インスタグラビアの女王・似鳥沙也加の初執筆小説を公開! イラスト×超短編小説×音楽の1 PICTURE 1 STORY Vol.5

bisで連載中のイラスト×超短編小説×インスパイアソングで世界観を表現する次世代プロジェクト「1 PICTURE 1 STORY」。Vol.5のストーリー作家は、“インスタグラビアの女王”ことグラビアモデルの似鳥沙也加さん。9月末に発売したメジャー1st写真集『Ribbon』(KADOKAWA)でも話題の彼女が挑んだ、初の小説執筆作品をお届けします!

ユニークな言葉のセレクトから優しさがにじみ出る、本作『スモールワールド・イン・カーテン』。似鳥さん自身の体験をベースに、普通の学校生活からは一歩離れているカーテンで覆われた小さな世界が小説として綴られています。

本作の主人公・ユカが学生生活で体感するのは、思わずくすりと笑みがこぼれるような「ひまわりルーム」の日常。カーテンの中で育み愛しんだ“幸せ”を胸に迎えるラストシーンは、見どころのひとつです。

似鳥さんの“相方”を務めたのは、レトロな色使いで芯のある女性を描く作風が人気のイラストレーター・OKADAさん。ラストシーンをイメージして、自分らしさを見出した女性の強さが描かれています。さまざまな想いを感じさせる表情の意味を、以下で小説をご一読いただき、ユカのひまわりライフを追憶しながら味わってみてください。

1PICTURE1STORYとは?

イラストレーターが描く1枚の作品と、それをもとに綴られたひとつのショートストーリーを掛け合わせて生まれた「原案」をコンテンツ作品とする、新時代の表現プロジェクト。「原案」の世界観からインスピレーションを受けて作られた「インスパイアソング」をイラスト×ストーリーと掛け合わせ、国内外に新しいエンターテインメントを発信。今後は、コミック、Webtoon、ドラマ、アニメーション、朗読劇化など、クロスメディアで作品を展開予定。

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スモールワールド・イン・カーテン

ユカが中学時代の3年間を過ごしたのは、普通の教室ではなく「ひまわりルーム」。そこは、ベージュのカーテンに包まれていた。教室に通えなくなった生徒のためにある、外からは見えない”閉じた世界”。一体、どんな世界なのか。

●1時間目:ファインプレー
普段カーテンが閉じられている、ひまわりルーム。空気の入れ替えで窓とカーテンを開ける先生に、ルーム内が凍りつく。
《“向こう側”から見られたくない!》
その思いに怯える1年生のユカの脇を、1人の先輩が駆け抜け、先生を振り切ってカーテンを閉めた。
《先輩ナイスです!》
そんなことで、全員に仲間意識が生まれる。

●2時間目:真昼の肝試し
給食の時間は唯一“向こう側”に出なければならない恐怖の時間。5人で1列になり、配膳室を目指す“ひまわり団”。歩みが重すぎて、全然たどり着かない。
《廊下、延びてないよね…?》
突然、先頭がトイレに転がり込んだ。「ダレカクル ニゲロ」の合図だ。逃げ遅れて廊下のカーテンに隠れたユカは、ふと冷静になった。
《私たちってなんだか可笑しいね》
カーテンの中でくすりと笑った。

●3時間目:妄想運動会
ひまわりルームのみんなは行事にも参加することはない。運動会を窓から眺めながら想像するユカ。
《私たちが出たら?》
カーテンを被り隠れながら登場するユカたちに「ひまわりルームのみなさん、まず顔を出してください」のアナウンス。組体操のピラミッドでは目立つのが怖くて全員土台で失格、リレーは被ったカーテンが追い風に煽られて優勝——ユカは気づいた。妄想は自由でも“普通クラス”に自分はいない。

