「慕う」?「オマージュ」?…あなたはいくつわかる?「リスペクト」の言い換え言葉5つ

プライベートと仕事、それぞれのシーンに応じて適切な言葉を使い分けられているでしょうか?

自分では正しく使い分けているつもりでも、実は誤った使い方をしていて、相手の反応で初めて間違いに気づく……なんて経験がある人もいますよね。

そこで今回は、仕事・プライベートを問わず耳にする機会の多い“リスペクト”の意味や言い換え言葉をご紹介します。同じ意味であっても、言葉を変えるだけで相手に与える印象は変わるはずです。

■そもそも「リスペクト」の意味は?

相手のことを尊敬したり、経緯を表したりすることを「リスペクト」と言います。たとえば「チームメンバーをリスペクトする」といったように特定の人物や人の性質、作品などに対して幅広く使われる言葉です。

相手のことを敬う良い意味の言葉として使う人も多いでしょうが、ビジネスシーンやかしこまった場では少々軽々しく聞こえてしまうこともあるでしょう。また、会話の中でカタカナ言葉を多用しすぎることで、不信感を与えてしまうおそれもあります。

状況に応じて適切な頻度で使い、場合によっては違う言葉に言い換えて表現するほうが大人らしさを感じられます。そこで以下より、「リスペクト」の正しい言い換え言葉をご説明します。

■「リスペクト」の言い換え言葉5つ

「一目置く」

「一目置く」には、自分よりも相手の実力の方が上であることを認め、敬意を払うといった意味があります。クライアントと話す時などは「リスペクトする」という言葉より「一目置く」と言った方が、より丁寧で上品な印象を与えることができるでしょう。

また、「一目置く」の強調表現で「一目も二目も置く(置かれる)」という言葉もあります。「一目置く」よりもさらに優れた才能があり、心から尊敬している気持ちを表す時に使われる言葉です。

「仰ぐ」

「仰ぐ」には「上の方を見る」という意味があり、そこから「上の者を尊敬し、敬う」という意味でも使われるようになったそうです。

たとえば「師と仰ぐ(しとあおぐ)」(師あるいは先生として尊敬する)といったように使います。

また、ビジネスシーンでは「指示を仰ぐ」「判断を仰ぐ」といった言葉を耳にすることも。この場合の「仰ぐ」は「目上の人や尊敬する人に援助・教えなどを求める」という意味合いで使われます。こちらも併せて覚えておくといいでしょう。

「慕う」

「慕う」というと、相手に対して好意的であったり、恋しく思ったりするようなイメージがあるかもしれません。

しかし、「慕う」にはほかにも「ある人物の行いなどについて、尊敬して見習おうとすること」「目上の人の人格・ものの考え方などに憧れる」などといった意味があり、「リスペクト」の言い換え言葉のひとつです。

たとえば「彼の芸風を慕って弟子入りした」といったように使います。

「畏敬」

「畏敬(いけい)」とは、相手をおそれ敬うことを意味する言葉です。たとえば「先人に畏敬の念を抱く」といったように使われます。

「畏敬」は主に文章で使う言葉なので、メールや書面で「尊敬」を表す時は「畏敬」と言い換えるといいでしょう。

「オマージュ」

映画や音楽などの芸術分野で、「ある作品をオマージュして作りました」などと言われることがあります。文脈などから、“オマージュ=真似”という意味にとらえられがちですが、オマージュは元々フランス語で「尊敬」を表す言葉です。

そのため、「オマージュ」という言葉が使われる場合、「尊敬する作家や作品に影響を受けて、似通ったものを作る」といったニュアンスになります。いわゆる「盗作」「パクリ」とは意味が違うことをしっかりと理解しておきましょう。

 

いかがでしたか? 「リスペクト」はさまざまな言葉に言い換えることができます。ぜひ「一目置く」「仰ぐ」など「リスペクト」以外の言い換え言葉を覚えて、状況に応じた言葉遣いができるよう意識してみてください。

それぞれの場に合わせた適切な言葉遣いができれば、「礼儀正しい人」「マナーがしっかりした人」などと、周囲の人たちへ好印象を与えられるでしょう。

 

参考文献
齋藤 孝『大人の語彙力ノート どっちが正しい?編』(SBクリエイティブ)

文/大内千明 画像/Shutterstock(Ollyy、fizkes、Nattakorn_Maneerat、Golubovy、Es5669、Nattakorn_Maneerat)