間はどこからどうやって生まれるんだろうね? 卵も産むのかな?」と人間の話につなげていきましょう。
もうひとつ例を挙げますね。
みなさんは、カメの性別の見分け方をご存知ですか? しっぽの形とお腹の凹み具合を見ると一発でわかるのですが、オスはお腹側の甲羅が凹んでいます。オスがメスの背に覆いかぶさるように交尾するので、転げ落ちないような形になっているんですね。
こんな話からは、男女の身体の違いについて話題を広げられます。「人間の男の子と女の子の場合は、どんな違いがあるかな?」と子どもに尋ねてみましょう。
動物や昆虫の生態や繁殖方法、雌雄の違いについて調べてみると、性の話につなげられる面白い話はたくさんあります。こうした話の収集は、オスとメスの違いに特化した図鑑もありますし、今はネットでいくらでも調べられますね。ちなみに、我が家には『交尾』というタイトルの動物の交尾シーンばかり集めた写真集があるのですが、これなどは飾っておきたいくらい美しい本です。娘たちはこの写真集が大好き。一緒にページをめくりながら「こうして命がつながっていくんだね」と話しています。
「性教育」と聞くと、つい「うまく説明できるかな」と構えてしまうかもしれませんが、こんな風に気軽な会話でも充分なんです。そう思えれば、性教育のハードルが少し低くなりませんか? 子どもが生きものに興味を持ったときは、「性教育のチャンスかも!」と意識して、色々と調べてみてくださいね。
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◉のじまなみさん
性教育アドバイザー。防衛医科大学校高等看護学院卒業後、看護師としてのキャリアを経て、2016年「とにかく明るい性教育【パンツの教室】」を設立。夫と3人の娘の5人家族。著書『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』(辰巳出版)『男子は、みんな宇宙人! 世界一わかりやすい男の子の性教育』(日本能率協会マネジメントセンター)がヒット中。
『お母さん! 学校では防犯もSEXも避妊も教えてくれませんよ!』のじまなみ/著 おぐらなおみ/イラスト(辰巳出版)¥1,540