「『ショムニ』後は天狗になっていた」櫻井淳子さん(52歳)に転機をくれた昭和の名優とは

数々の人気ドラマや映画、話題作で鮮烈な印象を残してきた俳優・櫻井淳子さん。30年以上のキャリアは決して平坦ではなく、心が折れそうな瞬間もいくつもありながら、経験を重ねて少しずつ自信をつけていったと語ります。今回は櫻井さんにとっても大きなターニングポイントとなった、ご自身の代表作ともいえる2大作品「ショムニ」、「おみやさん」の裏話にフォーカス。妖艶OLが生まれるまでの舞台裏、俳優人生に大きな影響を与えた名優の存在についてまで、あますことなくうかがいました。

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お話をうかがったのは…俳優・櫻井淳子さん(52歳)

《Profile》

1973年 1月 5日生まれ。埼玉県出身。高校2年生の時に原宿でスカウトされ芸能界入り。’91年のドラマ「葡萄が目にしみる」(フジテレビ)で俳優デビュー。’93年に連続ドラマ初主演作「誘惑の夏」(東海テレビ)で第31回ゴールデン・アロー賞放送新人賞ならびに最優秀新人賞を受賞。その後社会現象にもなった「ショムニ」、主演ドラマ「板橋マダムス」(フジテレビ)、10年間出演を果たす「おみやさん」(テレビ朝日)など、代表作多数。現在は放送中のTX「レプリカ」にレギュラー出演、ドラマや映画のほか、バラエティやYouTubeなど、多岐に渡る活動を展開している。プライベートでは2003年に結婚し、高校生の女の子のママでもある。SNSで投稿されるご自身の近影の美貌がネットニュースになること多数。インスタグラム@sakuraiatsuko_(https://www.instagram.com/atsukosakurai_/)

妖艶担当に最初は戸惑ったけど…。「ショムニ」メンバーとは今も年1集まるほど仲良しです

ドラマデビュー以降コンスタントに作品に出演させていただき、少しずつ仕事にも慣れていきました。20歳の時には昼ドラの「誘惑の夏」で初めて主演を務めさせていただき、その年のゴールデン・アロー賞の放送新人賞を受賞。演技に対して少しずつ自信のようなものが芽生えてきて、心が折れそうなくらいの大変な撮影や収録の中でも、私なりの楽しさを見出しはじめるように。そんな経験を重ねることで、「これができたんだから、これからも大丈夫」というような、気持ちにゆとりもできていったんです。

ドラマ「ショムニ」の宮下佳奈役が決まったのはそんな時でした。櫻井淳子といえば宮下佳奈、と記憶してくださっている方も多いかもしれませんね。あのドラマの仕事は急に決まったのですが、ある日メインキャストの5人がスタジオに呼ばれたんです。そして監督に「お前は普通なヤツ」「お前は面白くやれ」みたいな感じで振り分けられる中で、私は「お前は妖艶に」と(笑)。
でも妖艶ってあまりにも自分からかけ離れていて、いまいちピンとこなかったんですよ。なので、最初のうちは川島なお美さんのドラマを見たり、鏡で自分の顔見て角度を研究してみたり…。なんとなく自分の中で“妖艶”のイメトレをしつつ初回の撮影に臨んだものです。そこからどんどんシリーズが進んでいって、宮下佳奈という役も作り上げられていきました。共演の高橋由美子ちゃんとかが、「あっちゃんが演じる佳奈さんなら、こんなことしない?」みたいなアドバイスをくれたりして。本当の私は妖艶どころかとぼけたところがある人なんですが、役柄をそこに寄せることで、私だけの宮下佳奈、という女性像が完成したんじゃないかなぁ、と思っています。

「ショムニ」の共演者さんやスタッフさんとは今もとっても仲良しで、年に1回は集まるんです。女性陣は戸田恵子さん、男性陣はプロデューサーさんが音頭をとってくれるんですが、初回放送から30年近く経つのに、今でも仲良くできているなんて本当にかけがえのないこと。みんながお互いに「変わんないね」とか「この前の作品良かったよ!」とか、他愛もない話を2、3時間交わすことも、ずっと継続していくことや年齢を重ねることの醍醐味なのかもしれませんね。

俳優としての心構えも視野も変えてくださった、渡瀬恒彦さんの存在

これまでターニングポイントはたくさんありましたが、俳優としてのターニングポイントでいうと、刑事ドラマ「おみやさん」で共演させていただいた俳優の渡瀬恒彦さんとの出会いは、私の中でとても大きなものでした。「おみやさん」の初回が放送されたのは2002年。私は29歳でした。正直にお話しすると、当時の私は天狗になっていたんです。「ショムニ」で多くの方に知っていただけて、そのファーストシーズン後には「板橋マダムス」でゴールデンタイムの主演、大変ではあったけれど仕事は順調でした。周りの方も気を遣ってくださいましたし。
そんな中、「おみやさん」の現場はこれまでとガラッと違う硬派な現場でした。主演は渡瀬恒彦さん、監督は和泉聖治さん。しかもロケーションは京都。現場に入る前からどうなることかと緊張しっぱなしでした。今までは同世代の女性が多い現場で、どちらかというとワイワイキャアキャアな雰囲気だったので(笑)。

あるすごく寒い日に、出番待ちをしながら「寒い寒い!」と言っていたら、「寒い寒い言うな!」と渡瀬さんに一喝されたことがあるんです。その時は「なんでそんなことで怒られるの?」とびっくりしたのですが、だんだんと腹落ちしていって。私が「寒い」と言うことで周りに気を遣わせてしまうし、次第に「私、このままでいいのかな?」と疑問を抱くようになりました。私は主演である渡瀬さんの相方として、渡瀬さんが心地良く演技ができるように立ち回る必要があるのでは?と。そのための私の演技はどうあるべき?と突き詰めて考えていくと、おのずと行動が変わっていきました。
それまではスタッフさんに「櫻井さん、お願いします」と言われてカメラの前に立っていたのが、渡瀬さんが立ったら私も立ち、常に渡瀬さんの背中につくように。「振り返れば櫻井がいる」と思っていただきたかった。そうすると、演技の視野も格段に上がったんです。自分の演技ばかりにがむしゃらだったのが、ちゃんと相手や全体を俯瞰して見て、自分がどうアクションするかを考えられるようになって。その後10年ほど現場でバディとしてご一緒させていただきましたが、渡瀬さんの背中から仕事に対する心構えを根本から学ばせてもらったと思っています。俳優という仕事を辞めたいなと思ったことも実はありますが、「いや、もっと認められたい!」という気持ちも、「おみやさん」の現場で芽生えてきましたから。

《衣装クレジット》

ジャケット¥ 71,500<UJOH>カットブラウス¥16,280 パンツ¥18,700<ともにMANO>サンダル¥39,600<il Sandalo of Capri>(すべてMANO)ピアス¥17,600 ネックレス¥25,300バングル¥ 29,700 (すべてJouete)チョーカー¥22,000(ete bijoux)

【ショップリスト】
MANO   TEL 03-6421-3350
Jouete 0120-10-6616
ete bijoux 0120-10-6616

撮影/越野夕也 ヘア・メイク/佐藤トモコ スタイリスト/斎藤真喜子 取材/キッカワ皆樹 編集/浜野彩希

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美ST