「圧倒され泣いた」頓知気さきなが心揺さぶられた芸術作品とは?
アイドルとして活躍する頓知気さきなちゃんに「芸術の秋」と題してインタビュー。絵を描くのが好きな本人が感動した絵画の話や、ちょっと変わった趣味などたくさんお話していただきました!
後にも先にも絵をみて泣いたのはこの時だけ
ワンピース¥54,000、ブラウス¥27,000/ともにヴィヴィアン・ウエストウッドレッドレーベル(ヴィヴィアン・ウエストウッドインフォメーション) ヘアピン(2個セット)¥9,200/ビジューアール・アイ イヤリング¥17,000/セシル・エ・ジャンヌ
――幼少期から、絵を描くのが好きだったそうですね!
もともと絵を描いたり人形で遊んだりなど、ひとり遊びが好きな子どもだったみたいです。小さいころの記憶があまりないのですが、とにかく絵だけは描いていたんですよね。
――美大を受験するために、高校生のときには美術の予備校に通っていたとか。
結局受験すること自体をやめてしまったんですよね。ひとことで言うなら、スランプに陥ってしまって。ぜんぜん描けなくなってしまったので、「今は描く時期じゃないんだな」と判断して、一回描くこと自体をやめることにしました。そのうえで、「入力しなきゃ出力もできない」と思い、いろいろなことをたくさん吸収したくて、違うことを始めてみました。最近では軽いイラストは描きますが、油彩画などのきちんとした作品は創作していません。でも、最近またちょっと描きたくなってきたので、そろそろ出力できるかもしれません。
――どんなときに創作意欲がわきますか?
少し前までは結構頻繁に美術館に行っていて、「これはすごい!」と圧倒された作品を目の前で見たときには、家に帰ってすぐ描く気になります。私がいちばん好きな画家はオディロン・ルドンというフランス人画家です。アニメ『惡の華』でも使用されていた眼球をモチーフにしたちょっと不気味なモノクロの初期作品が有名ですが、私はカラフルな油彩画のほうが好きです。ルドン作品で初めて出合ったのがモノクロの作品で、あまり好きではないかもとピンとこなかったんですね。高校時代に「私ってどんな作家が好きなんだろう」と探したときに、「この絵好きだなぁ」と思った作品が、ほとんどルドンのカラフルな油彩画だったんです。改めて「私、ルドンの油彩画がめちゃくちゃ好きなんだな」ということがわかりましたし、それまで好きではなかったモノクロの作品も、好きになりました。画集も持っているし、2年前に三菱一号館美術館で開催された『ルドン―秘密の花園』展には、何度も行きました。もともとその美術館には、ルドンが描いた巨大なパステル画『グラン・ブーケ(大きな花束)』がコレクションされていました。この絵がルドン展の最後の大きな暗い部屋にバックライトの演出で飾られていたのですが、あまりに圧倒されて感動して、泣いてしまいました。私、後にも先にも絵を見て泣いたのは、ルドンだけです。
――それでは、ルドン展を見た後には、すぐに創作意欲がかき立てられたのでは?
当然、ルドンと私とでは、月とスッポンほどの実力の差があるので、描こうと思ったものは描けないのですが、自分の好きな花の絵などを描いていました。高校時代は美術系の予備校では描く環境が整っていましたが、さすがに家で油絵を描くのはかなり厳しいので、色鉛筆を使って描いていましたね。
――将来はイラストレーターなど絵の世界で仕事をしたいという野望もあるのでは。
不思議と昔からそれはないんですよ。「好きなことは仕事にしたくない」という私の謎のポリシーがありまして。いちばん好きなことだから、仕事にするのは難しい。期限までに描くことが苦手なので、それに追われて絵を描くようになったら、私の場合、たぶん自分も人も納得するものが創り出せないかなって思います。
――よくSNSにオリジナルのイラスト” 乳出しうさぎ “ を描いていますね!
最近描く絵の8〜9割が"乳出しうさぎ"ですね(笑)。高校生のころに授業中の落書きから生まれたキャラクターで、ちょこちょこデザインは変わっています。女の人の裸をポップに描くのに、動物と組み合わせてみたらどうかと描いてみたのが “乳出しうさぎ"なんです。
――女の人の体やグラビアがお好きだと聞きました。きっかけはありますか?
女の人の体が好きなのは小学生からで、グラビアなどをチェックするようになったのは中学生からです。小学生のころ、祖父がスポーツ新聞を読んでいたのですが、スポーツ紙ってエッチなページありますよね。そのページの女の人のエロい写真を切り取って集めてファイリングしていました。祖父にはその収集癖はバレてしまって、「こういうページは見ちゃいけません!」と言われました(笑)。中学生になってからは、週刊青年漫画雑誌のアイドルグラビアをチェックし始めて、漫画やアニメにもハマりました。過激なエロ本ではなく、中高生が読んでちょうどいいくらいの漫画が好きですね。ドアを開けたら女の子が裸だったという感じの描写が多い、いわゆる„ラッキースケベ"が多い作品(笑)。『ToLOVEる-とらぶる-』や『いちご100%』『Kiss×sis』が好きですが、漫画家としては桂正和さんの大ファンで『ウイングマン』や『I’’s』が大好きです。マシュマロボディ、肉感的な女の子の絵が好きなんです!
