佐藤アツヒロさんの本音語り”俺は基本、相手のことを50%しか信じない”とは?

フェーズ2に入った、アツヒロ論。対談回ではない今回は、より素のアツヒロ論の深さとユニークさを感じていただこうと、編集部とアツヒロさんのやり取りを、あえて文字におこしてみました。( )は、編集部の心の声も入っております。それでは、どうぞお楽しみください。
※お写真は、発売中のMart5月号をご覧ください。

植物からよもやま話

撮影現場のガーデンショップで、アツヒロさんが被写体に選んだ花は「クリスマスローズ」。花言葉は「いたわり」。冬に咲く花として、ちょっとロマンチックな名前がついた常緑植物。戦場に向かう戦士が「私を忘れないで」と恋人に贈ったというエピソードも。

《クリスマスローズの楽しみ方》
手がかからず、屋外に出したままでも大丈夫。花は2月から3月がピークで、花の色や形、葉の形それぞれに個性がある魅力的な植物。

だから理屈じゃないんだって!「心の動き」を信じようよ

編集部 今日はアツヒロさんの物選びの視点から、人間関係の話までしていただこうと思っているのですが、たくさんあった中から、「クリスマスローズ」を選んだ理由はありますか?

佐藤  理由? 観察して「絵になるかどうか」が決め手。きれいだな、葉のつき方のバランスがいいな、そういう〝いいな〞の要素が経験値からたくさん生まれてきたら、買おうと思うんじゃないの?

編集部 (いや、まあ、そうでしょうけど、その“いいな”の基準をまず知りたい)撮影時、植物をよく見ていらっしゃいましたが、観察して、いいなを探していくということですか?

佐藤 俺は基本、買い物も人間関係も、観察から始まるから。

例えば人でも、10分たってもなにも感じなかった人もいれば、1分喋っただけで心が動かされる人もいる。だから、第一印象はまったくあてにしてない。その人自身が、よくも悪くも塗り替えることもあるから。だから、基本、ずっと観察し続ける。「そこにあるもの」を俺は信じてるから……。

編集部 そこにあるもの?

佐藤 人でも物でも、そこにあるものに触れる自分の気持ちを信じてる。直感と過去のデータ。その両方をもって、ずっと観察して、心の動きを感じてから行動してるから。

人間なんて50%しか信じない、でもそれは「尊重してる」ってことだから

佐藤 直感の話をしたけど、人間関係にしても、俺は基本、相手のことを50%しか信じない。

編集部 (この話は実は前にも何度かしていただいていたが、強烈すぎて公開していなかった)50%……。かなりはっきりした答えですが、それはどうしてですか?

佐藤 相手は自分と違う人間なんだから、100%信じるほうがおかしいでしょ。

でも、これは逆にいえば、相手を尊重しているという意味だからね。それと同時に、自己防衛もあるけど……。

編集部 自己防衛とは? 傷つきたくないということ?

佐藤 10代のころ、人を信用しすぎたというか皆が同じ考えでいるほうが楽しいんじゃないかと思っていて。

だから、今は、みんな違う人間だということを意識して、人と接してる。他人の言葉を真に受けないし、あくまで「情報」として受け取っているだけ。

でもそれは、自分の価値観もすべて正解だなんて思ってないから、コミュニケーションをとることで、正解を探っているという意味だけどね。ヒトってそんな簡単じゃないから……。

なにかを「気にする」って心が暇だからだよ!

佐藤 植物ってさ、そこにいてくれると、空間として落ち着くじゃない。観葉植物屋さんで、剪定の仕方を教えてもらったから、好きな形にととのえて楽しんでいるよ。そういう、なにかに夢中になることって大事。

最近、SNSも含めて「誹謗中傷」っていう言葉があるけど、あの究極の対策は、「気にしない」ってことだからね。

編集部 (よくアツヒロさんは〝無視する〞〝気にしない〞〝心に入れない〞と表現するが、それができないから悩む人が多い気がする)〝気にしない〞ために、例えば植物を剪定したり?

佐藤 なにかに夢中になって、それを考えることで心がいっぱいいっぱいになれば、気にならないんだよ。自分が悪いことしていない限りね。

逆に言うと、気にしちゃうということは、誹謗中傷自体に夢中になっていることだから。誹謗中傷がないと、それはそれで気になったりするんじゃないの? だから、そういう悩みには心を夢中にさせるのがいいと思うね。

他人からどう思われるかじゃなくて「どう思われたいか」じゃないの?

佐藤 「アツヒロってはっきりしてるね」と言われるけれど、よく考えるとこれは、俺自身が「はっきりしてると思われたいし、はっきりしてないと思われたくない」ということだなと。

編集部 人って、「こう言ったらどう思われるだろう?」と相手の気持ちが気になることが多いですが、そうではなく?

佐藤 先にそれを考えたら、なんにもすすめないよ。そこを一緒にしちゃうと、ただの八方美人になる。

編集部 (相手がどう思うだろう?という優しさの面もあるとは思うが)ただ、それで誤解が生まれることもあるのでは?

佐藤 自分らしさなんて、自分でわからないものだよ。第三者が「アツヒロらしいね」と指摘してくれたことが、俺らしさ。

自分のことをわからないことをわかれ!ってこと!よ。

この続きはまた今度話すわ。

<Profile>
佐藤アツヒロさん
1973年神奈川県生まれ。1987年、光GENJIとしてデビュー。2000年『ララバイまたは百年の子守唄』で初舞台を踏み、以降、数々の作品に出演し舞台俳優として高い評価を得る。4/15(木)~4/25(日)舞台『楽屋』(浅草九劇/再演)に出演。
詳しくはg-atlas.jp/gakuya2021/にアクセス。

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編集/菊池由希子 構成/Mart編集部 撮影協力/グリーンショップ 音ノ葉(東京都文京区関口2-11-31 https://www.oto-no-ha.jp/

2021年5月号
佐藤アツヒロさんのひとり語り
こじらせ男子でなにが悪い Vol.22 より