【ドニャン】パリの伝統的マニュファクチュアが創りだすアートなバッグとともに時を過ごす贅沢。
パリの伝統的マニュファクチュアが創りだす
アートなバッグとともに時を過ごす贅沢。
2000年に創業して間もなく、その斬新で類を見ないフォルムが認められ、ふたつの作品がパリ市モード美術館(ガリエラ宮)の永久所蔵品となったドニャンのバッグ。そのバッグには、トレンド重視、機能性重視といった、わかりやすい選びでは収まらない魅力があります。私たちが必要としている、「バッグを選ぶ新しい目」のヒントが、ドニャンのバッグには詰まっているのではないでしょうか。
Sologne ソローニュ
ヨーロッパにある大聖堂のアーチ型天井を支える石の稜線(オジーブ)を上下逆さにしたような立体的なフォルム。歴史と技術に裏打ちされた建築の知恵がバッグに映し出されています。アーチ状の稜線はボトムから上に伸び、ハンドルに。このオジーブを象った部分はバッグを支える重要なパーツ。メゾンブランドでも使われるほど上質なヴァシェット皮革(若い雌牛の皮革)を使用。さらに、レオパード柄はソフトな子牛の皮革を染め付けた特別なもの。定型のプリントでは味わえない自然な表情を醸します。「ソローニュ」〈W22×H26×D22㎝〉554,400※税込(ドニャン/スカレラ ジャポン)
まず、特筆すべきは唯一無二の美しいシルエット。目を奪われる柔らかいカーブは手作業でしか生み出すことのできないもの。デザイナー、リュック氏は前職がメゾンブランドの靴の制作責任者。靴の立体的なフォルムが、彼が作るバッグには反映されているのかもしれません。デザイン画やデッサンなどは一切なし。皮革を裁断し、材料を並べて最も美しい姿が生まれるよう、組み合わせていく姿はまるで彫刻を造り出すようなクリエーション。子どもの頃から自らの手でオブジェを作り出すことが大好きだった彼ならではの手法。そして、それを卓越した技を持つクラフトマンが丁寧に手作業で縫い合わせていく……。型材の使用を最小限に抑えて仕上げられたバッグは、軽量で機能的。実用性をも重視するドニャンの思想が込められています。
Goum グム
モスクワで出合ったロシア正教会のドームが描く美しいカーブが映し出されたデザインのバッグ。まるで卵かラグビーボールのようなその姿は、類を見ない個性あふれる逸品。ハンドル部分は長さの調節が可能。また、3色から成るパリのエスプリを感じるカラーコンビネーションはモダンアートそのもの。ファッションに新風を吹き込みます。「グム」〈W26×H17×D13㎝〉150,700※税込(ドニャン/スカレラ ジャポン)
1.両開きファスナーで開閉できるので、収納力も抜群。見やすく取り出しやすい設計で革新的な高い機能性。バッグの内側にはフランスの伝統あるテキスタイル、トワル・ド・ジュイ(ジュイ更紗)があしらわれ、気品を感じさせます。
2.表側の色に合わせ、内側の素材も異なる色が選ばれます。また、ポケットはギャザーやタックが寄せられ、カーブを描いて取り付けられ、中身を探しやすいデザイン。繊細な手作業があってこその仕上がりです。
そして、なにより高品質でこだわりの込められた素材使い。それぞれの素材と染めの特質を知り抜いた業者をパートナーとして厳選された皮革、細部にまでこだわり選ばれたバックル類……。そんな素材たちから、すべての工程が行われるパリで、そこに吹く時代の風を受けながら、新しいアイディアとイノベーティブなバッグが生み出されるのです。
1.カットした皮革を組み合わせる姿は、まさにアートが生み出される瞬間。ドニャンのバッグのほとんどは各ピースに裏地を縫い付け、その後に組み立てるため、細部にまでクリエーションを感じさせます。
2.ディテールの仕上げには職人による丁寧な手仕事が入り、ひとつのバッグを製作するのに約1日半。ソローニュのような完全手縫いのモデルには8日間を要することも。イノベーティブな織機でレースを織り、手縫い刺繍で仕上げたドニャン家のDNAが生きています。撮影/Xenia CHAUSS
リュック氏のバックボーンは、ヨーロッパの貴婦人たちが愛用してきた高級シルクレースの名門ドニャン家。幼い頃から〝ドニャン家のもの作り?を目の当たりにし、育まれたエレガンスが、ドニャンのバッグが纏う空気感に、反映されているようです。
左:デザイナー、リュック氏の想いが詰まった原点でもあるレースのバッグ。それは「レースは過去から継承した究極の洗練の証し」と語るほど。工業化と手工業を組み合わせることでリヨンレースを生み出した祖先へのオマージュ。撮影/Rafik MAHIOUT モデル/Anna BELYAVINA-NORMAND
右:1805年に創業されたシルクレースの名門、ドニャン家。ヨーロッパの高級レースを長年、牽引してきた歴史を持っています。リュック氏のエレガンスは、レースを知り尽くした背景と、貴族出身の母からの美意識の継承にもあります。ドニャン家所蔵
手にした時に女性が魅力的に見えるよう計算されたフォルム、持つ人に出合うために生み出された唯一の存在感と意外なほどの機能性。そしてサステナビリティが大事にされる現代社会において、母から娘へと繋こいねがいでいくことを希う丁寧な造り。これからの新しい時代、価値を知り「新しい目」を持ちえた人のみが、ドニャンのバッグを選ぶ贅沢の意味を、感じ取れるのではないでしょうか。
お問合わせ先
スカレラ ジャポン株式会社
https://dognin.paris/
撮影/西原秀岳〈TENT〉 取材・文/金沢由紀子 構成/二村勉史