完全在宅勤務の夫がうっとうしくてたまりません【ジェーン・スー×HARUKOの人生相談Vol.36】
40代女性の気持ちを代弁するような明快な語り口が人気のコラムニスト、ジェーン・スーさん。新聞やラジオ、雑誌で多くの方のお悩みに答え、その胸のすくような回答には励まされる読者も多数。
一方、波乱万丈の人生経験を持ちながら、いつも前向きで飾り気がない人柄で、誰からも愛されるモデルのHARUKOさん。歯に衣着せぬ語り口で、仲間のお悩みにさっと答えてくれると評判です。
そんなおふたりに『STORY』読者の真剣なお悩みに答えていただきます!
<PROFILE>
ジェーン・スーさん
コラムニスト。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」(月〜木11:00〜)のパーソナリティを担当。毎日新聞をはじめ新聞・雑誌で数多くの連載を持つ。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』は、第31回講談社エッセイ賞を受賞。
HARUKOさん
モデル。短大時代、『JJ』にて山田明子(はるこ)の名でデビュー。以来、数々のファッション誌で活躍。’03年に結婚後、九十九里浜に移住、長女を出産。’12年に離婚。HARUKOに改名し、現在『STORY』にて活躍中。趣味はサーフィンと読書。
~第36回~
◇ 完全在宅勤務の夫がうっとうしくてたまりません
在宅勤務になった夫がうっとうしくてたまりません。
コロナ前は、夫の会社からは、1時間半以上かかるところに住んでいるため、朝は、6時半には出勤し、帰りは21時ごろで、ほぼ家にいることがなかったのですが、コロナで、在宅勤務になってしまいました。コロナが終わるまでの辛抱と思っていましたが、この春から完全在宅勤務が確定して、今後はずっと家で仕事をするスタイルになるとのこと。
私はコロナ前から、在宅勤務で、仕事の合間に家事をしたり、お昼はありあわせで簡単にすませて、録画していたビデオを見たり、夕飯の支度の前には、ちょっと一休みしたり、と自分のペースでやってきました。でも、夫は、6時に起きていたのが、8時ころまで寝ているし、お昼も、なんか作るなら一緒に作って、と言うし(ちゃんとしたものを作れとは言わないですが、1人分ささっとすますのと、夫の分まで用意するのでは、手間が全く違います)夜も、19時すぎには夕食ができているのを期待されていて、ペースが狂います。「いいよ、急がないよ」などと言われると、よけいに腹がたちます」。その上、会議などで話していると、声が漏れ聞こえてきて、こちらが忙しいときには仕事に集中できません。
在宅勤務だと、夫はのんびりして楽そうなのに、私は、気を抜く時間が侵食され、忙しくなるという状況に、なんとかならないのかとイライラします。
(埼玉県在住 M.Nさん 41歳 自営業)
大変ですね。
完全在宅勤務が確定しちゃったのなら、それを前提として、二人でルールを決めていったらいいんじゃないかなと思うけど。まずは話合いが必要ですよね。
そもそも、住まいを選ぶとき、2人の大人が1日中べったり家に居る事を想定している人なんていないですよね。東京で、4LDK、200平米の家に住んでいる人なんて、ほとんどいないわけで、みんな50平米から80平米とかに住んでいるんですよね。そんな環境で、2人が、1日中一緒の家にいたら、お互い、気づまりせずにいるのは不可能なんじゃないかな。だから、週に何度かは、どちらかが外に出るとかしないと、無理。リモートオフィスを利用するとか。今は、カラオケボックスでリモートワークできるところなどもありますよね。そういうところを上手に利用して、外で仕事することも考えた方がよさそうな気がしますね。引っ越すのもなかなかハードル高いでしょうし。
M.Nさんのように、夫婦二人とも在宅勤務なら、最近流行りの地方に移住というのもあるかもしれないですけれどね。ただ、お子さんがいれば、学校の問題もあるでしょうしね。とにかく、夫には、「自分の状況は、今までこうだった。ところが状況が変わって、今はこれだけ大変になった」ということをわかってもらうところからですかね。
ただ、言い方は考えないとね。ご主人は、もしかしたら、リモートワークになって、妻と毎日一緒にいられて、すごく幸せかもしれないじゃないですか。それなのに、奥さんに、ズバッと言われちゃうとすごく傷ついちゃうかもしれない。一度ご主人の気持ちもリサーチしたほうがいいかもしれないです。説明するときも「ずっと一緒にいるのが、嫌なわけじゃないんだけど」みたいな前置きは必要かも。
M.Nさんの中では、お昼ご飯問題もきっと大きいんだと思いますよ。1日3食作るって大変だもの。そんなときは「私は一人で寝て食べてくる」って言って、でかけるのもいいんじゃないかな。
そうそう。二人でランチにでかけてもいいですよね。とにかく、家に2人でべったりいる時間を減らすことが大切。この旦那さん、「お昼も簡単なものでいい」とか、「急がなくていい」とか、奥さんに対する気遣いはすごくしていると思うんですよ。でも、ランチに関して言えば、簡単なものを作るにしても、1人分と2人分作るのでは手間が違うということとか、「急がなくていい」と言われても、自分のペースで食事を作らないっていうことが、どれくらいのストレスなのか、というところにまでは頭が回っていないんですよね。そう考えると、「ぶっちゃけ、辛くない?」みたいな話をラフに切り出してもいいのかもね。こういうパターン、超“あるある”ですよね。
“あるある”(笑)。食事って結構もめるパターンだから、お昼は夫、夜は妻、みたいに交代制にするとかいいんじゃないかな。
それ、いいと思う。作らなくても、ウーバーイーツで頼んで、夫が料金払ってくれるなら、よしとするとか。自分の責任で用意してくれたってことだから、作らなくても役割分担できてますよね。
M.Nさんのお宅は、完全在宅が確定して、これから先ずっと何十年も続くわけだから、今がシステムの変え時、つまり変化するチャンスということ。旦那さんは、通勤時間が往復で3時間も減ったわけだから、浮いた分を家事分担に使ってもらうっていうのは、わかりやすい理屈だし、旦那さんもきっと納得してくれると思います。 スーさん、ラジオ番組でも、こういうお悩みは多いですか?
コロナも2年以上たったので、在宅勤務の悩みは一段落した感じですね。それより、今多いのは、学生さんたちの悩みなんです。2年間リモート授業だった大学生が、この春から通常授業になって、なじめないとか、不安だとか、緊張するといった、悩みが増えていますね。STORY世代のお子さんたちも、そういうことで悩んでいるかもしれないので、心に留めておいていただくといいかなと思いますね。
当連載は毎週金曜日配信です。
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撮影/吉澤健太 取材/秋元恵美