アクロストン監修!思春期のわが子とともに「性知識の令和アップデート」
親世代の子どもの頃とは、性的な情報を得る環境も受け取る感覚もまったく 異なる今。無知から発せられた性への何げないひと言が子どもたちを傷つけることも。いざという時のために、まずは親から準備を始めませんか?
★ アクロストン監修! わが子に寄り添うための「性知識の令和アップデート」
★ まずは「きっかけ作り」を
◯ 教えてくれたのは…性教育を広める医師夫婦・アクロストン
夫婦である2人の医師による性教育コンテンツ制作ユニット。公立小の保健の授業や楽しい性知識のワークショップを各地で開催。
「性教育は子どもが小さいうちからやりましょう」とも言われますが、思春期以降でも手遅れということはありません。まずは親御さんが関心を持つことから!情報社会のいま、思春期の子どもと向き合うには親自身が性の正しい知識をつけること、古い知識や考え方のアップデートが必要です。こうした日常会話で話せるトピックを増やし、性に関して子どもと対話ができるのが理想ではありますが、難しい場合には、一緒に見ているニュースなどで性関連の話題が出たらテレビにつぶやいてみたり、さりげなく本を置いてみたりするのも◎。とはいえあまり身構えず、お子さんが困った時のいちばんのサポーターでいてあげてください。
思春期からの性教育の推薦図書
<性知識アップデートの第一歩>
『思春期の性と恋愛子どもたちの頭の中がこんなことになってるなんて!』アクロストン/主婦の友社
ポップな絵で初心者でもわかりやすく子どもにもオススメ。
<学校では教わらない大切なこと>
『CHOICE自分で選びとるための「性」の知識』シオリーヌ/イースト・プレス
性の知識から人権問題まで。ためになる性コンテンツサイトも紹介。
★ アクロストン監修! わが子に寄り添うための「性知識の令和アップデート」
【update1】体のコンプレックス
客観的データを一緒に見るのも◎。逆にコンプレックスを作らないことを意識して
大前提として、男女ともにおっぱいや性器の色や形はかなりのバリエーションがあります。包茎に関して無理に治療する必要はないですが深く悩んでいるようなら泌尿器科へ。体毛なども本人がどうしたいかの気持ちが大切。お互いに誤った情報に惑わされず、些細なひと言で子どものコンプレックスを作らぬよう心がけて。
女性外性器のポップなイラストがたくさん載っているインスタアカウント。フォロワー数68.2万。客観的データを一緒に見ることで説得力が増します。
【update2】セルフプレジャー
セルフプレジャーは男女ともに自分の体と向き合う大切な時間
自分で快感を得ることに男女の性差はありません。小さい頃から始めても一生やらずとも問題ありませんし、やりすぎてはいけないということもありません。ただしハマりすぎて普通の生活ができなくなる場合には児童精神科の受診を。いずれにせよ、親子関係を良好に保つためにドアノックは大原則です。
簡単にAVコンテンツにアクセスできる時代。暴力的な部分をお手本にしてしまうことは危険。フィクションであり、相手を傷つける可能性があると伝えて。
【update3】生理
10代は生理痛がきつい子も多いので婦人科で相談も◎。どんなものなのか男の子にも伝えておいて
初潮が来たということは体が成長してきた証。生理について家族でオープンに話し合えるといいですね。例えば痛み。母子でも辛さには差があるので、我慢を強要せず早めに鎮痛剤を。また低用量ピルを処方してもらうことは定期的に婦人科へ通うきっかけにも。生理用品では吸水ショーツが便利。ナプキンと併用すればモレの心配も解消。
【update4】セックス
“性教育の本を置いておく”
“こんなサイトあったよとメッセージを送る”
セックスに関して話すのは難易度が高いもの。困ったら相談してねという意味を込めてまずは話すきっかけを
セックスについて親子で話すのは、ハードルが高いですよね。でも、親として一度だけでいいから頑張って。誕生日や入学式など節目の日に、要点をまとめた一枚のお手紙とコンドームを一緒に渡してみたり、性病やアフターピルについてのサイトをLINEで送ってみたり。気にかけているんだよ、というサインを送るのが大切。
思春期の子向けに性のモヤモヤをカジュアルに説明。「@ai_con_j」コンドームの正しい選び方や使い方など教えているインスタアカウント。
【update5】恋愛
SNS:「会ったことない人と会う時は親か、せめて友達と一緒に会おうね」
デートDVや性被害:「話してくれてありがとう、あなたは何も悪くないよ」
<SNS>DMなどクローズドなやりとりは注意。ネガティブ発言などもSNSでは厳禁!
SNSには誘惑がいっぱい。そこから広がる交友関係もあるので頭ごなしに否定するのも考えもの。とはいえ危機回避のために知人以外とのやりとりにDMは使わないよう徹底するのが賢明。性別問わず一対一で会うのは危険。
<デートDVや性被害>親も気が動転してパニックに。間違っても責めちゃダメ
わが子が性被害にあったら…多くの親はショックを受け、つい子どもを攻撃してしまうことも。いちばん傷つき自分を責めているのは被害者である子どもたち。そのことを理解して事前から受け止める準備をしておいて。性暴力の相談は#8891のワンストップ支援センターへ。デートDVは「DV相談+」などの専門機関に相談を。
【update6】性自認
わが子がどんな人を好きか、性自認が体と合っているのか…心配になっても子どもに任せて
わが子が性的マイノリティであっても受け入れるという親が増えていますが、親が必要以上に詮索するのは効果的ではありません。小さい頃から明らかに性に関して違和感を感じている場合はGIDクリニックなどの医療機関に相談を。思春期前なら第二次性徴の発出を抑える治療もでき、子どもの心身への負担が軽減できます。
・G…ゲイ(男性同性愛者)
・B…バイセクシャル(両性愛者)
・T…トランスジェンダー(性別違和を持つ者)
・Q…クエスチョニング(まだ決まっていない、わからない)、クィア(性的マイノリティ)
・I…インターセックス(中間的な性)
・A…アセクシャル(無性愛者)
イラスト/山中玲奈 取材/西道倫子、竹永久美子 ※情報は2021年9月号掲載時のものです。