●4時間目:不思議だね
ひまわりルームの中でもいじめが起きていた。
《あれ、ここ“ひまわりルーム”なのにな…不思議だね、可笑しいな》
ユカはいじめをしてる子たちに一言だけ伝えた。
《カーテンが閉められた空間でいじめが起きたら、余計にジメジメしてしまうよ》
カーテンの中を風通しよくしたいと願ったユカの想いは、日に日に叶えられていく。

●5時間目:仰げば、尊し
あと何日かしたら、ユカはひまわりルームから旅立つ。ユカの困難は「廊下を堂々と歩く」こと。普通の人が“フツー”にできることも、ユカの“ふつう”ではない。3年間、必死に隠れる術を身につけた。生きやすさへの探究心をもったひまわりルームのみんなは、閉ざされた世界でも、いつもキラキラしていた。ユカは、自信をくれた3年間に手を合わせた。

●10年後:カーテン
心地よい風を感じる春。社会人になるユカは、人生で初めてのひとり暮らしに向けて、引っ越しの準備で忙しい。家具を買いに行くと、足が止まった。
《あ…ベージュのカーテン》
思い出が、鮮明に蘇る。胸がいっぱいになって、くすりと笑った。

ストーリー/似鳥沙也加

Instagramの自撮りグラビア「#インスタグラビア」の草分け的表現者。現在のSNS総フォロワーは155万人以上。数多くの雑誌の表紙を飾る。メジャー1st写真集『Ribbon』(KADOKAWA)が好評発売中。

「過去の自分の体験などを基に執筆しました。今の苦しみが未来には、クスリと笑えるような時間になることがあるという希望を、今、苦しんでいる方に伝える事が出来たらなと想いを込めました」

Twitter:@nitori_sayaka
Instagram:@uw.sayaka

イラスト/OKADA

漫画アシスタントを経て、ソーシャルゲームなどのイラストを多数手がけたのち、2019年よりオリジナルのイラストを描き始める。レトロでポップな雰囲気の中に存在する“力強い目”の女性が特徴的。

「何げない光景から思い出される過去。誰にでもあるそんな場面ですが、どんな出来事もすべて今の自分につながる、という希望を込めて描かせていただきました」

Twitter:@HOOOOJICHA
Instagram:@okadahoooojicha

インスパイアソングが12月7日(水)から配信開始


『スモールワールド・イン・カーテン』をもとに、ソロシンガーのLOVESIXさんが『カーテンコール(feat. LOVESIX / Machico)』を制作。今回シンガーを担当するのは、声優・アーティストとして活躍するMachicoさんです。配信同日には、1 PICTURE 1 STORY公式YouTubeチャンネルでMVも公開! お楽しみに。

・配信開始/2022年12月7日(水)→iTunes、Apple Music、Amazon Music、Spotify、LINE MUSICを含む主要音楽配信サービス

楽曲制作/LOVESIX

『ねじれた愛を歌うソロシンガー』をキャッチコピーに2021年始動。おもににTikTokやYouTubeで活動しており、YouTubeの総再生数は100万回を超える。

「イラスト、ストーリー共に素晴らしかったので、その世界を壊さないように心掛けました。そこにMachico様の力強い歌声が合わさる事によって、唯一無二の楽曲になったと思います!」

Twitter:@lovesicks_x
YouTube:LOVESIX official

シンガー/Machiko

広島県出身の声優・アーティスト。おもなな出演作品は『ウマ娘 プリティーダービー』トウカイテイオー役、『アイドルマスター ミリオンライブ!』伊吹翼役、『プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク』草薙寧々役など。歌手として、TVアニメ『デリシャスパーティ?プリキュア』OP主題歌を担当中。

「ひとつのイラストからそれぞれの世界で紡がれる音楽・物語。「カーテンコール」は疲れた心にそっと寄り添うような、入りすぎた力をほぐしてくれる優しい前向きな曲です。LOVESIXさんの描く繊細で温かい世界を楽しんでいただけたらと思います」

Twitter:@MachicoOfficial
Instagram:@machico_3s25