―好きなグラビアアイドルを教えてください!
いっぱいいるのですが、今だと大原優乃ちゃんがダントツで好きです。今、グラビア界ではトップですね。あどけない顔でちょっとムチッとした肉感的な感じがたまりません! 私、八重歯の女の子が好きなんですよね。でも、芸能人になって有名になってくると、矯正しちゃう子が多くて。顔はちょっぴりイモくさかったり、あどけなさが残っていたりする子、体はどんくさい感じが好きなんです。
――好みがなんだかオジサンみたいですね(笑)。
そうなんです! 私、中高時代は「オジサン」「オジチャン」って呼ばれていたんですよ(笑)。周りの女の子たちと話していても、私は男性アイドルや俳優さんに興味がないから知らないんですよ。私がオタク気質な部分もありますが、話が合わなかったですね。私は写真集も’80~’90年代が好きなんですよね。今のグラビアって被写体と読者の距離感がものすごく近いんですよ。それはきっと時代背景が影響しているんだろうと勝手に考察してみました(笑)。昔はケータイもLINEもないお手紙の時代だから、男女の距離感に趣がありました。今は好きな人の連絡先は同じLINEグループに入っていれば、自動的にわかっちゃいますよね。そういう距離感だから、今の男の子は写真に写っている女の子と自分との間に距離があったら、満足しない。私は女性を女神的な高貴な存在だと思っているので、女の子が下手に出て媚を売っている感じさえする今の写真があんまり好きではありません。もちろん一概には言えないし、そういう写真じゃない写真もありますが、基本的に女の子が読者を意識しすぎている写真が多い気がしています。一方、’8 0年代の写真集などを見ると、自由にしている女の子をカメラマンが遠くから勝手に抜き取っているテイストの写真が多いんですよ。デートの感覚ではなくて、盗み見ている感じ。「クラスのマドンナを遠くから見る僕」「あの子は僕の名前も知らないんだろうな」みたいなことを感じられる写真が、私は好きです。
――好きな写真集で挙げていただいた、広末涼子さんの『H』『R』と河合奈保子さんの『近代映画増刊河合奈保子フォトメッセージ河合奈保子× 近代映画』について教えてください。
とにかく広末さんは顔が素晴らしくいいですよね。AIみたいな美しさと透明感。ポテンシャルが高すぎます! カメラの前でこれだけさらけ出せる解放的な人って、ほかにいないですよね。無邪気で天真爛漫なところが、魅力的だと思います。表情やポージング、躍動感が素晴らしいです。『R』には広末さんが歯磨きをしている写真があるのですが、今のグラビアの歯磨きシーンでは、歯ブラシを口に入れて口を閉じて、„歯を磨いている風"なのですが、広末さんはちゃんと歯磨き粉を泡立てて、歯をニッと見せて歯磨きをしてるんです。普通の人なら汚く見えてしまうかもしれませんが、広末さんだとものすごく可愛いんです! そして河合奈保子さんは、まず顔が好みなんです。童顔の可愛い系の顔で、八重歯もありますよね。胸が大きくて、むっちりした体つきも色っぽいです。水着にお腹の肉がのっている写真がたまらないんですよね。今だったら、写真も修整できてしまうし、グラビアアイドルやモデルの人たちはジムに通って、体をスレンダーにキープしようと努力している人がほとんどでしょうが、河合さんは素材そのまま、ナチュラルボーンな感じなんですよね。
――そうした昔の写真集や雑誌などはどこでチェックして手に入れますか?
中古書店で買いますね。神保町のグラビア専門店や中野ブロードウェイなどに行きます。結構大量に買っちゃうんですよね。基本的にはネットで見て、好みの子を見つけたら買っちゃいます。最近だと、好きなカメラマンの写真集や話題になっている写真集をよく買っています。細居幸次郎さんという写真家さんが好きですね。もし自分が写真集を出すことになったら、絶対お願いしたいと思っています。清潔感のあるきれいな写真を撮る方なんですよ。一応絵を描いているので、構図などは美術をやっていない人よりつかめるほうかもと思い、カメラも始めてみようと試みたんです。でも、極度に機械が苦手で、カメラとパソコンが使えなさすぎて、すぐ挫折しました……。グラビアを撮るのが無理なら、ディレクションなどの方向で何かできればと思っています!
頓知気さきな(Sakina Tonchiki)
2000年3月6日大阪府生まれ。B型。『青春高校3年C組』(テレビ東京)のアイドル部 、姉・戦慄かなのと“femme fatale”としても活動。
Photos_Shiori Ikeno Styling_Arisa Takeda Hair&Make-up_,Miri Sawaki Interview_Akiko Takada Edit_Megumi Shim