ITリテラシーのプロが教える【子どもとネット】の対策法とは
私たちが子どもの頃にはなかったネットやSNSがらみの噓……どのような対策が必要? ITリテラシーの研究者に聞きました。
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高橋暁子先生
成蹊大学客員教授、ITジャーナリスト。SNSや10代のネット利用、情報モラルリテラシーが専門で、スマホやインターネット関連の事件やトラブル、ICT教育に詳しい。元小学校教諭で中学生の子どもを持つ母でもある。
● 私たちの想像以上に子どものスマホの中には大切な繫がりが詰まっています。 だから安易に取り上げないで
デジタルネイティブ世代である思春期の子どもたちにとって、SNSの繫がりは生活の一部であり、スマホは親が思う以上に必要不可欠なツールです。今の子どもたちはスマホの中にすべてが詰まっていて、それを死守するためなら噓もつきます。
実生活でなかなか出会えない自分と同じ趣味を持つ気の合う仲間と繫がることができるので、親でなく顔も知らないネット友達に悩みを相談するケースも。しかし、その相手が実は性別や年齢を偽って近付いてきている犯罪者ということもあるのです。
どうせ親に相談しても理解してもらえず、大事なスマホを取り上げられてしまうと噓を重ねた結果、犯罪に巻き込まれてしまう……これは絶対に避けたいですよね。まず親に必要なのは、噓をつく子どもを頭ごなしに否定せず理解しようという姿勢。夢中になっているSNSやゲームのことを「教えて」というスタンスで話を聞いてみましょう。その会話の中で子どもの本音を聞けることが多いので、そこを逃さず子どもに共感して。
次に、ネットについて親がよく調べ学ぶこと。子どもがネット犯罪に巻き込まれるのを未然に防ぐには、親による事前設定が肝心! 私に寄せられる相談は親がスマホの設定をすることで解消できることがほとんどですが、それを知らない親が多い。親子で話し合って決めたルールに基づいて設定し、子どもの使用状況の変化に応じて適宜話し合い、ルールをアップデートしていくのも不可欠です。
-- 一方でSNSには危険な犯罪があることを子どもに伝えておくべきでしょう
-- 令和の時代に入ってから被害児童数はぐんと増えています
親が気をつけること
・ 子どもを理解しようという姿勢で対話する
・ スマホの環境設定などを親がよく学ぶ
・ ルールが守れなければ話し合い、見直す
*SNSとは、大人数とコミュニケーションを取れるウェブサイト等で、通信ゲームを含む(届出のある出会い系サイトを除く)
*SNSに起因する事犯とは、SNSを通じて面識のない被疑者と被害児童が知り合い、交際や知人関係等に発展する前に被害にあった事犯
*対象犯罪は、児童福祉法違反、児童買春・児童ポルノ禁止法違反、青少年保護育成条例違反、 重要犯罪等(殺人、強盗、放火、強制性交等、略取誘拐、人身売買、強制わいせつ、逮捕監禁) *ともに警察庁「令和2年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況について」(2021年3月)より
撮影/西あかり 取材/竹永久美子、奥村千草 ※情報は2022年7月号掲載時のものです。
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