[Alexandros]川上洋平さんに聞く、新曲『閃光』に込めた思いと制作秘話。
話題のイケメン、[Alexandros]川上洋平さんの知られざる魅力について迫る全5回の短期連載企画。2回目は5月5日にリリースされたばかりの新曲『閃光』にフォーカス! 映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の主題歌であるこの曲に込めた思いや制作裏話を、根掘り葉掘り教えてもらいました。
PROFILE
川上洋平(かわかみようへい)●昨年デビュー10周年を迎えたロックバンド[Alexandros]のギターボーカル、コンポーザー。シリア育ちで英語と日本語を使いこなすバイリンガル。攻撃的なロックナンバーから耳に残る甘いメロディまで自在に生み出す類稀なメロディメーカー。2021年1月にテレビドラマ『ウチの娘は、彼氏が出来ない!!』で俳優デビュー。映画コラムの執筆など、音楽に留まらない多彩な活動にも注目が集まる。
昨年春の緊急事態宣言を乗り越え…メンバー同士の共鳴で作り上げた『閃光』
-『ワタリドリ』や『風になって』など疾走感のある楽曲がCLASSY.読者にも人気の高い[Alexandros]。今回の新曲『閃光』は、どのようにして出来上がった曲なのでしょうか。
どこから喋ったらいいかわからないんですけど…というのも、イントロは3年ぐらい前にNYで、ギターの白井くんが作っていたものなんです。曲って、「はい、今日からゼロから作りましょう」という感じで作り始めるのではなくて、今までに録り貯めていたものから一部を引っ張ってきたりすることも多くて。なのでスタートがどこかと聞かれると難しいところなんですけど、去年の始めぐらいに曲作りにとりかかった時に“そういえば白井くんのあのイントロあったよね”と思ったのをきっかけに、メロディーを作っていった感じです。あとはレコーディングに向けての本格的に動くだけ、というタイミングでコロナ禍になってしまって。
オンラインでのやりとりで曲を作っていくこともできるけれど、『閃光』はどうしてもメンバーで膝を突き合わせて作り上げていきたかった。会話しながら、音を鳴らし合いながらでないと作れないと感じていたので、昨年春の緊急事態宣言のときに制作を一度ストップさせました。
俺はもともと、いわゆるオーガニックな作り方というか、誰かが鳴らした音に共鳴しながら作るタイプなんですよ。どうもね、オンラインだけの音って響いてくるものが少なく感じてしまうんです。オンラインにも良さってあるんですけど、できるならひとつの空間に集まって、実際に自分が鳴らした音に、こっちでベース鳴って、ギター鳴って、ドラム鳴って、共鳴することを大切にしたい。実際に会って音を合わせると、メンバーの表情も見えるじゃないですか。その時に「ドヤ顔で弾いてるな」とか、見え隠れするメンバーの感情まで確認しつつ作っていくと、すごく血の通ったものになるんですよね。『閃光』は作りはじめた時からそういった曲になると感じていたので、スタジオに入れるようになるまで制作を温めていました。
「ガンダムっぽくない」いう声は気にしていません
-CMソングなどタイアップも多い[Alexandros]の楽曲。今回はガンダムの映画主題歌でしたが、普段の曲作りと違いはありましたか?
曲作りにおいては、どんなタイアップのお話であっても、7割ぐらいは“自分たちのための曲”として作っています。楽曲は永遠に俺らが演奏していくものだから、100%“誰かのため”の曲は作りたくないんです。そりゃあキャラメルコーンのCM曲を作ってくださいというオファーだったら、ポップな曲調で、商品に合わせた曲をつくると思うんですけど(笑)。そういうものを別にすれば、自分たちがやりたいことを曲に反映するようにしています。その上で、タイアップに関連する作品を観たり小説を読んだりして感じたニュアンスを楽曲に加えるぐらいですかね。「作品の中でこの台詞が大切だから、歌詞にも入れよう」なんてことは全くしないです。
『閃光』を聴いて「この曲ってガンダムっぽくないんじゃないの?」って思う人がいるかもしれないけど、これは川上洋平という人間が素直に、『閃光のハサウェイ』から感じたものを楽曲に落とし込んだもの。[Alexandros]という幹があって、タイアップというオファーをきっかけにその幹から伸びた枝なんです。どんな仕事でも、“誰がやるか”っていうのは重要じゃないですか。たとえばこうやってインタビューをしてもらう機会は多いけれど、同じような質問でも誰に聞かれるか、誰が原稿を書くかで読む人への伝わり方は変わってくる。それは俺たちのやっていることも同じで、俺たちが出す曲だから、俺たちらしいものに仕上がっていく。「ガンダムっぽくない」いう声は気にせずにやってますね。
どんな曲でも“自分たちの音楽”に仕上げるのが誠意
-“ガンダム要素”を無理に盛り込むことはなかったんですね。
正直なところ、俺はアニメをほとんど見ないんです。今のアニメカルチャーもあまりわかっていない。ガンダムに関しては兄が好きだったので子どもの頃に見たし、うちのマネージャーもガンダムがめちゃくちゃ好きなので、そういう意味で馴染みはあります。でも、よく知らないのに合わせようとする行為って噓だと思うから。自分たちにオファーをいただいたのなら、自分たちの音楽で誠意を見せたいなと。そこでわざわざ合わせに行くことは誰にでもできるし、無理に合わせたものを作るのは、誠意がないことだと思うので。
-自分たちのスタイルを貫くのに、不安はないのでしょうか?
ないわけじゃないですけど、不安も楽しくないですか? 明日から仕事なくなったらどうしようとか思ったこともあるけど、そうなったらそうなったで面白いし。不安はあってもいいと思いますよ、迷いがなければ。自分にはこれしかないって決めて突き進むことに怖さみたいなものはきっと誰にでもあるけれど、その物事に対して「進むぜ」という気持ちはあるわけだから。迷いがなければ、不安に感じることはあっても“やるしかない!”って気持ちになれる。それが大事だと思います。
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楽曲制作の過程やそこに込められた思いを知ることで、同じ曲を聴いても感じられることが増えるのもインタビューの醍醐味。5月5日リリースの『閃光』、ぜひチェックを! 次回の連載は、5月9日(日)更新。川上さんを語るのに欠かせない“4つのキーワード”に迫ります!
新曲『閃光』、5月5日(水・祝)より好評発売中!
5月21日公開予定の映画『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の主題歌。ドラムのリアド偉武加入後初の作品となり、メンバー4人のみの音で構成されたロックナンバー。
初回限定盤 (CD+DVD)¥3,080、初回限定盤 (CD+Blu-ray)¥3,520、通常盤(CD)¥1,100
配信再生・購入https://umj.lnk.to/kbdlRV
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『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』
5月21日(金)全国公開予定
http://gundam-hathaway.net/
フォトギャラリー(全画像を見る4枚)
撮影/マチェイ・クーチャ 取材・文/川端宏実 構成/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)