52歳の時に交際2週間でゴールイン!【女優・高橋ひとみさん(61歳)】が結婚は遅い方がいいと語る理由
ドラマ「ふぞろいの林檎たち」で、黒髪のおかっぱヘアのミステリアスな女性を演じ、鮮烈な印象を残した高橋ひとみさん。40代まで仕事と遊びに忙しく、結婚したいと思ったことは一度もなかったという高橋さんが、52歳で結婚。10年経った今もハッピーオーラに溢れています。
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たゆたえども沈まず。凜とした人でいたい
夫婦共にファッションが好きで、ふたりで一緒によく買物に行くとか。結婚後、夫の影響で好きなブランドも変わった一方で、ラルフ ローレンだけは変わらず大好き。犬にもラルフと名づけたとか。今日もラルフ ローレンを纏って、軽やかに笑う女優の高橋ひとみさん。
《Profile》 1961年東京都出身。’79年に寺山修司演出の舞台『バルトークの青ひげ公の城』でデビュー。’83年にドラマ「ふぞろいの林檎たち」で注目を集め、以降ドラマや映画、舞台などで幅広く活躍。現在はテレビの情報番組「スイッチ!」(東海テレビ)で金曜コメンテーターを務め、舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』にミネルバ・マクゴナガル役で出演中。
40年ぶりのオーディション。還暦を過ぎてなお新たなことに挑戦して喜びを味わえたことは本当に幸せ
昨年から舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』でマクゴナガル校長を演じています。この役はオーディションで決まったのですが、受けることになってから、これ以上ないほど稽古を重ねました。海外スタッフの前で芝居をするのは初めてで、もう緊張して緊張して。結果が出るまで1年以上かかり、「ダメだったかな」と悲観的でしたが、合格したときは信じられなくて。あんなに嬉しかったことは久しぶりでした。 オーディションを受けるのは、デビュー舞台となった『バルトークの青ひげ公の城』から40年ぶり。還暦を過ぎ、新たな挑戦をして、こういう喜びを味わえたことは本当に幸せです。それからはハリー・ポッターに関する映画を繰り返し観て、本も読んで、とにかくイメージトレーニングをしました。イギリス独特のウイットに富んだ言い回しを自然に表現したくて、実際に舞台に立っている間もよく見返します。 大変なときもありますが、毎日満席の客席を見るたびに、オーディションに合格したときの喜びを思い出し、ここに立てていることは当たり前じゃないんだと心から感謝をしています。
結婚は修行ですが、何事もすぐに慣れます
52歳のとき、2歳年下の会社員の夫と結婚しました。それまで結婚は一度もしたいと思わなかったですね。通い続けている、1つだけ願いを叶えてくれる京都の鈴虫寺でも「素敵な人が現れますように」とお願いしたことはなく、いつも仕事のお願いばかり。結婚するとしたら、目標は夏木マリさんで、60歳までには結婚したい気持ちがどこかにありました。 出会いは共通の友人が2カ月遅れで開催してくれた私の誕生日会。夫はそこに来ていた知人の友人で、その知人が信頼できる人で、その友人だからいい人なんだろうとシンプルに思いました。直後に私がフィレンツェに撮影に行くことになったとき、イタリアに詳しい夫が「一緒に行く」と言ったんです。えっ? って思うじゃないですか。「一緒に行動はできませんよ」と伝えたうえで、結局追いかけて来たのですが、スタッフの荷物持ちや通訳をやってくれて非常に助かりました。 今聞くと本人的には相当頑張ったらしい(笑)。フィレンツェで全員で一緒に写真を撮った仕上がりを見ると、夫との身長バランスがとてもよくて、〝あれ?案外いいんじゃない”って心が変わりました。知り合って2カ月、お付き合いして2週間で「結婚してください」とプロポーズ。酔っ払っていましたが「はい」と返事をし、2週間後に入籍しました。母はとても喜んでくれましたね。 「年取ってからの結婚ていいわね」とよく言われるのですが、最初は「えー!」と驚くことばかり。でも何事もすぐに慣れます(笑)。よく母が「結婚は修行よ。でも慣れるから」って。その通りだと思います。その母が寝たきりになったときも介護してくれ、亡くなったときはいてくれて本当に心強かったです。 楽しいこともたくさんあって、夫は洋服好きで、よく一緒に買物に行きます。結婚するまではドルチェ&ガッバーナなど華やかな洋服が好きだったのですが、夫は伝統あるブランドが好きで、購入までにも時間をかけ、長く着続けます。そこに影響を受け、トラッドが好きになり、がらりとファッションも変わりました。今は家じゅう、ジョンスメドレーやバブアーなどで溢れています。友人の東ちづるちゃんには「華がなくなったね。女優がそれでどうすんの(笑)」と言われています。 今年で結婚10周年。話し相手もでき、自分とは違った予想もしない意見を聞けて新鮮です。結婚してよかったなと思いますね。
