【coxco代表・西側愛弓さん①】素人からアパレルブランドを立ち上げる方法とは?[連載・私らしい働き方]
キャリアの選択が多様化し、より自由に選択できる今。
「自分らしい働き方」を追い求め、実現させている憧れの自立女子たちに、ご自身のキャリアの実体験を語ってもらうWEB連載。
記念はすべき第一回目は、JJ誌面やJJnetに度々登場している神戸出身の起業家、社会課題と向き合うアパレルブランド「coxco(ココ)」代表の西側愛弓さんにインタビュー。その模様を前・後編に分けてお届けします。
前編となる今回は、新卒でIT企業に入社。アパレルとは無縁だった人生から一転、彼女がブランドを設立するに至ったきっかけやD2Cブランドの立ち上げ方について詳しく聞いてきました!
Q.ブランド設立のきっかけとは?
JJ編集部:ブランドを立ち上げたきっかけを教えてください。
西側さん:自分がビジネスをする理由を深掘りしていく中で、消費者と直接的な関わりを持ちながら皆で社会問題を解決していきたいと思ったからです。実は、最初ブランドをつくる予定ではなかったんです。全く違うビジネスモデルを考えていて、ファッションテック寄りの事業をしようと進めていました。でも、目的をはっきりさせたとき、最終的にブランドを立ち上げるという形になりました。
JJ編集部:ブランドを立ち上げる際に、重要なことは何ですか?
西側さん:目的を明確にすること。例えば、ブランドや服をつくりたいのか、それとも、伝えたいメッセージがあるのか。coxcoの場合、“服のかたちをしたメディア”をテーマに、シリーズごとに社会問題を設定し、そこから服を作っています。単に服を作って売りたいのではなく、服を通していろんな社会問題を知ってほしい、そして一緒にファッションを楽しむことで社会課題を解決していく、という体験を提供することが私たちの目的です。現代はモノがあふれていて、誰でも簡単に何でも作れてしまう時代。だからこそ、なぜ自分が作らないといけないのかということを明確にすることは、他ブランドとの差別化にも繋がると思います。
Q.ブランドの作り方とは?
JJ編集部:目的を明確化してからモノが出来上がるまでの順序を教えてください。
西側さん:目的を決めた後は、ブランドのコンセプト作りやターゲット層、何を作るのかを具体的に決めていきました。それからビジネスモデルを決めるまでに約半年、実際にモノが出来上がるまでに約半年といったところですね。
JJ編集部:ブランド立ち上げ時にかかった初期費用はどのくらいでしたか?
西側さん:当初は50万を資本金として想定していたのですが、結局なんだかんだで100万いかないくらいですかね。
JJ編集部:周りにアパレルの知見がある方やコネクションなどはあったのでしょうか?
西側さん:全くありませんでした。前職もアパレル系ではなかったので、コネゼロ、知識ゼロ。なので、ネットで「工場」とかで検索をして、洋服を作る工程に必要な会社をリストアップし、片っ端からアポ電をしていました。
JJ編集部:工場を調べるところからというのは想定外でした。行動力が凄い! coxcoの場合、サステナブルを主軸にしているので、それを扱っている工場で検索をかけたということですか?
西側さん:そうですね。環境に配慮された素材の生地を扱っていて、かつ、日本の縫製技術や労働環境が担保された認証を受けている工場を調べました。
JJ編集部:実際に何軒の工場にあたったのですか?
西側さん:生地は5軒くらい、工場は何十軒と電話をかけました。当時は肩書きがなかったので、「服を作りたい西側です」といった感じで電話をしていましたね(笑)。実績も知識もなかったので、全然相手にされずという感じのところも多くありましたが。
JJ編集部:心が折れませんでしたか?
西側さん:正直こうなるだろうな…とは想定していて。ただ、詳しく話を聞きたいと思っていたところは全てアポがとれて、実際に訪問させていただくことができたんです。でも、ホームページではサステナブルと謳っているけど、裏側は全然違ったということもあったので、実際に自分で足を運んで聞いてみないと分からないものだなと学びました。
JJ編集部:縫製工場や材料の仕入れ先以外にも、洋服を扱うブランドの場合、パタンナーさんやデザイナーさんが必要になると思うのですが、そこはどのようにしたのですか?
西側さん:友人のつてでフリーのデザイナーさんを紹介してもらい、パタンナーさんはそのデザイナーさんに紹介していただきました。その他、ブランドイメージの撮影などは、知り合いのカメラマンの方にお願いして、モデルさんには直接インスタのDMでオファーしました。そうやって「作る」体制と「売る」体制を作っていきました。
JJ編集部:coxcoを広めるためにしたことはありますか?
西側さん:雑誌などメディアに取り上げていただいて認知度を上げることと、オフラインの場として展示会を行い、実際に見て触ってもらう機会作りをしました。
JJ編集部:服の在庫はどのようにまわされていますか?
西側さん:少量生産の売り切れ型というビジネスモデルを採用しています。理由は近年のアパレル業界における過剰生産・大量廃棄のサイクルを見直していきたいからです。本販売前に予約販売を行い、ある程度生産数を計算してから作っているため、在庫を抱えすぎてしまうことはありません。
JJ編集部:目的は服を通したメディアということですが、売上も重視されていますか?
西側さん:もちろん売上も大事なので追いかけてはいます。ただ、coxcoは“服のかたちをしたメディア”をコンセプトとしているので、そこがブレないようにすることを第一に考えています。
Q.coxcoのこれからとは?
JJ編集部:coxcoの今後の活動について教えてください。
西側さん:coxcoとしては、NPOとシナジーを生んでいくことが長期的な目標です。NPOでファッションスクールを作り、coxcoで雇用するというビジネスを3〜5年のうちに実現し、グローバルなブランドにしていきたいです。
後編では、西側さんご本人のルーツに迫ります! 次回もお楽しみに♡
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