窪田正孝さん(37)「結婚したことで誰かと“共有する”ことを知った」【映画『宝島』インタビュー】
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映画『宝島』は、1952年の沖縄を舞台に、激動の時代に立ち向かい、熱く生き抜いた若者たちの友情とかぅ等を描く感動超大作。窪田さんは、米軍基地から奪った物資を住民たちに分け与える“戦果アギヤー”たちのリーダー、オン(永山瑛太)の弟・レイを演じています。本作で監督を務める大友啓史さんとの撮影秘話から、多忙な20代の振り返りまで、窪田さんのマインドが出来上がったルーツを伺いました。
Profile
1988年8月6日生まれ、神奈川県出身。デビュー以降、さまざまなドラマや映画に出演。近年の主な出演作に、連続テレビ小説『エール』、『宙わたる教室』、映画『ある男』、『愛にイナズマ』、『悪い夏』など。主演舞台『チ。 −地球の運動について−』が10月8日より開幕。
大友監督の現場はハードです(笑)

——『宝島』でメガホンを取る大友啓史監督とは、『るろうに剣心』以来ですね。再びご一緒してみて、感じたことは?
大友監督の現場は、かなり大変なんです(笑)。どの作品も、楽なものは1つもないけど、そのなかでもハードで。肉体的にも精神的にも、どっちもです。でもそれは、大友監督が、役者から出てくる脚本を超えた“何か”を引き出そうとしてくださるから。そうしたスタンスで臨まれる方だから、役者としてはその気持ちに応えたくて一生懸命になるんです。そういう意味で、身も心も削りながら挑んでいます。
——特にハードだと感じるところはどこなのでしょう。
監督は、1つのシーンに対して数パターン撮影するんです。『るろうに剣心』撮影時も、僕が演じていた清里明良の死に様を何度も撮り直しました。死に様を何度も演じるって、相当大変なんですよ。しかも、そのうちのどれがOKカットとして使われるのかがわからない!
——どのパターンが採用されたか、完成を観て知るのですね⁉︎
そうなんです。『宝島』でもそうでしたが、カメラを置く場所を決めずに、どこからでも俳優の動きをキャッチできるように挑まれる方なんです。だから完成した映像を観たとき、自分でも覚えていないような姿を抜かれていることもあって、「こんなカット撮っていたっけ?」と驚くくらい。よく言えば、俳優は自由に動ける。悪く言えば、どんなものを出せるのか監督に試されているんじゃないかな(笑)。そのヒリヒリ感が俳優としては苦しくもあるけど、それを上回る楽しさがあるんです
20代の頃の自分は常に力が入っていた
——2006年のデビュー以降、駆け抜けてこられた印象です。ご自身を振り返ると、どんな20代を過ごされていましたか?
20代のころは、ずっと自分自身と戦っていたような気がしています。当たり前だけど、1つの役を勝ち取れるのは1人しかいないので、オーディションでは多くの俳優たちと戦わなければいけなかった。休みがないほど忙しいことや有名になるということが“いいこと”だと思っていたから、そんな毎日を送れるように、ずっと力が入っていた気がします。
——そんな自分自身に、今言葉をかけるなら?
「脱力しよう」と言ってあげたい(笑)。もちろん、そう感じていた自分がいるからこそ、今があるんですけどね。
——では、プライベートの時間はほとんどなかった?
あるにはあったんですけど…。俳優として感情をフルに使って仕事をしていたせいか、休みの日になると“無”の状態になってしまって、何をしていいのかわからなかったんです。当時の僕は、体は前へ走っていくんだけど、そこに心が追いついていかないという状態で。きっと、心と体が乖離してしまっていたんでしょうね。思い切り喜ぶ芝居をしたあとに、日常でうれしいことがあっても喜べなくなっちゃったりもしていて…。今思い返すと、すごく不思議なことなんだけど、要するに感情を使いすぎていたんだと思います。
結婚して物事を共有することが、安心材料に

——そこからどうやって自分を取り戻したのですか?
勇気を持って仕事を断るようになりました。これまでは「この仕事を受けなければ、もう仕事をいただけないかも…」みたいな変な恐怖感があったし、投げていただいた球を全力で打ち返し続けていたんです。でも、人生というものを大きな括りでみたとき、「どこでだって芝居はできる」と感じて。そこから、心がふっと軽くなったんです。国内がダメなら、海外へ行ったっていい。それに極論を言えば、川辺で僕が何かを演じたって、それは役者として成立するじゃないですか(笑)。
——確かに…!
そうやって、自分自身や人生を俯瞰して見ることで、心に余裕が生まれてきた。本当に自分が何をしたいのか、今この環境が自分に合っているのかどうか、そんなことをいろいろ考えていくうちに、仕事や人に対しての距離感がシンプルになってきた気がします。
——人付き合いも変わっていったのですね。
そうですね。そのなかで、“結婚”という出来事は僕にとってすごく大きかったです。これまで、あまり人と何かを共有することが得意ではなかったけど、奥さんには初めてちゃんと物事を共有できたんです。それがすごく安心材料になったような気がする。
——仕事の話も?
う〜ん、比較的なんでも話しますけど、自分で考える部分はそのままに、共有する部分はするという感じかな。ありのままの自分をさらけ出して、オフの状態を見せられるような人と出会えたことで救われた部分は大きかった気がしています。
information
映画『宝島』
1952年という戦後の沖縄を舞台に、“沖縄がアメリカだった時代”を正面から描いた、真藤順丈による同名小説を大友啓史監督により実写化。幼なじみのグスク(妻夫木聡)、ヤマコ(広瀬すず)、レイ(窪田正孝)は、突然消息を絶ったリーダー・オン(永山瑛太)の影を追いながら、それぞれの道を歩み始めるが…。●出演:妻夫木聡 広瀬すず 窪田正孝 永山瑛太 9月19日(金)全国公開 東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント配給
トップス¥66,000インナー¥24,200パンツ¥69,300(すべてセブンバイセブン/セブンバイセブン)
SHOP LIST
セブンバイセブン/セブンバイセブン 03-5785-6447
撮影/木村敦(Ajoite) ヘアメーク/菅谷征起 (GÁRA) スタイリング/菊池陽之介 取材/小林揚 編集/越知恭子