【イナトモWEB Vol.11 憧れの鈴木保奈美さんと対談①】「稲沢さんのことはSTORYの新聞広告で知っていました」
鈴木保奈美さんとドラマ初共演。
保奈美さんにとって、演技とは?
演技苦戦中のイナトモが、
憧れの先輩にお話を伺いました!
3月20日よりスタートするWOWOWドラマ「インフルエンス」の中で、鈴木保奈美さんと初共演した稲沢朋子さん。学生時代からのファンであり、演技の道へ第1歩を進み始めたイナトモにとって、役者としても憧れの大先輩となる保奈美さんと初対談!全3回に分けてお届けする第一回目は、共演したドラマの裏話から、鈴木保奈美さんの考える演技や役作りの話など、お仕事の話を中心にお話しいただいたことをご紹介します。
1966年生まれ。1986年にTVドラマデビュー後、1991年にフジテレビドラマ『東京ラブストーリー』の大ヒット以降、数々のドラマに出演し女優として活躍の一方、婦人公論(中央公論新社)をはじめとするコラムの連載を担当し、同誌より昨年12月には、初の著書『獅子座、A型、丙午』を発売するなど、執筆の分野でも活躍中。プライベートでは3人姉妹の母でもある。
稲沢朋子さん(以下敬称略):ドラマ「インフルエンス」では、1シーンだけでしたが、撮影をご一緒できたことは私の人生の中で大事件。スタンバイ中の穏やかな表情から一転、監督のかけ声が聞こえると同時に、保奈美さんの目に瞬時に宿る魂を感じて、身体に電気が走るくらい鳥肌が立ったことは、今もリアルな感覚として残っています。そのせいで頭が真っ白になって、自分のお芝居を一瞬忘れてしまったくらい。
鈴木保奈美さん(以下敬称略):魂?恥ずかしいですね(笑)。自分では全然わからないけど、そうだったんですね。一緒のシーンの撮影の時は、日が暮れる直前でかなり立て込んでいたから、全然お話する機会がありませんでしたよね。あの日が私にとっては撮影が初日で、ロケ場所などの関係でラストシーンから撮影が始まったんです。
稲沢:そうだったんですね。初日にラストシーンのテンションを引っぱり出すことなんて、難しくないですか?
鈴木:難しいです。ある程度撮影が続いて、現場の空気感に慣れてくると、トラブルやピンチも意外と皆で乗り越えられるんだけど、撮影の初日は、バタバタすることも多いし、気持ちをコントロールすることにいつもより体力を使います。だけど私、負けず嫌いだから、監督に急に言われたら、“よし!やってやろうじゃん”!って頑張っちゃうの。内心ドキドキしてることもあるけど、平気な顔を装ったり(笑)。だけど、みんなそうだと思いますよ。
稲沢:何度も何度も台本を練習して、しっかり暗記もしてきたのに、本番になると急に頭が真っ白になったり、頭ではわかっているのに、違う言葉が出てきてしまったことも。まだまだ勉強しなければならないことが沢山あると思いました。保奈美さんはセリフを忘れたりすることありますか?
鈴木:私だってセリフを忘れることはありますし、何度も練習して本番に臨んでいるのに、不本意に違うことを言ってしまうことも。役者さんなら誰でもよくあることだと思います。どこかに力が入ってしまうのでしょうね。きっと少しずつ慣れていくはず。
稲沢さんのことは、STORYの新聞広告を
見て覚えてました。読者モデルから表紙モデル
って凄いなって。
(鈴木さん)
鈴木:何年か前、新聞一面に載っていたSTORYの広告で大きな笑顔で笑っている稲沢さんの写真の記憶が残っていたので、「インフルエンス」の台本をいただいた時、お名前を見てお芝居もやるんだなって思いました。読者モデルから表紙モデルになられたんですよね?凄いなって思ってました。表紙の印象では、もっとおしとやかな女性だと思ってました。実際お会いすると結構ガハハ系なんですね。
稲沢:そうなんです。よく言われます(笑)。でも、覚えていてくださっていて嬉しいです!
鈴木:その正反対のイメージを出せるっていいことじゃない?それはそれで特技だと思った方がいい!モデルの他に、ここ最近になってお芝居をやるきっかけは、何かあったんですか?