大好きなラルフ ローレンのジョッパーズを颯爽と着こなして。スタイルのよさはさすがです。
シャツ¥138,600、パンツ¥222,200、ジレ¥138,600、スカーフ¥56,100、ハット¥111,100(すべてラルフ ローレン コレクション/ラルフ ローレン)ネックレス¥495,000、イヤーカフ(大)¥407,000、イヤーカフ(小)¥693,000、ブレスレット(手首側)¥495,000、ブレスレット(肘側)¥1,452,000(すべてメシカ/メシカ ジャパン)シューズ(スタイリスト私物)
「ふぞろいの林檎たち」は今も忘れられないドラマに
デビューは高校生のときで17歳。寺山修司先生の舞台でした。将来の夢もなく、絵が好きだから美大に行きたいけど行けるかどうかわからない。親が「大学に行きなさい」と言うけど、行けるかどうかわからない。ものすごく漫然とした思春期を送っていました。女優になれるなんて思っていなかったのですが…たまたま受けたオーディションに受かり、やりたいと思いましたが、当時は規則が厳しい中高一貫の女子高に通っていて。退学せざるをえない環境でした。ところが、母と校長先生に呼び出され、「今、やりたいことをやらないと後悔する。僕も本当は歌手になりたかったんだ」とお茶目に励ましてくださいました。 寺山先生に可愛がっていただき、ドラマ「ふぞろいの林檎たち」に繫がりました。女子校育ちで男の子と話すこともできないのにマッサージパーラーに勤めている女の子の役。自分を空っぽにして必死で演じました。撮影には男女共学の学校に通っているようで、お互い支え合い、あんなに仲のいい現場はあるかなというくらいスタッフも含めてみんな仲が良かった。 主題歌はサザンオールスターズの「いとしのエリー」。役ごとにテーマソングがあって、私が出てくると「栞のテーマ」が流れて嬉しかったですね。(中井)貴一君や(手塚)理美ちゃんとは今でも会うし、サブちゃん(時任三郎さん)ともLINEでつながっています。パートⅠからの出演者が全員揃って、14年後のパートⅣまでシリーズ化され、過去の映像を本人そのままで使えるドラマってなかなかないと周囲からも羨ましがられ、私も演じられたことを誇りに思っています。
美しい人は抗わない。草笛光子さんが目標です
時々流れる再放送を観ては、「細かったな」「ほうれい線ないな」と、年齢を経たことを突きつけられます。まだ諦められないですが、ピアスすら開けられないくらい怖がりで、美容医療なんて怖くてできない。せいぜい美顔器や美容液止まりです(笑)。 周囲には素敵な先輩がたくさんいらっしゃって、美しい人って抗っていない感じがします。老いを恐れず、自分を受け入れ、抗うのではなく、きちんとして清潔感があって凜としている。私はそういう人でありたい。なかでも、私の将来の目標は大きく、草笛光子さん。現役で、美しく、お元気で。少しでも近づきたい。そういう夢を持っていれば、年齢を重ねることも怖くない。そのためにも、まずは健康第一。健康でいるには気持ちが大事でしょ?私、厳しかったり辛いことは嫌いなので、好きなことだけをしています。興味と好奇心を持ち、即行動することがモットー。 “たゆたえども沈まず”というパリ市の紋章に刻まれた言葉が昔から大好きです。本来は「どんなに大きな波にあおられようとも、絶対に沈まない」というパリ市民の不屈の精神を表す言葉ですが、私としては、波の上下はあっても、沈まなければ大丈夫、バンと打ち上げ花火にはならないけれど、いつも静かに漂って、常に存在するというふうに捉えています。それが私にはすごく合っているでしょ。女優としては、そうありたいと思っています。 最近、風吹ジュンさんが素敵なおばあちゃまを演じていらして、いいないいな、って思っているの。おばあちゃんと言えば高橋ひとみだね、と言ってもらえるような、女優になっていられるといいなあ。
高橋さんが40代に伝えたいこと
代官山T-SITEでランボルギーニにチャイルドシートを装着し、カッコよく子育てしている若いママを見て、まだまだ“小さくまとまってはいけない”と感じました。年齢なんて関係ない。自分のしたいことをして、欲しいものを得る40代であってほしいですね。
2023年『美ST』8月号掲載 撮影/中村和孝 ヘア・メーク/木村真弓(マービィ) スタイリスト/おおさわ千春 取材・文/安田真里 編集/和田紀子