精神科医・和田秀樹さん「50代からのダイエットはオススメしない」その理由とは?

老けを見つめる「老いの先生」にきく、私たちはどう老けるか。今回は精神科医・和田秀樹先生に「老化」との向き合い方についてお話を聞きました。

◆あわせて読みたい

「疲れた心に沁みる」と大絶賛の嵐!読むだけで元気が湧く【とっておき本】7冊

私の老いが行きつく先は?自分の理想の老け方がわかりません

大事なポイントは一秒でも長生きしたい人生観なのか、元気で若々しく過ごしたいのか

人生100年時代と言われますが、まず一度立ち止まって考えてみてください「病院で延命治療を受けながら1秒でも長生き」よりも「元気で若々しく残りの人生を送りたい」と理想に思う人が多いでしょう。しかし残念ながら現在日本の医者の大半は前者を優先させますが、この点に疑問を持ってください。美ST読者が「どう老けるか」を考えた場合「外見と元気さ」は欠かせませんよね。実はこの気持ちはとても重要。外見が若々しいと気持ちも若くなり、積極的に外に出て社会と交流したくなるという好循環が生まれます。ボトックスでも植毛でも美容医療は何でも取り入れた方がいいんですよ。結果若く見え、活動的になれるなら、それにこしたことはない。男性に比べ女性は鏡を見る機会も多いので「若くなった自分」を見るだけで元気になれる。これは間違いありません。

モテれば前頭葉が老けにくく。閉経後の男性ホルモンは女性に与えられたプレゼント

もう一つ大切なのが「痩せなければいけない」という呪縛からの解放。50歳を超えて痩せているとシワっぽくなり、若々しさを保つことが難しくなります。60代くらいで同じ年代の女優さんを比べるとわかりやすいですが、ちょっとぽっちゃりの方が70代、80代になった時、絶対若く見えるんですよ。そして僕の周りでモテている高齢者の共通点は「話していて楽しい」「個性を感じさせる」人です。話題が豊富で話をして楽しい人って、何にでも興味を持ち常に情報のインプットとアウトプットを心がけているということ。これを繰り返していると前頭葉機能が活発になり、つまりは老けにくくなる。また、一般的な健康常識では肥満をさけ血圧や血糖値を下げることが良いとされますが、血圧だってちょっとくらいなら高い人の方が脳も活発に働きます。そういった意味からも僕は50代からダイエットはオススメしません。

女性は閉経後に男性ホルモンが優位になってきますが、これは天から与えられたプレゼントだと考えてください。男性ホルモンが増えると物事に意欲的になるし、チャレンジ精神がうまれ、人付き合いも積極的にできるようになるんです。「長生き」するために健康診断の数値を気にして病院通いをするより、「元気」でいるためにはどうしたらいいかを優先してほしい。だって「元気」って生活を活性化させる即効性があるでしょ。元気でいるために、バランスよく効率的に栄養をとり、遊んで、おしゃれをして、美容に励む。美ST読者の方はこの「元気」でいるためのポテンシャルがすごく高い!今のスタイルを貫けば、いつまでも若々しくいられるはずですよ。

精神科医・和田秀樹先生の著書を紹介

(左から)〈50歳の分岐点〉ホルモンが大きく変化する50代の「思秋期」に向けた「老い対策」の指南。更年期に伴う心と体の変化に戸惑っている人には目からウロコのアドバイスが盛りだくさんです。(大和書房)、〈和田秀樹の老い方上手〉YouTube「和田秀樹チャンネル」とのコラボ本。人生の幸福の絶頂期を80代とするための医者との付き合い方や脳の仕組みなどを和田先生流にわかりやすく、痛快に解説。(WAC)、〈60代からの見た目の壁〉60代なのに40代に見られる人と80代に見られる人の違いはどこか。60歳以降で一気に広がる見た目格差を埋め、10歳若く見える方法を。美容好きな美ST読者には一推し。(エクスナレッジ)、〈100歳の超え方〉「80歳の壁」を越えて健康長寿をさらに延ばすための提言が満載。「気がつけば100歳」になるためには必読。元気で楽しく幸せな長生きを願って、親世代へのプレゼントにも。(廣済堂新書)、〈80歳の壁〉2022年の年間ベストセラー総合第1位になった高齢者のバイブル。美ST世代が読むと「老ける」ことへの概念が変わり、歳をとることがラクになり、恐怖心がなくなるはず。(幻冬社新書)

精神科医・和田秀樹先生

精神科医。1960年生まれ、灘中学・高校を経て東京大学医学部卒、立命館大学生命科学部特任教授、和田秀樹こころと体のクリニック院長。和田秀樹の親塾代表。ベストセラー『80歳の壁』『受験は要領』など著書800冊超。

2024年『美ST』2月号掲載
撮影/須藤敬一 取材/安西繁美

美ST