アクション・プラン 携帯料金は安くなる?

総務省が打ち出した 携帯料金の引き下げを促す「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」。3大キャリアはなかなか安くならない印象ですが、この先、競争が促されて変わっていくのでしょうか? 経済学者の安田洋祐さんが教えてくれました。


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解説いただいたのは

\若手の目線で見る!/
安田洋祐さん
経済学者。専門はゲーム理論。政策研究大学院大学助教授を経て、2014年 4月から大阪大学准教授に就任。『報道ランナー』(関西テレビ)や『ミヤネ屋』(読売テレビ)』にコメンテーターとして出演するほか、財務省「理論研修」講師、金融庁「金融審議会」専門委員等を務めるなど多方面で活躍。ユニークな視点での経済解説に定評がある。

「アクション・プラン」とは?

総務省がモバイル市場において公正な競争ができるようにし、利用者がわかりやすく適正な料金やサービスを受けられる環境を整えるために打ち出した取り組み。

\こちらの3つの取り組みをしていきます/
【第1の柱】分かりやすく納得感のある料金・サービスの実現
【第2の柱】事業者間の公正な競争の促進
【第3の柱】事業者間の乗り換えの円滑化

安田洋祐さんが考える/
携帯料金が適正な価格になるためには?

消費者が意識してプランやキャリアを選ぶ

顧客の獲得競争が激しくなる

ユーザーが納得する新しい料金プランが登場

モバイル市場の競争を促すための施策が登場

総務省は2020年10月末に、携帯料金の引き下げへ向けた「モバイル市場の公正な競争環境の整備に向けたアクション・プラン」を公表しました。その内容は、複雑でわかりにくい料金体系や乗り換えへのハードルを解消して、健全な競争のもとで各社の携帯料金を抑えていこう、という道筋を示すものです。
携帯事業者に自発的な値下げを促すための環境づくりを目指す今回の計画は、「いつまでにいくら」という形で政府が無理やり値下げを要求するよりもずっとよいと思います。なぜなら、国が料金に直接介入してしまうと、事業者は消費者ではなく政府の顔色ばかり気にするようになるからです。そうなってしまうと、たとえ一時的に料金が安くなったとしても、将来的には通信サービスの質が低下したり、料金がまた上がってしまったりするかもしれません。

一人一人の行動がマーケットを変えていく

ではなぜ、大手キャリアの料金は高止まりしているのでしょうか? その大きな原因のひとつが、消費者の食わず嫌いだと思います。「UQモバイル」「Y!mobile」といったサブブランドや格安スマホを消費者が積極的に選ぶようになれば、大手キャリア各社も対抗して値下げをせざるを得ません。実はすでに格安で魅力的なサービスは存在するのです。「よくわからないから」「面倒だから」といった理由でなんとなくキャリアの乗り換えたプラン変更を避けてきた消費者が、皮肉なことに大手キャリアの高収益を支えてきたのです。
そんななか、NTTドコモがWeb手続きに特化した新プランを発表しました。20GBのデータ通信がついて月額2980円(税別)という安さ。プラン内容もシンプルです。顧客の獲得競争が激しくなり、他社も新プランを打ち出してくるのは間違いありません。これからはシンプルでわかりやすいサービスがどんどん出てきて、プラン変更や乗り換え方法もずっとスムーズになるでしょう。
政府がどんな主導をしたとしても、最終的にマーケットを変えて、適正な料金体系を実現させるのは消費者一人一人の行動です。みなさんもこれを機に、一歩踏み出してみては?

※掲載中の情報はMart誌面掲載時のものです。

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イラスト/熊野友紀子 構成/長南真理恵

2020年1月号
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