料理上手への近道は調味料!【Martist滝野香織】


私がお料理に関わる仕事をしていて、よく聞かれる「〇〇(調味料)がない場合はどうしたらいいですか?」と言う質問。
これにはいつも返答に困ってしまいます。料理があまり上達しない人、レシピ通りにつくっているのになんか違う…と嘆く人。
共通点は、レシピの材料を省いたりしていることが多かったりします。

その代表格が酒。料理酒です。
料理酒は「あれば」、と書かれていることもありますが、あるとないとでは大違いなのです!!
日本酒と料理酒の違いは飲用かそうでないか。料理酒は塩や調味料が添加されていることがあります。料理酒と書かれているところに飲用の日本酒を使うことは問題ないですし、酒蒸しや煮魚などはむしろ美味しくできます。
私が愛用しているのは「タカラ 料理のための清酒」です。食塩無添加で塩分調味に影響しないところがポイント。

そして忘れてはいけないのが、白ワインと紹興酒。
こちらも「あれば」や「料理酒で代用可」と書かれがちですが、料理の仕上がりはまったく変わってきます。もちろん料理酒でも美味しくつくれるでしょうが、風味の違いを知ってしまうと使い分けずにはいられなくなりますよ!
白ワインも紹興酒も飲用に売られているものですが、お料理用として買うので500円くらいのものにしています。それで十分なのですよ。
料理本や雑誌はその料理へのハードルを下げるため、よりつくりやすくするために、読者に寄り添って調味料を選定します。でも本当は、ここは白ワイン、ここは紹興酒のほうが絶対に美味しくできる!! というのがあるのです。普段のおうち中華の炒め物に少し紹興酒を加えるだけ、それだけでびっくりするほど美味しくなるので500円は高い買い物ではないはずです。

白ワインの香りがリッチに♪

「玄米リゾット」
しいたけとベーコンのうま味を白ワインが引き出し、白ワインのほのかな香りがリッチな仕上がりに。
オリーブオイルをひいたフライパンに、にんにくのみじん切りを入れて熱し、玉ねぎ・ベーコン・しいたけのみじん切りを入れてしんなりするまで炒めたら、白ワインを加えて沸騰させます。
水とコンソメ、炊いた玄米を入れて煮詰めたら完成。
仕上げにパルメザンチーズと乾燥パセリをかけます。

臭み抜きには欠かせない!

「ぶりの照り焼き」
ぶりは料理酒に塩を溶かしたものに5分ほど漬けておくと、臭みが抜けます。
照り焼きのたれは濃いめの味付けにしてたっぷりつくると、サラダ仕立てにもなり野菜もたくさん摂れますよ。
たれは醤油:料理酒:みりん:砂糖=大さじ2:2:2:1。
野菜は生の春菊と、薄切りにして塩もみしたかぶです。

紹興酒が入ると本格中華に!

「中華屋さんの青菜の炒め物」
チンゲン菜はごま油と塩を入れ沸騰した湯でさっと湯通し。
フライパンにごま油を熱し、にんにくを入れ、青梗菜と鷹の爪を入れたら紹興酒大さじ1を入れ、じゅわっとなったら、合わせ調味料(お湯大さじ1・鶏ガラスープの素小さじ1・塩小さじ1/5・砂糖小さじ1/4・片栗粉小さじ1)を加え、ざっと混ぜるように炒める。
強火でさっと仕上げるのがコツ。紹興酒を使うだけで驚くほど本格的な炒め物になります。

酒は香り・うまみ・コク・臭み消し・味の浸透をよくするなどの効果があり、料理の味に幅を持たせてくれます。
「酒を制する者は、料理上手への道も制す!」と言っても過言ではないかもしれませんよ!!

取材・文/滝野香織


滝野香織
管理栄養士

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