中村蒼さん「仕事ってしんどいものだと思っています」ストイックな姿勢の理由は
7月クールのドラマ『家庭教師のトラコ』(日本テレビ系)に出演中の中村蒼さん。主人公の幼なじみでよき理解者の福田福多役を好演中の中村さんのインタビューも今回がラスト。前回に続き、今回も中村さんのお仕事観にフォーカスします。14年ぶりの再会や、オンオフの切り分け方など、中村さんらしさあふれるお仕事論、必見です!
14年を経て変わったのは…「自分のセリフは相手の芝居のためにある」と考えるようになったこと
——ドラマ『家庭教師のトラコ』の出演決定コメントで、「14年ぶりに遊川さん、大平さんの作品出演となり、どれだけ成長したのかを見られるような気がして緊張しています」と話されていました。ご自身で「成長したな」と思う部分はどんなところですか?
相手のためにお芝居がある、という認識は14年前の自分にはなかったですね。当時は、いかに自分のセリフを上手く言うかの方が重要だと思っていました。目の前のことに精一杯だったんですよね。でも今は、自分のセリフは相手のためにあると思っていて。お互いのセリフや動き、表情が影響し合ってひとつひとつのシーンが出来上がっていくんだって思っています。そんなふうに考えられるようになったのは、変化のひとつですね。
——今回のように久しぶりの方とお仕事するのは緊張しますか?
緊張しますね。やっぱり試されてるんじゃないかと思うし(笑)。もちろん今は、遊川さんと大平さんが築き上げてきた功績の凄さを認識していますが、14年前はあまり分かっていなくて。年齢と経験を重ねて色々なことに気付いたぶん、今の方が余計緊張します。
自分の人生とはまったく違う人生を歩める。だから俳優って面白い。
——『家庭教師のトラコ』では、橋本愛さん演じる、根津寅子の秘書としてサポートする役を演じられています。もし、俳優という職業を選んでいなかったら、どんな職業に就いていたと思いますか?
僕も時々、そんなことを漠然と考えることがあります。今回演じる福田福多は、東大卒の元官僚で、今は寅子をサポートしつつ株でもm成功している有能な人物ですが、僕は勉強も出来なかったし、大学受験もしなかったかもしれないから、福多のような働き方は想像もつかないですけどね。
——子どもの頃の夢は何でしたか?
そういうのもあまりなくて。サッカーをやってたからサッカー選手になりたいとか、自分のチームに地元のTV局の人が取材に来たことがあって、「カメラマンさんってかっこいいな」って思った記憶はありますけど、具体的にその職業になるための方法を調べることもなく……。何も「これだ!」と思えるものがなさそうだった僕を親が心配して、この業界に入れてくれたっていう面もあるんです。今回のドラマで「東大卒で財務省に勤めてました」というセリフがあって。僕自身の人生ではありえないことだから、改めて面白い世界だなと思い、自分でも笑っちゃいました。
楽しいのは2、3割。仕事ってしんどいものだと思っています。
——中村さんご自身が、毎日を無理なく、心地よく生きるために、心掛けていることはありますか?
仕事をしてる時って基本無理してるっていうか、やっぱり多少なりとも仕事モードの自分になってるなって感じていて。だから、仕事に向き合う時に「心地よさが欲しい」とか「無理はやめよう」って考えたこともなかったです。昔から仕事ってしんどいものだと思っていたし、楽しいのは2、3割くらい、と捉えていました。
——仕事で楽しいと感じるのはどんなときですか?
たとえば、人のお芝居を見ているときは楽しいです。あとは今回のドラマみたいに、スタッフさんや共演者の方と何年かぶりにご一緒することが結構ある業界なので、そういう方と昔の話をするのも楽しい。ずっとこの世界にいますが、僕自身は今も役者の仕事が自分に合っているのか、今後も続けられるのか分からないと思っているんです。そういう中で、久しぶりに再会した方と昔のことや今のことで会話できたときは、この仕事を続けていてよかったなって感じる瞬間ですね。
オンオフの切り替えは早いほう。プライベートでは変顔もします(笑)
——中村さんはONとOFFのスイッチの切り替えは早い方ですか?
そうですね。そういうつもりではいますけど、プライベートでもなんとなく仕事のことを考える瞬間もありますね。夜中に目が覚めて仕事のことを考えてしまって寝られなくなったり(笑)。仕事とプライベートではテンションが変わる方で、仕事場だとわりと物静かで、あまりオープンな人間ではないのですが、プライベートでは踊ったり歌ったり、変顔もしたりします。どうしても仕事現場だと、覚えておくべきことや次のシーンで何をどうするかみたいなことが頭にあって、なかなか余裕が持てないんですよね。仕事の人がプライベートの僕を見たらびっくりすると思います(笑)。
水曜ドラマ『家庭教師のトラコ』
日本テレビ系で22時放映中!
『家政婦のミタ』の脚本家・遊川和彦とプロデューサーの大平太のコンビが描く“個別指導式ヒューマンドラマ”。合格率100%を誇る謎の家庭教師・トラコ(橋本愛)が、「自分の子供を志望校に合格させたい!」という切実な願いと、親には言えない“深刻な問題”を抱えている3人の母親と3人の子供を救うため、勉強以外に生きていく上でとても大切なこと、“正しいお金の使い方”を教えていく。
【衣装詳細】
シャツ¥36,300 パンツ¥29,700(ともにイレーヴ tel.03-5467-7875)靴/スタイリスト私物
撮影/杉本大希 スタイリング/秋山貴紀(A Inc.) 取材・文/坂本結香 構成/宮島彰子(CLASSY.ONLINE編集室)