阿部サダヲさん(55)×松たか子さん(48)ドラマ『しあわせな結婚』撮影裏話「クロワッサンのシーンは探りながら食べてました」
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2025年夏ドラマ『しあわせな結婚』(テレビ朝日系)で主演を務める阿部サダヲさんと松たか子さん。映画や舞台などでは何度も顔を合わせてきたお二人が、連続ドラマでは初共演、“結婚から始まる物語”という新たな関係性で再びタッグを組みました。家族の食卓での沈黙、クロワッサンをめぐる仕草、そして“人を殺したかもしれない”という衝撃の秘密……後編では、キャラクターへの思いや撮影秘話などをたっぷりと語ってもらいました。
最初は不安だったけれど、周りからの声で自信をもらえました
――初回の放送後、視聴者の反応はいかがでしたか?
阿部:意外性のある展開に「思っていたのと違ったけど、すごく面白かった」と言ってもらえることが多くて。『しあわせな結婚』というタイトルから想像するものとはちょっと違って、そのギャップが面白いって言ってくださっていますね。松さんと僕がやるサスペンスってどうなるんだろう?って思っていた方も多かったみたいですが、いい意味で予想を裏切れているのかなと感じています。
松:私は正直、ずっと「どうなんだろう、大丈夫かな…」って不安だったんです。でも、今回、いろいろな番組に出演させていただいたとき、司会者や出演者のみなさんから「面白かった!」という感想をいただけて、「ああ、よかった。大丈夫かも」とホッとしましたし、自信をもらいました。みなさんの予想を裏切る部分も含めて、「新しいドラマを撮ってるんだな」って改めて思えた初回でしたね。
――エレベーターでの出会いから始まるふたりの物語。ネルラは幸太郎のどんなところに惹かれたのでしょう?
松:物語が進んでいく中で、ネルラ自身も「なんでだろう」って自分に問いかけるような場面があるんです。でも、私自身の解釈では、「あの日、エレベーターで一緒になった」ということがすべてかなと。それだけで「あ、この人かも」と思える何かがあったし、こういう出会いも、自分の運命にしたいと思ったんでしょうね。実際、運命的な出会いで、ネルラも幸太郎さんと同じくらい衝撃を受けたのだと思います。
家族の食卓シーンは、ネルラが喋らないのがすごく楽しい(笑)

――鈴木家の夕食会のシーンがとても印象的でした。現場の空気はいかがでしたか?
阿部:家族の食卓のシーンは、台本を読んだときに「あのキャストの方たちと一緒なら面白くなるだろうな」と思っていました。撮影初日だったかな、段田(安則)さんがコーヒーこぼして、いきなりパーカー姿で現れて、もうそこから楽しくなってきちゃって(笑)。やっぱり、ネルラの父親役の段田さんをはじめ、叔父役の岡部たかしさん、弟役の板垣李光人さんといった演技達者な役者たちが入ると、グッとリズムもテンポも良くなって、「この空気だったら、何をやっても大丈夫」っていう自信が湧きました。鈴木家に入ってきた、幸太郎という異物が最初、全く相手にされていない感じとか、空気づくりが上手いなあって。だったら僕も、もっと乗っていこうと挑む気持ちになりました。
松:私はあの場面、喋らないのがすごく楽しくて(笑)。ネルラとしては幸太郎さんを世界の中心のように見てるんですけど、ふと周りを見ると、みんながすごく上手なんですよ。李光人さんとかも、本当に細かい表情が素晴らしくて。喋らないぶん、私は耳をそばだてたり、黙々と食べたりして、日常の動作を担当しているような気持ちでいました。そういう居方をするシーンってなかなかやったことがないので、すごく新鮮で楽しかったです。
阿部:ネルラが「好きよ、レンコンも好きだけど幸太郎さんも好きよ」って一言で場を落とすじゃないですか。あれがまた見事で。
クロワッサンのシーンは、監督から「もう少し面白くして」とリクエストされました

――また、ネルラがクロワッサンを豪快に食べるシーンもありましたが、撮影秘話などありましたらぜひ聞かせてください。
松:台本に書いてあるのでそのとおりにやっただけなんです(笑)。幸太郎に顔についたパンくずをとってもらうと書かれていたので、取れるように食べることしか考えてなくて。でも、監督から「もう少し面白くしてもいい」と言われて、ちょっと探りながら演じました。普段、あまり「クロワッサンを買おう」と思うような素敵な生活をしていないので、余計に新鮮でしたね。私自身は、あのカリカリのかけらがすごく好きで、それを大事にしながら食べています(笑)。
――1話のラストでネルラに秘密があることがわかります。最初、人を殺したかもしれない役だと聞いたときはどう思いましたか?
