4歳児が考えた「300円の使い道」
【連載】神山まりあの「笑うママには福来る。」Vol.20
「お年玉の行方」
1月に家族や親戚からもらった大切な大切なディーンのお年玉。
全部口座に入っていて、いつかディーンが必要になった時に引き出せるようにするんだ。
こないだ、久しぶりに会ったおじさんが遅ればせのお年玉としてディーンに百円玉を10枚くれた。
コインがわっさわっさ入った袋を初めて手にした息子は、目をキラキラさせて欲しいおもちゃを想像しているようにも見えた。どうやらお金の価値を少しずつわかり始めたらしい。
お金はただのコインではなく、物と交換してくれるものなのだと学んでいる。
全ての物には価値があり、一つ一つに感謝しなきゃいけないよ、と伝えたい。
これはいい機会かもしれないと、この10枚のうち、3枚の100円玉を口座に入れることなく本人に渡そうと夫婦で決めた。
使うのもためるのも本人の自由。4歳児がどんなお金の使い方をするのか興味もあった。
ストックバッグに300円を入れて渡す。
これは大切なお金だから、ディーンが本当に欲しいものを買うんだよ。
そう伝えると、大事にポケットに小さなストックバッグを入れる。
何度もそのストックバッグを出してはキラキラの100円玉を眺め、そしてポケットに戻す。何かに悩んでいる様子。
ディーンはそのお金で何を買うの?
すると、ディーンは私の左手をそっと握って「これ」と言った。
指輪。
「マミーにこれ買う」
私、号泣。
「パパには元気のメディスン(毎日飲んでるサプリのこと)買う」
パパ、感無量。
自分の欲しいものよりも、私たちのことを考えてくれたこと。そして、私たちが何を大切にしているかを観察しているクリクリの目が愛おしくて仕方がない。
ディーンはとっても優しい子に育っている。
300円で指輪とサプリは買えないかもしれないけど、気持ちが嬉しい。
きっと本人もお菓子やおもちゃで欲しいものがあっただろうに。
ディーンは何も買わないの?
心があったかくて、ギューッと息子を抱きしめながら聞いてみた。
「ディーン君はお金買う」
?
あ、なるほど。
欲しいものが沢山あって、選べなくて、お金を沢山買いたいらしい。
一本取られた。
100円玉3枚で、こんなにも優しい気持ちになれて、こんなにも笑うと思わなかった。
今日もまだ、ディーンの宝箱には300円の入ったストックバッグがしまわれています。マミーは指輪を楽しみにしてるよ。
約束は約束だかんね。私この耳でしかと聞きましたから。
大人になって無効とかないんで、よろしく。
【PROFILE】かみやま・まりあ
1987年2月17日生まれ。
2011年ミス・ユニバース ジャパングランプリ。
2015年結婚、2016年男児出産。
インスタグラム@mariakamiyamaも大人気。
2018年9月に初めての書籍
『神山まりあのガハハ育児語録』(光文社)を刊行。
撮影/杉本大希〈zecca〉 ヘア・メーク/秋山 瞳〈PEACE MONKEY〉 イラスト/natsu yamaguchi 編集/湯本紘子
*VERY2020年11月号「神山まりあの笑うママには福来る。」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。