【新一年生ママ必見】親子の防犯『子どもが危ない“5つのパターン”』って?

入園入学シーズンは「子どもが初めて一人で外に出る」タイミング。知っておくべき、気を配るべきことがたくさんあります。今回は読者さんからの質問にお答えしつつ、防犯の基本を専門家とおさらいします。

\教えてくれたのは/

特定非営利活動法人・日本こどもの安全教育総合研究所理事長

宮田美恵子さん

順天堂大学協力研究員、日本女子大学客員准教授などを経て現職。大学では教職科目「学校安全」などを教えている。保育所や学校では、安全体験学習プログラムを推進し、メディアでも発信。『うちの子、安全だいじょうぶ? 新しい防犯教育』(新読書社)、『こども安全カード100』(幻冬舎)など。

 

 

まず、親子で確認しておくべきことは?

我が家のお約束を何度も確認!
パーソナルスペースも意識して

令和2年のデータでは、小学生の誘拐等は87件、強制わいせつが641件、暴行・傷害が1,511件、強制性交や強盗、殺人の凶悪犯が192件ありました※1。また小学生以下への前兆事案(声かけ、つきまといなどの性犯罪の前兆行為)は令和3年で811件※2。ただしこれは認知件数で、特に性被害の場合被害を認識できない、言い出せない場合もあり氷山の一角と思われます。そして女の子だけでなく男の子も被害に遭っています。

犯罪者・不審者といえば、子どもをいきなり襲うようなイメージを持ちがちですが、多くは子どもを怖がらせないように、むしろ優しい表情で近づいてきます。そして声かけの内容は、違う場所へ移動させようとするものがほとんど。相手が知っている人だとしても、「どんな人、話であろうとついていかない」ことを徹底させます。「猫がいるから見にきて」「お母さんが呼んでるよ」と言われたら? そんなシミュレーションをたくさんしておいてください。そして、子どもには自分の両手を広げた「パーソナルスペース」に入り込み声をかけてくるような人には疑問を持つよう伝えましょう。

ただ、子どもは「人には親切に」と教えられていますし、いい子でいたい気持ちがあります。「道案内して」「手伝って」と言われ断れない子も。親からの教えに整合性がないと子どもは混乱しますので、その場から移動せず相手との距離を保ったまま道を伝える、わからない場合わからないことを伝えることで十分親切な行いだよと伝えてください。

入園入学まで少し時間がありますから、登下校の練習や出かける時・留守番の時の我が家のお約束を確認しておきます。そして地域ボランティアや学校の対策も割と手厚い4月を越えてからも気を抜かないことが大切。前兆事案も平日登下校中の5、6月と10、11月が特に多くなっています。また交通事故の死者・重傷者数も1年生が突出しており、6月の下校中に最も多く発生しています※3。携帯を持たせると「17時までに帰る」などの家族との約束がルーズになることも多いです。約束を親子できちんと確認して例外を作らないことが、普段の防犯の意識づけにも役立ちます。

※1「令和2年における少年非行、児童虐待及び子供の性被害の状況」警視庁生活安全局少年課 ※2「令和3年中における小学生以下を対象とした前兆事案」福岡県警察本部 ※3「小学生の歩行中の交通事故(平成29年〜令和3年)」警察庁

「こんな時どうする?」5つのパターン

何かあった時に駆け込める場所を
たくさん作ることが大切

Q. 3月生まれで幼いです。春から通う学校は徒歩1km弱と遠いのですが集団登下校などがありません。今から歩く練習をしようと思いますが、何に気をつけて歩けばいいでしょうか?(5歳女の子ママ)

A. 何度も通学路を歩く練習をしましょう(平日の同じ時間がベスト)。子どもをねらう人は一人になった時に声をかけてくることが多いため、「できるだけお友達と一緒に帰る」「何かあった時に駆け込める場所をたくさん作る」ことが大切。お店や事業所、子ども110番のステッカーを確認し、親子で実際に入って、子どもにお買物をさせると良いです。お店の人と顔を合わせ、入りやすくお願いしやすい関係性を作っておきましょう。そして何があったか子どもが説明するのが難しい場合「助けてカード」を持たせておきます

子どもに迷わせると良くない選択を
生んでしまう。お留守番時は
一律で「対応しない」

Q. 私と夫ともに、突発的な仕事で小学校の登校時間より早く家を出ないといけないことがあります。どんなことに注意すればいいですか?(6歳男の子ママ)

A. お留守番と同じ状況ですね。お留守番では「外と接触させないこと」が大切。玄関の訪問者や電話は対応しなくて大丈夫と安心させつつ伝えます。チェーンをしていても顔を合わせてお願いされたら開けてしまうかもしれないので、「対応しない」と一律で決めましょう。またiPadなどのインターネットもその時間は使えない設定に。今は親が見守りカメラで声かけしたり、遠隔で鍵をかけることもできるのでそれらを使うのも手。

防犯ブザーや携帯、鍵は首下げNG!
遊びに行く時の約束を確認

Q. 春から娘が携帯NGの私立校に。防犯ブザーやGPSは役に立ちますか?(6歳女の子ママ)

A. 有効です。防犯ブザーは抑止力・実際に危険を周知できるので必要ですし、バスの中に取り残される事件もありましたがGPSはもしもの時に位置を知るという意味でも役に立ちます。ただしランドセルにつける場合はサイドではなく肩ベルトのフックに。携帯や鍵、ブザーなど首からかけるのは安全上も防犯上もオススメしません。引っ張られると抵抗できなくなってしまいます。マジックテープなどでベルト穴等に通しぴったり身につけて。遊びに出かける用の防犯ブザーを用意し(今は安価で売っています)、お出かけする際は身につける約束にしても。

公園のトイレはできるだけ
一人にならないよう教える

Q. 小学生になるとお友達と公園で遊ぶ機会も増えると聞きます。何に注意すればいいですか?(6歳女の子ママ)

A. 遊ぶ公園が選べるなら、公園自体やトイレが人目につかないところは避けて。トイレも自宅で済ませておくのを徹底するのがベターですが、それでもトイレに行きたい場合はお友だちと複数で行くように教えてください。ちなみに人目につかない公園でも、複数で遊ぶことで危険は減らせます。一人で遊ぶことは避けるようにしましょう。また実は小学生の犯罪被害の圧倒的1位は自転車盗なので(※1)、自転車にも鍵をかけ、防犯ブザーは身につけましょう。

バス・電車では人目につく場所に
座り、防犯ブザーも活用を

Q. 電車、バス通学が始まります。どこに座ったor立ったほうが安全ですか? また、小学生を狙う痴漢の話も聞きます…。(6歳女の子ママ)

A. バスでは、人の目が届きにくく出にくい最後尾両端には座らないように。運転手さんの近くや乗降口近くの座席に座る、もしくは混雑しているなら立つようにします(安全上できれば座ることをオススメします)。どの席に座っても防犯ブザーは周囲から見える位置に取りつけることで抑止力とし、嫌だ・変だと思った場合すぐに鳴らせる状態にしておきましょう。「助けてカード」も活用します。

子どもにできることは少ないから。
「助けてカード」を持たせても

「子どもにとって、危険な目にあったとしてもその状況を説明したり、話を切り出すのでさえ難しいもの。緊急時に判断し行動するのは幼いほど困難です。迷いなくすぐ助けを求められるように、『助けてカード』を作り、持たせておくことをお勧めします。カードの裏には親の連絡先を記載して」

イラスト/秋山 花 取材・文/有馬美穂 編集/羽城麻子
*VERY2023年2月号「親子で「防犯」入学準備」より。