クリス‐ウェブ 佳子さん「島倉千代子さん『人生いろいろ』に今思うこと」

クリス-ウェブ 佳子さんがVERY別冊付録「VERY NAVY」2021年4月号より連載をスタート。佳子さんらしい切り口と語り口で、大人の“彩り”に満ちた人生を語ります!

vol.01
クリス-ウェブ 佳子
Yoshiko Kris-Webb

 人生いろいろ、とはよく言ったものです。そうだ、まずは改めまして!です。お初の方ははじめまして。クリス-ウェブ佳子です。今春からNAVY本誌にて連載コラムを書くことになりました。甘口、辛口、その時々の気分で、私の人生、または誰かの人生に起きたいろいろを綴っていきます。

 

〝いま かがやくのよ 私たち〟
〝いま とびたつのよ 私たち〟

 

 冒頭を読んで、すぐさま〝あの名曲〟が頭に浮かぶくらいが読者世代だと思いつつ。のっけから女性たちの心をグッと鷲摑みにした島倉千代子さんの名曲『人生いろいろ』は1987年に発表されました。当時、私は8歳で、早熟にもTVアニメ『シティーハンター』の冴羽獠ではなく海坊主に恋をしていて、コロッケさんが真似て歌うこの曲に笑い転げるばかりでいました。それが最近、改めて歌詞を見直したらば、涙しながらNHK紅白歌合戦を見ていた祖母の気持ちが少しわかった気がします。

 

 1987年といえば、男女雇用機会均等法が施行されてからまだ間もない頃で、性差別だけに限らず、人種差別や同性愛嫌悪など、潜在意識のバイアスによる差別が根強く残っていた時代です。そんな最中、生まれるべくして生まれたのがこの曲なのですが、作詞を手がけたのが男性だと知ったときは (これこそが差別意識なのかもしれませんが)正直言って驚きました。

 

 女も、女の人生もいろいろ、と作詞家・中山大三郎さんは、嘆き悲しみ、後悔しては祈りを捧げるという一面的な女性像を詞中に織り交ぜながらも、女性たちに向けて強い鼓舞のメッセージを送っているのです。

 

〝尽くす女でも、待つ女でも、かよわい女でもなければ、あなた好みの女でもない。
死を覚悟したこともあったけれど、私たちには強く生き抜く心意気があるのよ〟

 

 そんな風にも汲み取れる叙情に満ち溢れたこの曲が、今の私にドドンッと響きます。そもそも島倉千代子さんの壮絶な人生を元に書かれたこの曲は、彼女が49歳のときに発表され、130万枚ものセールスを記録したというから、本当に人生いろいろ。55歳で乳癌を患い、芸能人として初めて自ら癌であることを記者会見で発表。歌手生活45周年を迎えた61歳のときには、タキシードで全国ツアーを敢行。ご存命であれば3月30日で83歳の島倉千代子さん。誰かの一生懸命に生き抜いた人生をなぞってみると、いろいろな教えが見つかります。

 

〝苦しいときにこそ人は伸びる〟

 

  彼女の生涯に見つけた私なりの生きるヒントです。

 

「人生いろいろ」 作詞:中山大三郎
JASRAC(出)2101507-101

 

クリス-ウェブ 佳子さん

10年間VERY専属モデルとして活躍し、2021年3月号に卒業。2021年4月号よりVERY NAVYのミューズのひとりとして参加。モデルをはじめ、執筆業、ラジオDJ、インテリアデコレーターなど活躍はジャンルを超え多岐にわたる。2人の女の子のママ。著書に『TRIP with KIDS ―こありっぷ―』(講談社)『考える女』(光文社)。

イラスト/Przemek Sobocki

 

VERY NAVY 4月号『[新連載]クリス‐ウェブ 佳子さん LIFE in COLORS vol.1』から
詳しくは2021年3/5発売VERY NAVY 4月号に掲載しています。