神山まりあエッセイ⑳「ザリガニとめだか、時々エビ」
VERYモデル神山まりあさんによるエッセイ
「笑うママには福来る。」
2019年2月号からスタートした連載が
ウェブでも読めるようになりました!
魚くんといえばディーン。
私の実家では熱帯魚を飼っていて、
遊びに行くたびに魚たちを観察する。
それはそれは愛おしそうな顔をして、
話しかけたりおもちゃを見せてあげたり。
そんなディーンを見て、
私の父(じーじ)はディーンと一緒に
めだかを買いに行くことにしたんです。
ワクワクしてめだかを実家の水槽に入れ、
家に帰ってきてもめだかの様子を聞いてくる。
愛情たっぷり注いでいる様子が微笑ましい。
ある晴れの日曜日、じーじはディーンの
喜ぶ顔を見たくてザリガニ釣りを提案。
ナイスアイディア! とみんなでノリノリで川へ。
じーじは器用なので、手作りで竿を作ったり、
ペットボトルで仕掛けを作ったり、
あれ、DASH村の方ですか的な。
初めてのザリガニ釣り。
そこはもはやザリガニパラダイス。
しょっぱなからディーンはザリガニを釣り、
ドヤ顔で釣竿を握る様はまるで西田敏行。
じーじもばーばも私も妹も、
もはや本気のザリガニ釣りが始まったのでした。
「ちょっと!!! 網!!! 早く!!!!!」
「今釣れそうだから待ってよ!!」
「じゃりがに? じゃりにが? ねーマミー、じゃりかにってカニ?」
「網! 早く!」
もう遊びの一線を越えて、
本気の釣りバカ日誌になっている神山家。
ついにザリガニとエビまで釣り始める始末。
「マミー、エビも可愛いねえ。
ザリガニとエビとめだかはお友達だねえ」
うっとりとバケツを眺めているディーンを見て、
やっぱり自然と触れ合うことって大切だなあと感じたよ。
バケツの中は川の恵みの玉手箱。ナイス響き。
「マミー! 見て!
ザリガニがエビをギューッてしてる!
ザリガニとザリガニもギューッてしてる!」
ビバ自然。
可愛い発言まで飛び出しているではないか。
すると妹が真っ青な顔をして叫んだ。
「おねーちゃん、大変だ!!!!」
バケツを覗くとギューッと抱き合っている
ザリガニとエビたちの光景。
そしてそれをキラキラ眺めるディーン。
これは……
皆さんのご想像にお任せしよう。
私には描写することもできない。
気づけばちょうどランチタイム。
川の玉手箱が、川の墓場となる前に
自然に返さなければ。
「エビとザリガニ、仲良しだねえ」
もはやエビのいなくなってしまった
バケツの中身をそっと川に戻し、
さっきまで賑やかだった家族は急に沈黙する。
「ザリガニ、めだかとも仲良しかなあ?」
可愛い質問に対して、遠い目で
「そうだね」と答えるじーじの背中は少し寂しい。。。
帰宅後、とりあえず『もののけ姫』を真剣に観ました。
人間を許して。
【PROFILE】かみやま・まりあ
1987年2月17日生まれ。
2011年ミス・ユニバース ジャパングランプリ。
2015年結婚、2016年男児出産。
インスタグラム@mariakamiyamaも大人気。
2018年9月に初めての書籍
『神山まりあのガハハ育児語録』(光文社)を刊行。
撮影/杉本大希〈zecca〉 ヘア・メーク/秋山 瞳〈PEACE MONKEY〉 イラスト/natsu yamaguchi 編集/湯本紘子
*VERY2020年10月号「神山まりあの笑うママには福来る。」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。