【不妊治療】アラサーでも未婚でも…知っておきたい「同年代の不妊治療の実態」【自己流にせず、最初から不妊治療専門クリニックに行ったのがよかった】

昨年から保険適用になり、より一層身近なものになった不妊治療ですが〝まだ早いかな…〟や〝まずは自己流で〟など、クリニックへ行くことに躊躇いがあるかも。でも、自分のカラダを知ること、考えることに早すぎることはありません。

不妊治療をしている人の割合は、CLASSY.世代の割合が一番高い!

日本では3組に1組の夫婦が悩んでいるという話も…

保険適用になった2022年4月

保険適用になった2022年4月以降、不妊治療を受けている夫婦の年齢は若年化の傾向に。ただ一番多いのは30代後半になってから治療を開始するケース。※浅田レディースクリニックより

実際どうだった?同年代の不妊治療のケースが知りたい…!

【K.Kさん(32歳・人材系勤務)の場合】

「自己流にせず、最初から不妊治療専門クリニックに行ったのがよかった」

「病院選びの基準は、診療時間や家からの距離でした」
病院選びはグーグルマップの口コミを参考にしていたのですが、正直何を基準に選べばいいのか迷うことばかり。不妊治療中の友人は「口コミで評価が高い病院に通っているけれど、常に混んでるし、流れ作業のような治療になる」と言っていて、どこまで口コミを信用すればいいのかも分からなくて……。結局、アクセスしやすく、なるべく仕事に支障が出ないところを基準に選びました。最終的に決めたのは、家からも会社からも通いやすく、❶夜も土日も診療していて、アプリ予約ができるクリニック。仕事終わりでも土日でも通えるのは大きくて、有休を使ったのは多くて月3回程度。診察に丸一日かかることはないので、調整すれば半休で済むこともありました。ただ、病院が混んでいる日は待ち時間が長くなり、少し遅れて出社予定だったのが午前休になることも。また、出張に合わせて周期をずらす必要があった時期は、その際に服用するピルの副作用で吐き気がおさまらず、通院以外で有休を取らざるを得なくなったり。でも8カ月の通院期間で、私の場合は有休を使い切ってしまうようなことはなかったです。❷不妊治療は、はじめに受ける様々な検査の結果ありきで進んでいくので、一度通い始めるとなかなか転院しにくいと個人的に感じています。通ってみないと分からない部分もありますが、最初の段階で自分に合う病院を見つけられると、その後の治療もスムーズに進むと思います。

「一番緊張したのは、不妊治療を始めることを部長に話したことでした」
❸不妊治療経験者の同僚から「伝えた方が後々いいよ」とアドバイスをもらって、直属の部長にだけは話をしました。直接対面で伝えたのですが、個人的には心理的ハードルが一番高かったですね。上司は男性ですが、女性が多い職場でもあるので、周りに不妊治療をしている人がいることも分かってくれているように感じました。実際に治療中、上司の理解は大事だなと感じることも多かったので、かなり緊張しましたが、治療に入る最初の段階で伝えられてよかったと思っています。不妊治療は生理周期やホルモン値をベースにスケジュールが決まるので、なかなか自分の都合で来院日を変えられません。引き継ぎやサポートをお願いしなくてはならない場面もあり、申し訳ない気持ちになることも多かったです。

「体外受精を嫌がる心理は、自然な出会いを求める心理に似ている!?」
当初は自然妊娠を見据えていました。ですが、ホルモン剤を打っても卵が成長せず、「こんなにも自分は妊娠しにくいんだ」と身を以って感じて、すぐに体外受精に切り替え。不妊治療専門クリニックに通ったとしても、自然妊娠を望む人が多く、すぐに体外受精にステップアップする人は少ないと聞きます。体外受精に抵抗を抱くのは、自然な出会いを求める心理に近いのかな?お見合いやマッチングアプリは嫌、という心理に似ているような気もします。でも、早く結果が欲しいなら、ステップアップも視野に入れた方がいいと私は思いました。先日、体外受精を経て妊娠判定が出てクリニックを卒業しましたが、私の場合はそのまま自然妊娠を目指し続けていたら、妊娠できなかったかもしれません。

「保険適用になったので、自己負担はトータル22万円くらいでした」
実際にかかった費用は、1回の採卵から移植までで約70万円。❹ですが保険が適用されて、自費負担は22万円程度でした。さらに、東京都と区の助成金を申請すれば、もっと費用は抑えられます。2022年4月から不妊治療が保険適用になったことは、治療に踏み切るひとつのきっかけになりました。採卵の際の麻酔代など、自費の項目もありますし年齢によって保険適用の回数は限られていますが、保険適用や助成金の制度があるのは大きいし、不妊治療へのハードルも下がると思います。

あわせて知っておきたい「不妊治療」のこと

❶最近は働く女性に合わせて、20時頃まで受診可能なクリニックや土日も開いているところも多くなっている。アプリで予約できるとなお便利という声も多数。

❷治療内容を決めるため、どのクリニックでも最初は夫婦ともに検査が必要。しかし転院すると、また最初から同じ検査を何度も受けることもある。

❸医師に作成してもらう「不妊治療連絡カード」を、面談の際に提出するのも手。治療回数などがわかりやすいため、上司が状況を理解しやすい。どのクリニックでも、頼めば作成してもらえる。

❹渋谷区では、1回の治療につき自己負担額(保険診療の自己負担分+先進医療にかかった費用)について、あわせて10万円まで助成・男性不妊治療を行った場合は、その治療について10万円まで助成する制度が。各自治体で支援の制度は広がっているので、住んでいる自治体のホームページを確認して。

教えてくれたのは…

教えてくれたのは…K.Kさん(32歳・人材系勤務)
30歳のとき、5歳年上の彼と結婚。32歳で不妊治療をスタート。生理不順だったため、最初から不妊治療専門クリニックを夫婦で受診。渋谷区在住。

イラスト/Erika Skelton  取材/坂本結香 再構成/Bravoworks.Inc