【INTERIOR】コンパクトな暮らし①大内さん邸

          物が増え続けず、掃除しやすい〝循環〟する家は、このサイズ

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[画像上]L字型の家の廊下部分が、大内さんの設計士事務所「small Design Studio」のスペースに。無駄な空間になりがちな廊下に、机と棚を造り付け。「資料や本はこの棚に入るぶんだけ。そう決めることで無駄に増えることなく、必要な資料もすぐに見つけられます」。

これは必要?と見直すタイミングが周期的に訪れることが理想

47㎡という数字を疑ってしまうほど、開放感に溢れる大内さんのお宅。そこには、建築家という職業ならではのアイデアがぎゅっと詰まっています。「狭さを感じさせる仕切りを、極力なくしました。スペースごとに床素材を変え段差を作ることで仕切らずに部屋ごとに印象を変化。また、L字型という間取りを生かし、廊下は仕事スペースに」。スペースがあるとどうしてもものを溜め込み、選別というタイミングを逃しがち。「コンパクトな家に住むことで、ものを見直すタイミングが必ず周期的に訪れます。そうしないと溢れてしまうし、そもそも置く場所がない。その周期がちょうどいいので、50㎡前後で家を探していました」。溜め込まず、〝循環する〟家を作るための第一条件が、コンパクトなサイズ感。大内さんを心地よい暮らしへと導いてくれるサイズは、50㎡前後とのこと。自分の心地よさを突き詰めれば、適した部屋のサイズ感も自然と見えてくるはずです。

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水捌けのよさ、掃除のしやすさに加えて、手触りのよさも重視したオーダーメイド
[画像上]木製のキャビネットに、モールテックスという左官材料をコテで塗って仕上げたというキッチン。「モルタルやコンクリートと違い、手触りがとても優しく、グラスや陶器を置いても割れてしまうような当たりがありません。」

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スペースを狭くする家具は極力置かず、造り付けのベンチソファを窓際に
[画像上]「リビングはリラックスして過ごしたい。ゴロゴロ寝ころびたい」という希望にはカーペットがベスト。あえて一段低くすることで、リビングとキッチンをきちんと棲み分け。ベンチ横には造り付けの暖炉も設置。

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                                   仕事スペースの逆側にはコンパクトな洗面所、バス、トイレをまとめる
[画像上]最小限の洗面台。「足元の素材は、肌触りがよく水捌けのいいサイザル麻にしました」。

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造り付けの食器棚に入る量を保つためには自然と選別が必要に
[画像上]ダイニング横に造り付けの食器棚。「料理を楽しむためには、ある程度器を持つことも大切。ミニマリストにはなれないので、ほどほどの数を持っていますが、この棚に入る量に収めるというのが私の中のルール」

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玄関横に広めの収納スペースを作り、収納はこの1カ所に集中
[画像上]玄関脇には広めのウォークインクローゼット。「『服を何着』などと決めるのではなく、このクローゼットにきちんと収まる量が理想。各部屋ごとにちょこちょこ収納を作るのではなく、様々なものをこのスペースに収納するようにしています」。

撮影/GIRAFFE  取材/柿本真希 構成/小橋健太郎

※2019年7月号の掲載記事より抜粋