原因不明の【耳鳴り】が治らないときは?薬剤師に聞く「5つの対策」
静かな部屋で「キーン」と不快な音が響いているように感じたり、何もしていないのに耳の奥で音が鳴り続けたりといった耳鳴りに悩んでいませんか? 「年齢のせいかな」とつい流してしまっているその耳鳴り、実は、重大な病気のサインかもしれません。
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1.その耳鳴り、もしかして重大な病気のサインかも?

耳鳴りの原因として考えられる病気は、主に以下のようなものがあります。
■メニエール病:耳鳴りの他に、めまいや難聴を伴う病気。ストレスや疲れが引き金になることも。
■突発性難聴:ある日突然片耳が聞こえにくくなり、耳鳴りが同時に起こる。早期治療が非常に重要。
■聴神経腫瘍:聴力やバランスを司る神経にできる良性腫瘍。耳鳴りやめまい、難聴がゆっくりと進行する。
■中耳炎:痛みや発熱を伴うこともある。子どもがかかる病気というイメージが強いが、大人がかかることも。
■脳梗塞・脳出血:脳の血管トラブルのサインとして耳鳴りがする場合もある。
■頭内爆発音症候群:寝入りばなに「ドン!」という爆発音のような音が聞こえる症状。
これらはあくまで一例。特に「いつもと違う耳鳴り」や「片側だけの耳鳴り」「めまいや吐き気を伴う」などの場合、重大な病気が隠れている可能性があるため早めに耳鼻科を受診しましょう。
2.病院に行っても原因不明……それでも続く耳鳴りがつらい!
病気と診断されなくても、「耳鳴りがずっと続いていてつらい」という人も少なくありません。実は、耳鳴りの原因は1つではなく、日常の小さなストレスや体調の乱れが引き金になっていることも多いのです。具体的には、以下のような要因が耳鳴りの原因となっていることがあります。
■筋肉の痙攣:顎や首回りの筋肉がピクピクと痙攣することで、耳に異音が伝わることがある。
■加齢:聴力の低下とともに耳鳴りが現れやすくなる。
■ストレス・疲労:自律神経の乱れが耳の血流に影響を与え耳鳴りにつながる。
■睡眠不足:脳が休めていないと、音を正しく処理できなくなることも。
■急な気圧の変化:飛行機や天候の変化で起こる“耳詰まり”から耳鳴りへ発展することも。
■肩・首の凝り:血流が悪くなり、耳周辺の神経にも影響が出る。
「もしかして、私の耳鳴りもこれかも?」と感じた人は、次から紹介する自分でできるケア方法を試してみて。
3.耳鳴りを軽減するセルフケア
①質の高い睡眠をとる

睡眠不足が続くと、自律神経が乱れ、耳鳴りを感じやすくなります。理想は7時間以上の深い睡眠。寝る前にスマホを見すぎない、リラックスできる音楽をかけるなど、質の良い睡眠を意識してみましょう。
② ビタミンB12を含む食事を意識する
ビタミンB12は聴神経の働きを助ける働きのある栄養素です。しじみ、レバー、魚類などに多く含まれています。日々の食事に、ビタミンB12を多く含む食材を積極的に取り入れてみましょう。忙しくて毎日食事を工夫するのは大変という場合は、サプリメントなどの栄養補助食品での補給もおすすめ。
③カフェイン・タバコは控える
「朝はコーヒーが欠かせない!」という人もいるかもしれませんが、カフェインの過剰摂取は耳鳴りを悪化させる要因になることも。カフェインは、コーヒー以外にも紅茶や緑茶などの飲み物にも多く含まれています。麦茶やルイボスティーなどのカフェインレスの飲み物やデカフェコーヒーに代えてみましょう。
また、タバコに含まれるニコチンや一酸化炭素は血流を悪くして耳鳴りに悪影響を及ぼします。喫煙習慣がある場合は禁煙を目指しましょう。
④耳鳴りに効くツボを押してみる
耳周辺の血流を改善したり、自律神経を整えたりするツボを押すと、耳鳴りの軽減が期待できます。「翳風(えいふう)」や「百会(ひゃくえ)」を、1日数回、リラックスタイムにゆっくり押してみてください。
・翳風

耳の後ろのくぼみにあるツボです。優しく押すことで血流改善が期待できます。
・百会

頭頂部の中心にあるツボです。ストレス軽減や自律神経を整えるのに効果的です。
⑤漢方薬で耳鳴りにアプローチ

耳鳴りの軽減には漢方薬の活用もおすすめ。漢方薬は、植物や鉱物など自然由来の生薬を含んでおり、一般的に西洋薬よりも副作用のリスクが低いといわれています。また、毎日飲むだけでいいので気軽に試せるのも魅力です。
耳鳴りの軽減には、血流や血圧を整えて高血圧による耳鳴りを改善する「七物降下湯(しちもつこうかとう)」や、聴力の低下や耳鳴り、めまいを改善する「滋腎通耳湯(じじんつうじとう)」が用いられます。
漢方薬は体質との相性もとても重要。体質に合わない漢方薬を使い続けても、本来期待する効果は得られないどころか、副作用を引き起こす場合もあります。漢方薬を使用する際は、漢方に精通した医師や薬剤師などにご自身に適した漢方薬を提案してもらいましょう。

薬剤師・元漢方薬生薬認定薬剤師 / 修士(薬学) / 博士(理学)。神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。
編集/根橋明日美 写真/PIXTAほか
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