専門家に聞いた「最新版、大人のキャリアスクール事情」

コロナ禍で将来を見据えた転職や副業を始める読者も多いなか、注目されているのがキャリアスクール。話題のスクールやキャリアアドバイザーなどへの取材をもとに〝今できる学び〟について考えます。

キャリアスクールの始め方・選び方を専門家が教えます

いざキャリアスクールに通おうと思っても、難しいのが自分に合うスクール探し。キャリアアドバイザーの藤井佐和子さんに始め方から続け方までお聞きしました。

キャリアアドバイザー・藤井佐和

キャリアアドバイザー・藤井佐和子さん
㈱キャリエーラ代表。女性のためのキャリアカウンセリングは延べ1万7000人以上。企業研修や講演も行っている。著書も多数。

自己投資をする人・しない人の差が広がっています

最近の女性は将来のワークライフバランスや、管理職を意識した時のキャリアについて悩んでいる方が多い印象です。以前に比べて共働き前提な人が男女ともに多く、30代前半くらいまでの若い層ほど、自己啓発や自己投資をちゃんと考えている人といない人との差が大きい傾向が。自分を高めることに励んだり、会社以外のネットワークに価値を感じている人が多く、そういった意味でもキャリアスクールへの注目、ニーズが高まっていると感じます。

キャリアスクールを「始める」

\今の仕事に生かしたいならさらに目的を明確に/

●異動したい・職種転換したい
●管理職を目指したい
●今の業務内容をより掘り下げたい

まず「今の仕事に活かしたいのか」、または「未来のため手に職をつけるのか」を明確に。今の延長線上で組織の中で働き続けたい場合、選択肢は3つ。「1異動したい・職種転換したい」なら、資格を取ってアピールを。「2管理職を目指したい」なら必要なプレゼンスキルなどを武装のために学ぶ。「3今の仕事を深掘りしたい」ならベースから勉強し直すなど、やるべきことがクリアに。

\転職・キャリアチェンジしたいなら/

「転職してから」を想像して資格を取る・学ぶのが前提
転職する、キャリアチェンジする場合はその職業が本当に自分に合うか、想像どおりなのかよく調べて。さらに取りたい資格を持つことで何ができるかを知ったうえでチャレンジを。

キャリアスクールを「選ぶ」

納得できる学校選びのポイント4つ

    「転職してから」を想像して資格

    1.受講者層は?
    具体的な生徒層は事前にはわかりにくいので、金額を目安にしても。受講料が高い=それなりの覚悟、意識の人が集まっていると考えられます。書籍で学べるものはそれでもいいと思いますが、受講者間で情報がもらえたり学校に通わないと得られないものもあります。

    「転職してから」を想像して資格

    2.講師のレベルは?
    見分け方としては、無料説明会で講師が話してくれることもあるので質問をしてみるといいでしょう。講師の質も受講生同様にとても大切。個人でやっているスクールなどで受講料は比較的安いけれど質はわからない時などもまずはトライアルを受講してみると安心。

    「転職してから」を想像して資格

    3.卒業後のサポートは?
    スクール常駐のカウンセラーが卒業後の仕事紹介や相談といったサポートをしてくれるなど、学校によっては手厚くフォローしているところもあるので入会前によく確認を。就職斡旋までしてくれるかを調べておくと、勉強をしていくうえでの安心にもつながります。

    「転職してから」を想像して資格

    4.資格を取るなら?
    知識・技術のベースがあるなら、+αの資格はとても有益に。また、新しい資格はまだ取得者が少ない段階で試験を受けると合格基準が易しいことが多く、後々人気の資格になることも。まだ日本で普及していない先駆けの国際資格を探すのもいいでしょう。

キャリアスクールを「続ける」

仕事と上手に両立するコツ

留学などを除き、仕事と学びを両立するのがベストです。離職はリスクもあり、今の仕事を続けながら学んだことをアウトプットしたほうがメリットも高いので可能な限り仕事と両立することをお勧めします。リモートの普及で以前よりも勉強しやすい環境になりましたし、最近は大学院でも社会人が通いやすいような仕組みができている。気軽に始めやすくなったぶん、無理はせず自分の時間とキャパを考えて計画的に学びましょう。

キャリアスクール経験者にリアルな感想を聞きました

・在宅ワーク希望で医療事務講座を受講
「ニチイの医療事務講座(医科)に通い、約3カ月で終了。カルテ管理や医療費請求の点数の計算だけでなく患者さんに対しての接し方や社会的マナーまで知れたので、後々歯科医院で受付の仕事をする際にも役立ちました」(25歳・事務職)

・履歴書でも高く評価されてキャリアアップ
「優秀な学生が集い先生もカリキュラムもよかったので早稲田大学ビジネススクールに即決。専門職学位認定があり入学倍率も高く履歴書でも評価されると思います。MBAも取得でき、卒業後はコンサル業に転職、年収も3倍に」(33歳・コンサル)

・終了後は念願の部署異動も叶いました!
「福澤諭吉記念文明塾では現役大学生とともに学び、若い世代の興味・関心を知れたこと、地方の現地調査で地方創生を真剣に考えたのが貴重な体験に。修了証のみですが、人脈づくりや自分を高めることは十分できました!」(34歳・メーカー勤務)

※年齢はすべて受講時

撮影/木村 敦 取材/田村宜子 再構成/Bravoworks.Inc