稲沢:子育てがようやくひと段落したので、モデルの他にも何か新しい世界に挑戦してみたいと考えていた時、芝居のお仕事に声をかけていただいたこともあって、演技の勉強をしてみようと思ったことがきっかけでした。久しぶりに勉強するために演技のレッスンに通っています。始めてみて思ったことは、演技というものは、すごく体力と頭を使うし、読解力に加えて精神的な負担など、凄くエネルギーを使うものと実感しているところです。国語が苦手だった私にとって、台本を読み込むことから壁にぶつかっています。台本をずっと読んでいると夢に出てきたり、子どもから言われて知ったのですが、寝言も沢山言っているらしいです(笑)。
鈴木:夢に出てくることは私もありますよ。新しい作品に入る初日の前夜は眠れないし、夢もしょっちゅう。急にシーンの変更を言われて、台詞を覚えてなくて内心どうしよう、どうしようって焦っている割に、スタッフには“大丈夫ですよ”って平静を装っている夢とか。
稲沢:演技の大変さを知った私にとって、様々な役柄をこなしながら、女優業と家庭をどうやって両立されているんですか?
鈴木:そのために何かしているわけではないです。あえて気持ちを切り替えなくても、家に戻ると自然と家事をする母という自分に戻ってるかな。時には、顔は本番のフルメークのままトイレ掃除やお風呂掃除していると、ふと“さっきの私はどこへ?”と自分でもそのギャップに笑ってしまうことも。現場ではコーヒーを入れていただくけれど、家に帰れば家族にコーヒーを入れてあげて、その上カップを洗っている自分も日常の私。若い頃は、コーヒーを入れてくださるのが居心地悪くて“自分でやります!”と肩に力が入っていたこともありますが、今は、その場その場での自分を自然に受け入れている感じです。
肉体と精神の使い分けが理解できるように
なってから、お芝居の楽しさが膨らみました。
(鈴木さん)
稲沢:役柄が仕事によってガラっと変わる時のスイッチの入れ替えはどうしてますか?
鈴木:今まで同時に二つの作品に携わる機会は少なかったので、そこまで切り替えの必要性を感じたことはありませんでした。いつもは、現場に入ってヘアメークしている間にアイドリングがかかって、気持ちを整えていきます。昨年はコロナ禍の影響で、収録のスケジュールが色々とズレたことで、「SUITS」(フジテレビ)と「35歳の母」(日本テレビ)が重なってしまって。あまりに役柄が違うので、さすがに、どうしようかな……と思っていたのですが、衣装もメークも真逆なほどガラっと変わるので、意外と簡単にスイッチできました。
稲沢:役柄に気持ちが入り込んで引きずってしまうことはありますか?お芝居初心者の私としては、とにかくその人になりきることを考えているうちに、役柄ごとに人が変わったりしないのかな、と思うことがあるのですが。保奈美さんはどうですか?
鈴木:スイッチのON、OFFは慣れだと思いますよ。モデルの時とはまた違った、今まで使っていなかった脳を使い始めたわけだから、今、その脳を活性化させてる最中だと思えば、そのうちにきっと、今より楽になってくると思いますよ。自分を俯瞰で見て、身体の使い方、身体の疲れ、精神的なことが他人ごとのようにわかってくると、自分をうまくコントロールできるようになるはず。それがお芝居の楽しさでもあると思います。肉体と精神の使い分けの重要性に気付いてから、私自身、お芝居の楽しさがさらに膨らみました。脚本家の意図を汲むゲームの攻略みたいな。でも、こういうことに気付けたのは本当に最近のことですが。
稲沢:紐を解いていくような感覚なんですね。保奈美さんが最近気付いたとしたら、私が気付けるようになるのは、おばあちゃんになってからですね(笑)。台本を読み解くことばかりに徹して、少し頭でっかちになっていたのかもしれません。自分を俯瞰で見れるようになることも大切なんですね。ますます演技の奥深さを感じました。私自身、演技が向いているか否かはまだ未知の世界ですが、自分なりに頑張ってみたい!と今日改めて思わせていただけました。ありがとうございます!
「連続ドラマW インフルエンス」
WOWOWプライムで「連続ドラマW インフルエンス」が始まります。橋本環奈さんが主演の感動サスペンスドラマ。鈴木保奈美さんは、事件の真相に迫るキーパーソンの小説家役で出演。稲沢朋子さんは、鈴木さん演じる小説家の前に現れる謎の女として出演します。3月20日の夜10時よりスタート(毎週土曜夜10時 放送・配信 全5話)
次回は3月26日公開予定
第2回目は、鈴木保奈美さんと稲沢朋子さんのお互いの子育てについてです。お楽しみに!
「スタート!」監督からのかけ声が聞こえた瞬間、
瞬時に目に宿る魂を感じて鳥肌が立ちました!
(稲沢さん)