女の40代は惑いの中。 でも、大丈夫!52歳で人生はスイッチします 羽田美智子さん(52歳)

‟笑い顔“――HAPPYそうな笑みを顔中に広げる姿が印象的な羽田美智子さん。

そんな羽田さんが、『羽田さんに聞いてみた、小さな幸せの見つけ方』という本を出版。家庭に仕事に人間関係に……、悩みが尽きない大人女性たちに、羽田さんが見つけた、‟幸せになるヒント“を教えてくれました。
 


40代は、「不惑」というけれど、それも今や昔。本当は、女性にとって40代という年代は惑いだらけ。私も類にもれず、その途中までは惑いの中にいました――。

20代、30代の頃は、‟大きな幸せ“が、幸せだと思っていました。例えば、「映画のヒロインに決まった」とか「アカデミー賞で賞をいただいた」とか、自分の人生の年表に記せるようなビックイベントこそが幸せだと思っていたんです。皆さんの生活の中では、「結婚した」とか「子供が生まれた」とか、そんなイベントでしょうか。でも、それをずっと求めていると、一生のうちに幸せを感じる時間って数えるほどになってしまう。

それで、40代半ばを過ぎた頃でしょうか、「毎日幸せでいたい」と思ったら、日常の中の幸せに気づくことだと、ふと思ったんです。そして、そうやって‟小さな幸せ“に気づき始めたら、すごく自分の顔が変わってきました。それまでは、満足感よりも自分が不足していることにフォーカスしていたんですね。もちろん、大人だから、人を羨んだり、ねたんだりする気持ちは、ずいぶん昔に手放し解放されているけれど、自分の足りない部分を数えて、「私、何で手に入れられないんだろう……」と、思い悩んでいたんです。それで、その欠乏感がすっかり顔に出ていたのでしょう。

そして、不意に訪れたコロナ禍で、一日一日を「あーっ、幸せ!」そんなふうに思って過ごしたいと改めて思いました。思い立って懐かしい友達に電話やオンラインで連絡して交友関係が復活したり、ハーブを育てたり、徹底的に掃除してみたり……。普段しないことをしてみるのは、案外楽しいし、幸せ。これまで外側にばかり意識が向いていたけれど、内側を埋める作業って、人にとって大切なことなんですね。そして、幸せって、本当はこうした日常に隠れている。私達は、それを見つける作業が必要なんです。

コロナ禍で迎えた52歳。これを機に「日本の伝統や文化」について書こうと思っていた本も、自分の内側を見つめる時間の中、当初とすっかり内容が変わってしまいました。実は私、ずっと昔から52歳ってターニングポイントだと思っていたんです。この業界の中だけでも、一つのムーブメントを起こしたスーパースターの方々が52歳でその命を閉じたり、52歳の頃からヒット作品を出している方もいらっしゃったり……。昔、そんなふうに聞いた先輩の言葉がすごく胸に残っていたんです。私は、前を歩く先輩の言葉を大事にしているのですが、その言葉も2つタイプがありました。

一つは、「50歳を過ぎると、女は面白くないわ」という人、一方、「そんなことない、とっても楽しい」という人。

でも、やっぱりこの二人は、顔つきが違うんです。「面白くない」という人は、その顔がどこか寂し気で‟終わった人“とうムードが漂っているし、「50代、とっても素敵な時間が待っているわよ」という人の顔は、やっぱり輝いている。そう、顔って、考えていることや口にすることで、本当に変わるんです。

私も40代は、いろいろありました。傷ついたり、絶望感があったり。でも、そこから立ち上がった時、「私、輝いてる」そう思えたんです。

悩んでも、潮の満ち引きのように、やがて立ち直れる時期があるから大丈夫!そして、もっと言うなら、40代で悩むなんて、もったいない。「自分なんて……」と過小評価するのは止めたほうがいい。まだまだ若いし、とにかく大丈夫。

そして、一つ先輩として知恵をお授けするならば、「あした日記」を毎日つけるのがお薦めです。明日の出来事を想像して、あたかも事実として起こったことのように先に日記に書いてみるのです。私は、5年間続けていますが、本当に願いが叶っている人生だと思います。

小さな願いを持ち、小さな幸せを見つけながら毎日を生きる――そうしたら、あなたの顔は、きっと変わってくると思います。

『羽田さんに聞いてみた、小さな幸せの見つけ方』(宝島社)
◯ Profiel 羽田美智子 1968年、茨城県生まれ。88年にデビュー後、1994年公開の映画「RAMPO」でヒロイン役に抜擢され、日本アカデミー賞新人俳優賞受賞。NHK朝ドラ「ひよっこ」などドラマや映画に多数出演。羽田さん自身の目で選んだネットセレクトショップ「羽田甚商店」が話題に。
https://hadajinshop.co.jp/

撮影/イ・ガンヒョン 取材・文/河合由樹

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