【宝塚OG・沙央くらまさん】が語る「常に戦っている感覚だった」宝塚時代と子育てについて

男役ながら鍵となる女役にも抜擢され、独特な立ち位置でファンを魅了した沙央くらまさん。「観た人の人生を変えるような残像を残せる表現者に」と語る沙央さんへお話を伺いました。

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教えてくれたのは……沙央くらまさん

《Profile》 東京都出身。愛称コマ。シェイクスピアシアターの劇団員だった両親の影響で幼い頃から芸術に親しんで育つ。中学生のときバレエ教室の先生に宝塚音楽学校受験を勧められ受験を決意。雪組、月組、専科に在籍。幅広い役柄を演じきる高い演技力と歌唱力を持った男役スターとして活躍。2018年宝塚歌劇団を退団後、舞台、映画、美容など多才派女優として活躍。プライベートでは一男のママ。

──美容通として有名です。宝塚時代からのこだわりポイントは?

目元です。第一印象を決めるのは目。舞台でも目の奥に潜むものが出てくる。宝塚では「目に星、バックに薔薇」と言われていて、白目に照明を当てて輝かせるために、まつ毛を上げる角度まで計算していました。役によってはまつ毛の影で目が切れ長に見える上げ方にしていましたね。

──出産後初の舞台復帰に向けてボディメイクされているそうですが、どんなトレーニングを?

遺伝子検査で有酸素運動を勧められたので、ウォーキングマシンを毎日30分。重要なのは筋膜リリース。筋膜を緩めないと他の部分が締まっていかないんです。産後の骨盤底筋トレーニングも続けています。年齢的な変化もあって、無理をして体調を崩してしまったことも。子供の風邪がうつることもあるので、本番に向けていかにコンディションを整えていくかが今の課題です。

──お子さんが生まれて、生活や考え方は変わりましたか?

もう全然違いますね。何をやるにも時間がかかって、自分だけの人生じゃなくなっているというのはすごく感じます。やっとペースに慣れてきたと思ったら、子供が歩き始めてまた一から、みたいな(笑)。でも、宝塚とは違うことをたくさん学ばせてもらっています。人間の原点に立ち返って物事を考えるようになりました。だから今は子供が師匠。舞台でも、子育て中の方も含め、観る人の人生を変えるような残像を残せる表現ができたら、と思っています。

──撮影でもクルクル表情が変わり、普段の柔らかい表情と異なった〝悪い顔〟もされますよね。復帰作『鋼の錬金術師』では冷静沈着で妖艶な役柄ですが

かなりチャレンジングな役です(笑)。でもこのくらい振り切ったほうが良いのかも。役をいかに腑に落とすかを大切にしています。今日の撮影もそうですが、何を求められているかを考えて、それを超えていきたいといつも思っています。

──男役だった宝塚時代もたびたび女性を演じられていました

あの経験が今に生かされています。月組公演『All for One~ダルタニアンと太陽王~』でモンパンシェ公爵夫人という役をいただいたのですが、演出家の小池先生から「卒業したらこの経験があなたに絶対に生かされると思う」と言われた言葉が現実になったので本当に感謝しています。

──雪組から月組、専科と組替えされた経験から得たものは?

辛いことも乗り越え、人の痛みがわかるようになったこと。なかなか本音で話すのが難しい世界で、自分のことをかっこつけずに素直に話すことで共感し合える。上下関係を超えて沢山の絆を築けたことが今でも財産です。

──最後に沙央さんにとって「美しく生きる」とは?

宝塚では常に戦っているような感覚がありました。卒業して思うのは、どんな時も豊かな心を持ち続けたいということ。それが美しさにも繋がっていく。そのためにも〝沙央くらま〟としていろんなことに挑戦して魅力的に生きていきたいと思っています。

沙央くらまさんからのメッセージ

「美しく生きるには目標となる先輩をもつことも大切。女優の真矢ミキさんと森口瑤子さんからいただく、いろいろと乗り越えてきた経験を踏まえたアドバイスにすごく助けられています」

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