松:えーッと驚きましたが、人が思いつかないようなストーリーが生まれようとしているんだなと思って、演じるのが楽しみでした。
阿部:僕は、ネルラが人を殺したかもしれないというよりも、結婚したばかりで若い男の車に乗っていることに傷つきました。
松:アハハ!
――地下鉄のホームのシーンは緊迫感がありましたね。
阿部:撮影場所がすごく良くて。ちょっと外国っぽくも見えるし、対岸から撮っている画がカッコ良かったですね。あと、僕と杉野遥亮さんの身長差もあっていいなあと思いました(笑)。
幸太郎のセリフは、実際に妻に言ったことがあります(笑)
――松さんに伺いたいのですが、ネルラという役はかなり難しかったのでは?
松:人からも「難しい役だね」ってよく言われました。でも最初は、何が難しいのかすらわからないというのが一番難しかったですね(笑)。どうしたものかなあと考えて、そこで導き出されたのは、彼女自身は、人と変わったことをしたいと思っている人ではなさそうだなということ。そして、普通に、平穏で幸せな暮らしをしたいと願えたのは、幸太郎さんとの出会いのおかげだと信じているんです。ただ、人から見るとユニークな女性に映るというのは結果でしかないから、これはもう、幸太郎さんや家族との関係性の中でどう見えるかを大事にするしかない。謎めいて見えたり、何でもない人に見えたり、そのすべてが“ミステリアス”っていうことなのかなあと思いました。1話の撮影中も、相手が阿部さんだからできたと感じたシーンがあって、本当に感謝しています。
阿部:ありがとうございます。
――それぞれの役柄と、ご自身の性格で似ていると感じる部分はありましたか?
阿部:嫉妬するところとか、「(メールが)既読にならないと怒る」とか、すごく分かりますね(笑)。あと、幸太郎の「よくそんなに眠れるね」ってセリフがあるんですけど、それ、実際に奥さんに言ったことあります。そういう男女間の些細なイライラとか、大石さんの脚本にはリアルな感情が詰まっていて、僕自身も「あ〜、わかる、わかる!」と思いながら演じてます。なので、自分にもそういうところがあるのかもしれない。
松:私とはちょっと違うかもしれないけど、面白いなと思ったのは、ネルラが「困ってることあるなら言ったほうがいいよ」って言われて、「ある。でも、今は言えない」って正直に言うところ。私だったら、「なんでもない」ってバレバレのウソをつきそう(笑)。でもネルラは、「あるけど言えない」って両方とも正直に言うんです。その答え方にちょっと憧れましたね。
Profile
阿部サダヲ
1970年4月23日生まれ。千葉県出身。1992年より大人計画に参加。2008年、映画『舞妓Haaaan!!!』で日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。2019年、NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』では主人公・田畑政治を演じた。昨年は、主演ドラマ『不適切にもほどがある!』(TBS系)が大ヒット。グループ魂ワンマンライブ「羽田で単発のバイト」が2025年9月10日(水)Zepp Hanedaで開催。
松たか子
1977年6月10日生まれ、東京都出身。A型。歌舞伎俳優の9代目・松本幸四郎の子として生まれ、10代で舞台デビュー。2009年の映画『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。近年の主な作品は、主演ドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021年)、映画『夏の砂の上』(2025年)など。
information
木曜ドラマ『しあわせな結婚』
テレビ朝日系・毎週木曜21時より放送中。弁護士・原田孝太郎(阿部サダヲ)は、電撃結婚した妻・ネルラ(松たか子)と新婚生活をスタートさせる。しかし、突然現れた刑事・黒川竜司(杉野遥亮)から15年前にネルラの元婚約者が死亡した事件の再捜査が始まること、そしてネルラが疑われていることを告げられ…。
(松さん)ブラウス¥26,400 (LE PHIL/LE PHIL NEWoMan 新宿店)
撮影/You Ishii 衣裳(阿部さん)/丸山佳奈 スタイリング(松さん)/杉本学子 ヘアメーク/窪田健吾 取材/服部広子 編集/越知恭子