酸いも甘いもかみ分けた、結婚17年目のライターが厳選「夫婦のあり方を考える漫画」3選
未知のウィルスに脅かされるようになって早二年。リモートワークやステイホームの影響で、家族で過ごす機会がぐんと増えました。今までの忙しい日々にはなかなか気づかなかった家族のあれこれに、家族って?夫婦って?とその意味や存在を考えたり……。そこで、今年、みずからも結婚17年めを迎えるSTORYライターが、新しい夫婦のカタチを考えさせてくれる漫画を3冊、ピックアップしてみました。
結婚を決めたころの気持ちは
いつまで続くのだろうか?
『結婚の決め手はいくつかあるものの、たいてい「価値観が合う」ことを重要視しているのに、子どもを持った後に夫婦の価値観の違いに気づいたり。結婚4年目、待望の妊娠が分かってからというもの、主人公夫婦がズレる想像以上に刺さりまくりました。夫婦それぞれ漫画で読むことで、実生活の自分たちと重ね合わせ、「こう言ったら効果的かな」「興奮して突き放し過ぎたかな」などと、第三者の夫婦のやりとりからクールダウンして、解決の一歩を踏み出せるかも』
夫婦を続ける自信がない Ⓒゆむい/竹書房
子どもの世話もしないうえ、悩みすら聞いてくれない夫に、妊娠や出産を経てワンオペ育児する妻の不満は膨れ上がっていき爆発寸前。妻に向き合わない夫とそんな夫に絶望する妻の関係は、離婚という選択肢も頭をよぎりながら、とある事件がきっかけに、夫婦の関係が少しずつ動き出す。夫との関係にモヤモヤしている人、妻のイライラに戸惑っている人におすすめ。
どうしても仕事を休めない!
夫婦団結&病児保育で乗り切る
『タイトルの「涙」って、熱を出して苦しい子どものもの?それとも、保育園に預けられず苦悩している親のもの?個人的には後者ですね。ピンチの時に、夫婦の真価が問われるし、団結もほころびも見えやすくなるものだと、さまざまエピソードで「あるある」と納得。一度大事な仕事をリスケしたワンオペのモヤモヤも思い出し、夫婦の子育て負担の折り合いのつけ方、バランスのとり方を改めて考えた1冊です』
37.5度の涙 椎名チカ/小学館
37.5度出たら、保育園の登園はできない……それでも仕事を休めない、罪悪感や葛藤を抱えて悩んだこと、皆さん一度はありますよね。そんなギリギリで擦り減ってしまう親のための命綱、家庭に訪問してくれる、熱血病児保育士の成長物語。家族のありかたや家庭の事情が多様化し、訪問先で起こるさまざまな出来事に真正面から向き合う保育士の桃子さんなら、「うちにも来てほしい!」と思う人は少なくないはず。
予期せぬ妊娠や不妊から
家族って何?と考える機会に
『特別養子縁組のあっせんは、なかなか身近で見聞きすることの少ないテーマ設定ではあるけれど、不妊に悩んだ末に養子を迎え入れることを考えた夫婦の葛藤には、子どもがいる人には特に、心がザワついたり、胸が締め付けられるような思いを抱くのではないでしょうか。養子というと子との血のつながりが殊更フィーチャーされますが、そもそも夫婦だって一番近くの他人なのだから、異なる価値観や考え方をすり合わせ確認しあいながら、養親になるために同じベクトルを向けるかどうか、家族を織りなす過程に心が打たれました』
かぞくを編む 慎結/講談社
予期せぬ妊娠や不妊をはじめ、さまざまな事情を持ち、産みの親による養育が困難な子どもを、新たな温かい家庭に迎え入れる特別養子縁組。民間養子縁組あっせん機関「ひだまりの子」のケースワーカーとして、子どもと養親のマッチング、産みの親のフォロー、と主人公のひよりは日々奮闘。多様化する現代だからこそ、新しい「かぞく」のかたちを問いかける漫画。
「コロナ離婚」というトレンドワードも生まれたように、人と人とのつながりは、些細な何かで壊れやすくもあり、逆に強い意志や優しさで強固にもなるものなんだと気づくことにもなりました。夫婦の関係やあり方を考え見つめなおすといっても、単純に夫婦2人だけの問題じゃ片付かないテーマも、今回取り上げる漫画にセレクトしてみました。これらの漫画を手に取った夫や子どもたちは、自分たちが今同じ家で家族として生活を共にしていることを、小さな偶然の積み重ねと日々のささやかな努力で築いてきたものだといつか感じてくれたら……。
セレクトしたのは…
STORYライター羽生田由香
小6息子と小4娘の母で、学校での読み聞かせや図書室貸出係の常連。リビングの壁一面に憧れの本棚を作ったものの、最近は専ら「積ん読」ばかり。最近は子どもに読書を勧めるのを諦め、知識を深める漫画にシフト。
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