長谷川京子さん「“母のしてくれた”という母親像に縛られていた」

大人気のモデルから女優に転身、最近ではYouTubeチャンネルで自宅での過ごし方や美容法、料理上手なママの一面も惜しみなく公開している長谷川京子さん。「自分でも気づかないうちに“女優なのに”“ママなのに”と自分にいろんなブレーキをかけていた」と語る長谷川さんに、今の子育てについて、ママであることと自分らしさを両立する秘訣を伺いました。

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―2人のお子さんの子育て。小学校高学年になって子育てに変化は?

子どもが小さい頃に比べると物理的には今のほうが楽ですね。小学校に上がるまでは幼稚園の送り迎えや小学校受験もあったので。ただ成長してからのほうが手を離れるので身体は楽だけど心配は増します。思春期に差し掛かって他の大人に対しては普通なのに私にだけツンケンしていたり。大人のように会話を楽しめることも増えた一方で、夜は一緒に寝たがったり、子どもな時もあるので接し方が難しい。正解があれば楽でしょうが、結局は子どもの一瞬一瞬を見逃さないように目を向けて対応するしかないな、と腹をくくっています。

 

―長谷川さんは「ママらしさ」と「自分らしさ」を両立していますが秘訣は?

そもそも、ママらしさと自分らしさを切り離さなくてはいけないのがママの大変なところですよね(笑)。ママらしさって誰が決めるのだろう、と考えるとそれは自分の中にある思い込みに過ぎない。世間一般では、と言っても日本の中だけの通念。所変われば品変わるような、あやふやなものよりも自分と子どもがハッピーなことのほうがよっぽど大事なのでは、と思っています。ママが無理している状態では親子にとって良い環境を築けるはずはないので、ママが楽しそうにしていればそれでいいのではないでしょうか。もちろん子どものためには必要なこともあるので節度は必要ですが。モヤモヤしたり違和感を覚えたら、本当にそうしないといけないのか考えたり他のやり方をしている人に視線を向けていくことが子育てと自分らしさを両立していく近道だと思います。

 

―長谷川さんにも“ママだからこうあるべき”というアンコンシャス・バイアスはあった?

私の場合、母がマジメで。マジメ過ぎるほど“良き母親”だったので子どもを産んで1~2年はその母親像に引っ張られていたと思います。母はこうしてくれた=母ならこうあるべき、と思って自分を縛っていました。でも、だんだん違和感を感じるようになって。時代も人格も違うから当たり前ですよね。なにか違うな、自分らしくないな、と試行錯誤して自分の中の母親像をトレースするのではなく自分らしい方法を見つけてきました。

 

「一番私らしいスタイル」と語るJil SanderのTシャツ、GUCCIのデニム、Christian Louboutinのパンプス、MIO HARUTAKAのジュエリーはすべて長谷川さんの私物。

 

―働くママも増えて選択肢は広がった一方で、仕事では社会人として、家庭では母親として複数の軸で評価される結果、自己肯定感が下がって子育て世代の女性が自信を失いやすいという現状も。どのように気持ちを保っていますか?

まずは落ち込んだり凹んだり、自分の自己肯定感が下がるスイッチを知ること。「自分はこういうことに反応するんだな」と自覚することですよね。下がる理由を解決していければ良いですが知るだけでも大分、楽になります。私の場合、女優という職業に自信とプライドを持っているので仕事への評価には凹んだり傷ついたりしますが、子育てについて指摘されてもあまり傷つかないんです(笑)。周りのママ友に比べると自分は至らないことばかりなので元より自信もプライドも持っていなくて、例えば「できてない、ダメな母親」と誰かに否定されたとしても「はい、できてません。ごめんなさいね、教えて下さい」と割り切れちゃう(笑)。あとは自分で自分を評価しないこと。「手抜き料理をしてしまってダメな母親だな」とか。“ママだからこうあるべき”みたいな考えはなるべく早く捨てたほうが楽になるし、子育ても楽しくなるはず。

 

―今、子育てで大事にしていることは?

同じ音楽を聴いたり同じ映画を観たり、こうしなきゃ、こうしてあげなきゃと思うよりもシンプルに一緒に楽しんだり共感できることを優先しています。子どもから流行を吸収しているので最新チャートにも詳しいですよ。ただ、これは子どもがある程度大きくなったから可能なこと。子どもが一緒に遊べないほど小さい頃は公園に行っても手持ち無沙汰で忍耐でしたね(笑)。

 

―最近ではYouTubeチャンネルを始め女優と枠にハマらずお仕事の幅を広げていますね。

私が女優を始めた20代の頃は女優はプライベートを見せなくても良い特別な存在だったので時代の変化に戸惑うこともありましたが、流れに乗ってみるのもいいかなと。今は表現の場が増えて従来のようにお芝居だけでは女優としてオリジナリティも出せない。とくにこの1年で急に時代の流れが早くなって、いつまでも同じところに留まっているのは逆に居心地が悪いな、と思うようになりました。“こうあるべき”という枠にハマりたくない、常に変化していたいという気持ちはあるので、“女優なのに”と思わずにやれることをやればいいと思って今に至ります。

 

―子育てや美容だけでなく、性やジェンダーなど踏み込んだ話題も。

自発的に自分の言葉で話し続けるうちに、きちんと伝えたいことや言いたいことが出てきて。話し始めてみて、自分の考えがあったんだな、と気付きました。都度、「母親なのにこんなこと話して大丈夫かな」と葛藤も生じて自分の中の拭えないバイアスに気付かされることもありますが、保守的に立ち止まらずに自分を解放していきたいし、そんな自分が誰かの思い込みを外すきっかけになったら良いな、と思っています。

 

長谷川京子 女優

1978年生まれ。ファッションモデルとして活躍した後、女優デビュー。ドラマや映画などで幅広く活躍。YouTubeチャンネルも話題に。5/20に自身が手掛けるランジェリーブランド「ESS by(エス バイ)」がデビュー 。

5月20日より発売開始!
長谷川京子さんプロデュースの
ランジェリー「ESS by(エス バイ)」

誰かのための自分ではなく、自分自身が心地よいことにこだわったランジェリーは、シンプルなのに色気のあるカーブデザインが魅力。透けてもいやらしく見えず、大人の品を保ってくれます。また、ヒップトレーニングに力を入れている、と話している長谷川さんだからこその立体縫製のショーツも注目。快適でありながら、丸みをきれいに見せてくれるそう。ブラジャーは¥9,240、ショーツは¥2,640でともにブラック、モカ、ベージュの3色展開。

詳しくはコチラ

 

撮影/谷田政史<CaNN> ヘア/GO UTSUGI<PARKS> メーク/佐々木貞江 取材・文/増田奈津子