元星組トップスター「夢は言うべき!結婚しますと、宣言したら結婚できました」

新たなステージで輝き続ける宝塚OG。元星組トップスター北翔海莉(ほくしょう かいり)さんは歌、ダンス、芝居と三拍子揃った男役として独自の地位を確立。退団、結婚を経て舞台で活躍しながら美容サロンも経営する〝努力の人〟の今に迫ります。

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夢は口に出したほうがいい。諦めないでというメッセージを伝えたい

ワンピース¥177,100、ベスト¥198,000(ともにファビアナフィリッピ/アオイ)シューズ¥130,900(セルジオ ロッシ/セルジオ ロッシ カスタマーサービス)ブレスレット¥13,200(ワンエーアールバイウノアエレ/ウノアエレ)イヤーカフ¥14,300(デルフィーヌ・シャルロット・パルモンティエ)リング右手¥58,300(ウッターズ・アンド・ヘンドリックス)イヤリング¥22,000、リング左手(5本セット)¥61,600(ともにイオッセリアーニ/すべてアッシュ・ペー・フランス)

お話を伺ったのは……北翔海莉さん

《Profile》 千葉県出身。愛称みっちゃん。中学の先生に勧められ、宝塚を一度も観ずに音楽学校を受験。1998年、宝塚歌劇団に入団後、月組に配属。次々と新人公演等で主演を果たし、宙組へ組替え。2012年、専科へ異動後は、各組の公演に出演し主要な役を務め、後に星組でトップスターに就任。2016年「桜華に舞え」「ロマンス!!(Romance)」で退団後も舞台で活躍。ご主人の藤山扇治郎さん(松竹新喜劇)との間に一男。

──大阪では美容サロンも経営されているのですね!

もともと宝塚現役時代に健康のために通い始めたサロンなんです。筋肉を元の位置に戻す古武道をベースにした技術で、これなら人を助けることができると、師匠から受け継ぎました。体の筋肉が整えば顔のたるみやむくみなどの悩みも解消されるんですよ。妊娠で17㎏増えてしまったんですが、古武道と食生活の見直しですぐ現役時代に戻りました。

──お子さんが生まれて、舞台に立つ時の心境にも変化が?

子を持つ親の気持ちがわかるようになったのは大きいですね。『エリザベート』のガラ・コンサートで皇帝フランツを再び演じたときに、王位継承に対する気持ちとはこういうことだったのかとハッとしたり。また、心にゆとりがあるかどうかは必ず舞台に出てしまう。そのためには健康が第一。健康であればイライラしないし、夫婦仲も良好、子育ても仕事も楽しめますから。

──仕事と家庭を両立する秘訣はありますか?

両立しようと思わないこと。恵まれた環境だとは思います。旦那さんは何もしない人だったんですが、私がつわりで寝たきりになったときに、台所に立って洗濯物まで干してくれるようになったんですよ。我が家では一日100回以上「ありがとう」が飛び交うんです。それもうまくいく秘訣かな。

──宝塚では月組、宙組、専科を経て全組出演を果たされましたね

専科時代は行く先々で何でも知っていると思われて、所作のことなどいろいろと聞かれる立場になったので、常に勉強していました。その時に作った引出しが後で役立ちましたね。専科にいた3年間はもう次は呼ばれないかも、という怖さもありました。だから一回一回が勝負でしたし、これが最後になってもいいという意気込みで出ていました。

──その経験が星組トップになった後も活かされましたか?

トップだからみんなを引っ張っていこうとかは思わなかったですね。歴代のトップさんたちを見てきて、組子(組のメンバー)一人一人の個性を輝かせることがトップの役目なんじゃないかと。宝塚だけでなく、上に立つってそういうことなんじゃないでしょうか。

──今年は芸能生活25周年を迎えられますね

今の北翔海莉のエネルギーを爆発させる記念公演を考えています。結婚や出産を経て人生を諦めちゃう女性が今も多いですよね。40代になると特にそう。でも若い頃に訓練したものは必ずよみがえるんです。そういう人たちに、諦めないで、というメッセージを伝えていきたい。退団してすぐ、相手もいないのに「2年後に結婚します」って宣言したんです。そしたら現実になっちゃった。夢は口にしたほうがいいです。

──最後に、北翔さんにとって「美しく生きる」とは?

正直に生きること、かな。周りに流されずに真っ当に正直に生きることが美しさだと思うんです。たった一人信じてくれる人がいたらその人のために全力でがんばる。そうありたいですね。

北翔海莉さんからのメッセージ

「私もまっすぐな道のりじゃなかったからこそ、いろんな壁にぶつかっている子供たちに伝えられることがある気がしています。そういう人たちを導いていける存在になりたいですね」

2023年『美ST』6月号掲載 撮影/八木 淳(SIGNO)、丸山智路(TRIVAL) スタイリスト/久保コウヘイ 取材/稲益智恵子 編集/石原晶子

美ST