【尾木ママ連載vol.1】ジュニア世代ママの圧倒的多数「スマホやSNS」の悩みに、ズバリ答えるわよ
多岐にわたる思春期悩み。「尾木ママが近くにいてくれたら、相談できるのに」という悩みをSTORYが読者に変わって相談します。実際に寄せられたお悩み実例を元に、尾木ママに対処方法を伺いました。
第1回目は、圧倒的に多い「スマホやSNSの悩み」。時代だからと一言では済まされない状況に親は皆、頭を抱えています。このスマホ問題はとても重要な内容なので、4つのカテゴリーに分け、2回に分けて、ご紹介していきます。まず前半では2つの問題点に関して、尾木ママの見解を伺いました。
①「スマホを際限なく使うという問題」
尾木ママ’sAnswer
この悩みは、まず、「依存性」というところが重要なポイント。スマホはいわゆる薬物、アルコール、ギャンブルと同じように依存性の高いものだということを親も子もしっかり認識してほしい。スマホを使うと脳からドーパミンが過剰に放出され、快楽を得るのだけれど、思春期の時期は、それをコントロールする前頭前野がまだ未成熟のために、コントロールできない。大人でも依存性の高いものをコントロールするのは至難の技なのだから、子どもはなおさら。だからこそ、子どもには依存の怖さをきちんと伝えて欲しい。スティーブ・ジョブスは自分の子にはiPadを渡さなかった。どれほど脳へ悪い影響を及ぼすかをわかっていたのよね。スマホの悩みを持つ親御さんはぜひ、アンデシュ・ハンセンの著書「スマホ脳(新潮新書)」を読んでみて。スマホ問題の悩みに対して具体的に検証していて参考になるわよ。
日本は子どもがスマホを持つことに危機管理がとても低い国。韓国ではK-スケールという尺度を使ってスマホへの依存度を調査し、必要に応じ治療をさせる。アメリカで有名になった「スマホ18の約束」なんていうのもあったけど、日本は国として規則を含むような対策はしていない。学校でもスマホ利用は家庭の問題として扱われがち。だからこそ自分の子どもをスマホ依存から守るためには親子で依存に対して危機意識を持つことが急務。
アプリだけで頭がよくなるとか創造力が鍛えられるとか、そんな言葉に惑わされないでね。アプリを作る会社は脳科学の研究を取り入れたりして、子どもが夢中になってずっと使いたくなるような、課金したくなるような仕組みを作っているの。
キレやすい子や暴力的な子が増えたりするのも早いうちからスマホやタブレットを持たせたことが関係していて、ドーパミンの作用で自分自身のコントロールが効かなくなってしまうのよね。使いすぎを注意するとキレるのも同じで、依存傾向にあるから。
お子様にスマホを持たせてしまったのなら、便利さと同時に、薬物やアルコールなどと同じような「依存性」をもつものだということをお子様にしっかり話してみて。
そして、今からでも遅くないから、利用のルールを一緒につくって、守るようにしましょう。
②「読書離れが進むという問題」
尾木ママ'sAnswer
子どもがネットの便利さを知ってしまうと読書離れが進んでしまうのは当然。コロナ禍で図書館に行けなくて、学校の先生もインターネットで調べることを許可してしまって、それを機に楽して知りたい情報を得る術を知ってしまったというケースもある。本で1~2時間かけて調べていたことがネットなら10分。手っ取り早く大量の情報を苦労なく得られる。時間も忍耐もいらない。とても便利だけど、ちょっと待って。その情報って、正確かしら。それに、ネットによる調べものだけだと表面的で身についていないし、深い学びにはつながりにくいのよね。
東北大学の川島隆太教授が読書をしている時と動画視聴の時の脳の動きを調べたのだけど、読書をしている時は前頭前野が活性化されるのに対して、動画視聴の際は低下するの。こういうことも事実として知っておくべき。
本は知りたい情報にすぐたどりつかない分、集中力、想像力が鍛えられる。
読書の力ってとても大きいの。登場人物への共感能力も身につくし人間的にも豊かになれるのだということをぜひお子様に伝えて欲しい。
デジタルが悪なわけではなく、紙とデジタル、それぞれの長所を活用して、ハイブリッドで学習していけるようになるのが理想。ただ、スマホを長時間見ている子で、読書をしている子って少ないの。そこは表裏の関係なのだと自覚して。読書離れした子をまた読書好きにしたいのであれば、ルールや制限、スマホやSNSの使い過ぎから起きる副作用を知識としてきちんと理解させること、豊かな人間力は読書から作られることを伝えてみて。