若い人とどう向き合っていいのかわかりません【ジェーン・スー×HARUKOの人生相談Vol.38】
40代女性の気持ちを代弁するような明快な語り口が人気のコラムニスト、ジェーン・スーさん。新聞やラジオ、雑誌で多くの方のお悩みに答え、その胸のすくような回答には励まされる読者も多数。
一方、波乱万丈の人生経験を持ちながら、いつも前向きで飾り気がない人柄で、誰からも愛されるモデルのHARUKOさん。歯に衣着せぬ語り口で、仲間のお悩みにさっと答えてくれると評判です。
そんなおふたりに『STORY』読者の真剣なお悩みに答えていただきます!
<PROFILE>
ジェーン・スーさん
コラムニスト。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」(月〜木11:00〜)のパーソナリティを担当。毎日新聞をはじめ新聞・雑誌で数多くの連載を持つ。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』は、第31回講談社エッセイ賞を受賞。
HARUKOさん
モデル。短大時代、『JJ』にて山田明子(はるこ)の名でデビュー。以来、数々のファッション誌で活躍。’03年に結婚後、九十九里浜に移住、長女を出産。’12年に離婚。HARUKOに改名し、現在『STORY』にて活躍中。趣味はサーフィンと読書。
~第38回~
◇ 若い人とどう向き合っていいのかわかりません
最近は、価値観の変化がすさまじく、私も若い人からいろいろ刺激を受けて、追いついていきたいと常々思っているのですが、若い後輩と話していると、ついつい、過去の仕事の成功や武勇伝を話してしまう自分に嫌気がさします。「こういうときはどうしたらいいんですか」などと聞かれると、ついしゃべってしまうのですが、過去の自分にしがみついて、自慢話っぽく聞こえるんじゃないかと、話しながら気づき、恥ずかしくなります。
「私、そのころまだ小学生でした」なんて言われると、私いつの話してるんだ、こういうおばさん最悪、と自己嫌悪に陥ってしまいます。自分で気を付けるしかないと思うんですが、意識しすぎると、話がよけいにつまらなくなってしまい、続きません。どんな話題を、どういう風に、若い人と話せばいいのか、困ってしまいます。
(東京都在住 46歳 広告代理店勤務)
ご相談のポイントは何なのかしら。若い人とどんな話をすればいいのか、自分の価値観をどうアップデートすればいいのかなのか、仕事のアドバイスの仕方なのか?
若い人とのコミュニケーションの取り方ですかね?
相談内容に、この方の迷いがよく表れているように感じるんです。ご自身でも何を聞きたいのかがわかっていないのかも。若い人に対する有益なアドバイスの仕方とかを聞きたいのではないですよね。よく読んで内容をまとめてみると、漠然と若い人に嫌われたくないっていうことなんだろうなと。40代後半に突入して感じる、老いに対する漠然とした不安、なのかな。“若いほうが良い”という価値観が自分の中に内在化してる、ということではないのかしら。 もしかしたら、この方、若いときに「このおじさん、おばさんたち、何言ってるのかわからない」なんて思った経験があるのかも。
それが、今、ブーメランみたいに自分に戻ってきているという感じ?
そうそう。20年越しで、ブーメランが自分めがけて飛んできたって感じですね。
まずは、そこに気づくことが必要かもね。若い子たちに向き合うときに、自分はどういう気持ちになるんだろう、それは、どうしてだろう、って分析してみたらいいんじゃないかな。 実際、今の子たちって、純粋にすごいじゃないですか。私も、すごいなーっていつも思う。でも、この方は、そのことをよくわかりつつも、自分のほうが先輩だし、ちょっと優位に立って、若い子に何か教えたいと思ってるのかもね。
そうかもしれないですよね。私は、まず、若い子に、素直に教えてもうという姿勢でいたらいいんじゃないかなって思うんですよ。「今はどういう風なの」って、ひたすら教えてもらう。下の世代にはわかって、自分にわからないことをどんどん聞いていく。教えるなんてしなくていい。 逆に、教えたいなら、一度、自分が、20歳くらい年上のもうすぐ引退する方とか、定年するかたに、話を聞いてみたらいいんじゃないかな。今だったら、若いころ「言ってることわからない、おじさん、おばさん」と思っていた上の世代から、学べることって、たくさんあると思うんです。自分が下の立場に立って、教えを乞うという経験をすれば、自然と下の人にどういう態度で接すればいいのかってのもわかるだろうと思う。
自分が嫌だなと思う先輩にならないようにして、自分が好きだなと思う先輩になれるようにするってことですかね。自分のまわりにも素敵な先輩っていっぱいいるじゃないですか。その人を真似ればいいんじゃないかな。
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撮影/吉澤健太 取材/秋元恵美