ホテルメトロポリタン
夏限定 Suicaのペンギン クッキー
「JR 東日本のマスコットキャラクターである、『Suica のペンギン』のクッキー缶は、缶マニア、スイーツマニアだけでなく、鉄道ファンからも愛されている。2020年8月の発売以来、新デザインの発売月は30分で完売。そのため『なかなか購入できないので、抽選販売にしてほしい』というリクエストが多数寄せられ、現在は数量限定 • 予約販売となった。缶のデザインはホテルの社員が担当。缶ぶたにプリントされた『Suicaのペンギン』の動きや表情はいくつか種類がある。通常、お菓子缶の中身にはあまり触れないが、これに関しては触れずにはいられないかわいさなので、ぜひ見てほしい」(中田さん)
※ 7、8、9月販売。現在は、「Suicaのペンギン 大人のクッキー」が販売中。
LABORATOIRE merci(ラボラトワール メルシー)
エッグドシャ
「子猫とにわとり。イラストレーター・稲村毛玉氏による、この絵本のような組み合わせは、実話から生まれたもの。『ラボラトワール メルシー』は、栃木県宇都宮市にある養鶏場『卵明舎』が手がけるケーキ屋なため、にわとりを描いた。そして猫は、『卵明舎』内にある馬小屋で迷い猫が生んだ子猫をモチーフとしている。フランスの片田舎の雑貨屋に置いてありそうな、懐かしいかわいらしさを持ったお菓子缶」(中田さん)
鎌倉紅谷
クルミッ子 10個入(缶)
「1954年、鎌倉市雪ノ下にある、北条泰時小町邸跡地に創業した『鎌倉紅谷』。35年以上前からある『クルミッ子』は、元は鎌倉銘菓であったが、今や百貨店での取り扱いもあり、全国的に知られている銘菓である。その『クルミッ子』、長きにわたり缶入り商品がなかったが、満を持して2020年に缶入り商品が登場した。缶入りの商品は、中身の菓子だけでなく、缶への注目度も高いため、発売当初は連日即完売し、入荷待ちとなった。アートディレクションは阿部岳氏、デザインは村上理沙子氏が手がけた。
缶シリーズ第一弾として発売された、『クルミッ子 10個入』缶。『ふたを開けるとまるでリスくんのお家をのぞいているようなワクワクする気持ちをお届けしたい』というコンセプトから生まれた。缶ぶたのリスくんには、エンボス加工が施されており、シンプルながらも装飾性の高い仕上がりになっている」(中田さん)
大畑食品
クルミのおやつ(白缶)、クルミと果実(黄缶)
「缶マニアだけでなく、デザインに携わる人間を魅了するデザインなのだろう。本書を撮影したカメラマンや、まわりにいるデザイン関係の人たちが、『この缶だけはわざわざ取り寄せた』と口々に言うことに驚いた。デザインはナカグロによるもの。真ん中に半分に割れたクルミ、そしてまわりを取り囲むパターン化したリス。ある種の文様を思い起こさせるような、印象的なデザインだ。白缶は2014年、黄缶は2019年に発売された。『大畑食品』は石川県金沢にある。金沢では藩政時代よりクルミは『久留美』と書かれ、美容と健康にいい食材として親しまれてきた。そんなクルミを現代の人たちにも親しんでほしいと、持って歩けるようなサイズにし、クルミが好きなリスをキャラクターに、食べたあとも身近に置きたくなるようなデザインに仕上げたという」(中田さん)
GALETTE au BEURRE(ガレット オ ブール)
ガレットオリジナル 18個入
「洋菓子メーカー『モロゾフ』より、2020年に東京に1号店をオープンした、バターを楽しむ焼き菓子専門店『ガレットオブール』。焼き菓子専門店にありがちな甘くフェミニンなデザインに落とし込むのではなく、マチュアなデザインにしたところが特徴。個人的な推しはグレーの缶を使った『ガレットオブール 23個入』。今まで日本の洋菓子の缶で、黒はあれどグレーを使ったものはなかったように思う。グレーとエンボス加工されたゴールドのフォントの組み合わせの美しさはここだけのもの。
ひと口に“赤”と言ってもさまざまあるが、この缶に使われている赤は、こっくりとした美しい発色のローズレッド」(中田さん)
中田ぷう (なかたぷう)
お菓子缶研究家・フードジャーナリスト。東京生まれ。
大手出版社勤務後、2004 年にフリーランスに。祖父に買ってもらった「CHARMS(チャームス)」の缶をきっかけに、以来 47 年間、お菓子缶を偏愛するようになる。所有するお菓子缶の数は 1000 缶以上。今は亡き祖父の部屋をお菓子缶部屋として使用させてもらっている。2021 年に前著となる『素晴らしきお菓子缶の世界』(光文社)を刊行。
缶専用インスタグラム:@pu_nakata_tin