【広末涼子さん連載vol.11】「男らしく?」「女らしく?」家庭でのジェンダーレス教育をする時に心がけていること
【広末涼子さん連載vol.10】子どもの習い事を決めるときに大切にしていることとは?
STORY[ストーリィ]
女優・広末涼子さんの連載「毎日が3兄弟ママで、女優」。
ここで取り上げた読者ママの悩みに対して、広末さんも一緒に考え、思うことを語っていただく、Junior STORY本誌連動企画です。
「女の子だからスカート」。今までの価値観を打ち破るなら、今でしょ!?
6月号読者ママたちの声
ママの声①
子ども11歳男子 K.Sさん 45歳
小学校でジェンダーレス化も進み、出席番号や運動会の徒競走も男女混合。「男子」、「女子」という分け方をしません。ただ、高学年になると特に体のつくり、体力、腕力など、男女の差は歴然です。平等と公平をはき違えないように子どもにも指導する必要があるのではないかと思っています。ひとまとめに「ジェンダーレス化」で済ませないように子どもには伝えていきたい。でも「男の子なんだから女の子には優しくね」とか「男の子は女の子を守ってあげなきゃね」というのは今あまり言ってはいけないこと?
ママの声②
子ども9歳男子 A.Kさん 41歳
幼いころから、「男の子だから」、「女の子だから」という固定概念を植え付けたくなくて、息子が好きなピンクや赤の服を着せてきましたが、街ゆく上世代の大人たちからの「女の子みたい」や同級生からの「女みたい。変なの」との言葉を気にし始め、最近「男らしく見えるように」振る舞いだしました。本人の思うようにすればいいとは思うのですが、このことから、家庭ばかりで価値観をつくっていくのって難しいんだな、と思っています。
つい先日、「東京都立高校の女子スラックス制服、採用率8割超」というニュースをテレビで見て、私は驚きました。8割超!? なんという時代の変化、進化だろう。私自身、中学進学時に「どうして中学に行ったら、スカートを穿かなくてはいけないんだろう。私が女子っていうだけの理由でスカートと決められるなんて変だ!……あー、スカート穿くの本当に嫌だー」と、不満と疑問と不安を抱いていたことを覚えている。
もしかしたら、え!? どうして? と思われた方も多いかもしれません。私の説明不足でしたらゴメンナサイ。何を隠そう私は小学生時代、一度もスカートを穿いたことがない、いつもズボンでショートカットの少年のような女の子。道を歩いていても、「ボク、かわいいねぇ」 と、知らないおばさんに男の子に間違えられてしまう女の子だったのでした(無論、当時の私は、子どもながらに「はい? わたし、女子ですけど!」と心の中でツッコミを入れていたのだけれど)。
そんな幼少期を経て、ボーイッシュな雰囲気のまま迎えた中学入学当時、私の気持ちをぶつける場はどこにもなく、反論する余地もなく、ただ女子というだけでスカートを穿いて登校するしかなかったのでした。登校初日は、恥ずかしくて屈辱的で、嫌で嫌で仕方なかったことを覚えています。私が育った時代、「男の子なんだから……」「女の子なんだから……」という親からの決まり文句はもちろんのこと、学校の先生も同じく男子と女子を区別していたし、体育の授業や保健体育のクラスも男女で分かれているのが当たり前だった。学校の休み時間、男子とバスケットやサッカーばかりしていた私にとっては、何故、体育の授業では男女が別々に分けられていて私は女子とバレーボールしかできないのか? どうして女子には野球を教えてもらえないのか? 心底不思議でならなかった。
けれど、そんな私の素朴な疑問を受けとめてくれるような大人が周囲に見つからなかったし、たぶん私が男勝りな性格だからこんな風に考えてしまうのだな……と気持ちを収めざるを得なかった。
しかし今となっては、そんな時代を生きてきたからこそ培われた昔でいう〝女らしさ〞や自分の古風な一面も嫌いじゃないと思えるようになりました(笑)。
冒頭のニュースの内容に戻りますが、今は8割もの学校が制服を選べるシステムを採用しているのだということを知り(このニュースの内容は都立高校対象の調査なので全国的には未だそこまで浸透していないとはいえ)、私はなんだか嬉しい気持ちになったと同時に、とても画期的なことだと感じたのでした。
ジェンダーレス化している現代、私たちが育ってきた時代とは明らかに変化してきている今。この時代に子育てをしていくママの一人として、性の多様性と人権に真摯に向き合っていきたい。〝男の子だから〞〝女の子だから〞という固定観念に囚われすぎず、我が子の個性を大切に、ひとりひとりを尊重して、子どもの成長に向き合っていきたいです。そのためには、ママである私たちの価値観や性に対する考え方をアップデートしていく時なのかもしれませんね。
今でしょ! !
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【広末涼子さん連載vol.9】個性が違う兄弟間の進路や習い事。キャパシティ限界な母はどうする?
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〈次回へつづく〉
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広末涼子
1980年高知県生まれ。14歳でデビュー後、CM、ドラマ、映画と数々のヒット作に出演。日本アカデミー賞をはじめ受賞歴も多数。プライベートでは、高校生、小学生、幼稚園児と各世代3人の子ども達のママ。書き下ろしエッセイ「ヒロスエの思考地図 しあわせのかたち」(宝島社)が絶賛発売中。
文/広末涼子 撮影/渞 忠之 ヘア・メーク/千吉良恵子(cheek one) スタイリスト/竹村はま子 取材/小仲志帆
【衣装クレジット】シャツ¥28,600(upper hights/メゾン イエナ)パンツ¥9,990(プラステ)ブレスレット¥33,000(アダワットトゥアレグ)ピアス¥34,100(シンパシーオブ ソウル スタイル/フラッパーズ)