【中学受験⑪】学校説明会では街の匂いを嗅ぎましょう
教育ジャーナリストの鳥居りんこです。
今回は「実際に学校説明会に参加してみよう!」編の第3回目をお届けしましょう。
もし、あなたが心の片隅に「中学受験」を置いているならば、中高一貫校というものが、どういう空気感の中で運営されているのかを、できれば、お子さんが低学年の内から見学に行くことをお勧めします。
何でもそうですが、この見学も数をこなす内に「学校説明会のプロ」ともいえる目が養われてきます。それによって、我が子にとってどういう選択肢があって、どういう学び舎が我が子に合うのかという、子育てにおいて極めて重要な教育方針を決定する土台が徐々に出来上がってくるので、まずはトライ!です。
さあ、自宅の玄関を出ることに成功したあなたは、ご自宅最寄り駅に到着しました。
これから、目指す学校の最寄駅まで、お子さんが使うと思われるルートを利用します。
「やっぱ、タクシーで行っちゃえ!」とか「めんどくさいから、近くまでマイカーで行こうっと!」なんて思ってはいけません。
何故ならば、中学生になったあなたのお子さんは毎日、公共交通機関を利用するからです。
前々回に申し上げましたね。「中学受験はめんどくさがり屋のママには向かない」って。
「めんどくさい病」は一旦、家でお留守番。ここはショートカットしないで正攻法で行ってくださいね。
いよいよ、学校最寄り駅に到着しました。実は、この瞬間から学校見学は始まっています。
駅舎の感じ、街並みの雰囲気、そこに行き交う人々の様子、吹き抜ける風とその空気感。
そういう見るもの、聞くものすべてが大事です。
それらすべてを見逃さないように、五感をフル稼働させる準備をして改札を抜けますよ。
「え~!?下車駅から?学校に着いてもないのに?疲れちゃう!」ですか?
いえいえ、これは「文化への旅」なのですから、本当に大切なことなのです。
思い出してください、記憶の隅にあるであろう日本国憲法を。
教育は「文化的生活」を送るために子どもたちに授けるもので、親はその義務を担っています。
その教育の主戦場になるのは「学校」です。この学校の「文化度」を測るためには「街」を見ることも大切なのです。
何故なら、学校はその街の中にあり、その街オリジナルの文化の中で育まれている面が大きいからです。
落ち着いた住宅街の中、あるいは賑やかな商店街を通る、または通学路は自然豊かな場所、反対にビル街の一角など、街にはその街ごとの色があり、匂いがあり、学校もその街の一部となって溶け込んでいるはずです。そこを是非、感じながら歩いてみて下さい。
つい最近、私自身がこんな体験をしました。
息子が過ごした学び舎最寄り駅に降り立つ用があり、その街を移動していたのです。
雨上がりのせいもあり、学校そばの海へと続く河口はきらきらと煌めいておりました。フト気付くと、青葉の匂いが立ち込めて、懐かしいような甘酸っぱいような不思議な気持ちになりました。その瞬間「私、やっぱり、この街、好きだなぁ・・・」と思ったんですよね。
はじめて、この街に降り立った時も、同じ青葉の香りを感じていたことを思い出しました。
「文化は無意識の中にある」。
駅舎を降りて、散歩するように学校まで歩く。もし、あなたが「この街、なんとなく好きだなぁ・・・」という印象を持ったならば、それはあなたのご家庭の教育方針に合致する学校選びの第一歩となるはずです。
次回は7月5日にお届けします。
鳥居りんこ・・・作家、教育・介護ジャーナリスト
2003年、長男との中学受験体験を赤裸々に綴った初の著書「偏差値30からの中学受験合格記」(学研)がベストセラーとなり注目を集める。
その後シリーズ化され、悩める保護者から“中学受験のバイブル”と評され、中学受験を辛かった思い出ではなく、子どもとの絆を感じられ、子育てが楽しくなる内容に、心救われ涙する保護者が続出しました。
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構成/加藤景子 イラスト/村澤綾香