名物企画『着回しDiary』はどうやって作られている?【最新号裏話編】|担当編集&ライターが舞台裏を暴露

CLASSY.本誌の大人気企画『着回しDiary』。独特なストーリー展開で、「もはやファッション誌というより読み物」など、読者からも多くの感想をいただいています。ストーリー設計から実際の撮影現場まで…気になる舞台裏を、CLASSY.ONLINE新米編集・平賀が突撃取材!10月号の『着回しDiary』を担当した編集・月田とライター・野田春香さんにお話を聞いてきました。
最終回は、「最新号の裏話」「歴代エピソード」について。新作ストーリーのこだわりポイントは?歴代のストーリーで特に好きだった回は?撮影オフショットと合わせて公開します!

最新号の『着回しDiary』は、「女同士の決闘」が見所!?

扉絵のオフショット

今月の主人公は...

かぢひとみ・29歳。IT系の会社でアプリの開発を担当。見栄を張って六本木に住んでいたがコロナの影響で会社の業績が悪く昇給なし、リモートワークで残業代も稼げず家賃がキツくなってきたところに彼氏にもフラれ、意を決して郊外に引っ越すことに。キレイめな服装が好きだったけど、おうち時間が増えたことからキレイめかつ楽な服を増やした。

平賀(以下、平):最新号の『着回しDiary』は「恋もオシャレも激変した私の1カ月着回しDiary」ということで、リモートで彼氏にフラれて郊外での生活を始める女子のお話ですが、この設定はどういう経緯で決まったんですか?

編集・月田(以下、月):10月号の特集テーマが「この秋、私たちの服選びの基準が変わる!」だったので、“新しい生活様式”とか“ニューノーマル”にちなんだプランを考えていて。それで、コロナ禍で都心から郊外に引っ越す人が増えたという話から、「着回しの設定に使おう!」と決めました。

ライター・野田(以下、野):あと、今まで女同士の決闘ものってありそうでなかったのでやりたいなあと思って今回このようなストーリーになりました。

平:今回もジェットコースターのような展開で、“野田節”が効いていますよね。

月:そして「女同士の戦い」というテーマから「河原で決闘シーンが撮りたい!」となり、今回のメインの見せ場が決まりました。

平:あの決闘シーンは衝撃でした。やっぱり気合が入ったカットだったんですね。

渾身の「河原で決闘シーン」は必見!(『CLASSY.』2020年10月号より)

月:そう。だから、ロケ地も河原ありきで探して。カメラマンと相談して、川崎方面か荒川かの二択だったんだけど、夕日や風景のバランスが綺麗に見える方を取って荒川になりました。

野:しかも撮影当日が、梅雨明けの翌日で!とてもキレイな夕日のカットが撮れたのは奇跡だったよね。あれは嬉しかったなあ。

平:なるほど、それで赤羽がロケ地だったんですね。まさか着回しに赤羽の名物ママ「ワニダさん」が出演するとは思わず、びっくりしました(笑)

撮影後、ワニダさんとのオフショット ※撮影のためマスクを外しています

月:「恋のライバルだった女子2人が一緒に酒を酌み交わす」というシーンが撮りたくていい感じのお店を探していたんだけど、「赤羽といえばワニダさんでは?」と。ダメもとで頼んでみたら非常に協力的な方で、撮影もとても楽しかったです。

平:今回の撮影で大変だったシーンはありますか?

月:やっぱり決闘シーン!やっぱりモデルさん同士も、最初は設定が可笑しいから笑っちゃうんだよね。だから、「笑わないで!笑ったらせっかくいいカットが撮れても使えないから~!」って熱のこもった指導を(笑)

野:でも、そのおかげで途中からモデルのお二人も熱が入ってきたみたいで、最後の方は本当の取っ組み合いになってた。岩崎名美ちゃんのポーチの持ち方とか、名演技でね!

月:あれよかったよね。こちらが指示していないのに憎たらしさ全開で!役がどんどん憑依していったんだろうね。

「ほらよ」という声が聞こえてきそうなひとコマ(『CLASSY.』2020年10月号より)

野:あとは、メンズモデルのスタイリングもこだわりポイント。人物像を細かく考えた状態で、キャラクターに合ったコーデを組んでもらうようにスタイリストさんにお願いしています。例えば今回は、胡散臭さを出すために派手な柄シャツを着せたり、白縁メガネをかけさせたり。

胡散臭さ全開のスタイリングがこちら(『CLASSY.』2020年10月号より)

月:本人的にはオシャレなつもりなんだけど絶妙にダサくて、ひと目で「ヤバそうな人だ!」ってわかるようなスタイリングね。

平:言われてみれば納得です。やはりこうやって細部までこだわることが大切なんでしょうね。

歴代のシリーズを振り返り!一番好きな回は?

2人が手掛けた着回し企画の数々

平:今までいくつもの『着回しDiary』を担当されてきたお二人ですが、その中でも思い入れが深いものはありますか?

野:私は今回の10月号で8本目の『着回しDiary』だけど…やっぱり「ロックなピリ辛カジュアル」(2020年1月号)のバンドマン回と「どうしよう!彼氏欲しい」シリーズ(2019年12月号、2020年1月号)ですね。あとは、「ヒール派からスニーカー派に転身したサチ子の小悪魔ストーリー」(2019年5月号)で『NANA』をオマージュした回も好き!

平:名ゼリフ「わざとだよ?」のやつですよね。

野:そう!これは現在のCLASSY.編集長が現場編集者だったときにタッグを組んで作った企画です。

『NANA』の名シーンを再現!(『CLASSY.』2019年5月号より)

月:懐かしいね。私もバンドマンの回は映画『JOKER』を登場させる遊び心とかも含めて好きだな。あとは、「パンツ派 美絵子とスカート派 千笑美の“踊る”着回しDIARY」(2019年9月号)も楽しかった!

平:『ワイドナショー』にCLASSY.の着回しDiaryを取材していただいたやつですよね。

月:取り調べ室のセットを使ったりして、ドラマの撮影みたいでした。光文社から、壊れて使っていない電話をたくさん借りて、捜査会議の様子を再現したりとか。

光文社の電話が大活躍(『CLASSY.』2019年9月号より)

平:あのカットにそんな裏話があったとは!では最後に、『着回しDiary』で今後やってみたいことはありますか?

野:ストーリーに関しては、趣向を変えて「親子もの」のハートウォーミング系とかやりたいかも。「仕事も恋愛もボロボロで都会生活に疲れた主人公を、最終的になぐさめてくれたのは親」みたいな。いつもはそっけない両親が「いつでも帰ってくれば?」とか言ってくれるの。

月:それは泣けちゃう。あとは、着回しのストーリーを誌面だけではなく、映像でも展開できたら面白いなあと思っているかな。

野:ミニドラマとかやりたいよね。「夢はでっかく映画化!」と掲げておきます!

『着回しDiary』の舞台裏を3回に渡ってお送りしてきたこの企画。制作陣がいかに楽しんで作っているかが伝わったでしょうか?最新号も見所満載となっているので、ぜひ誌面をチェックしてみてくださいね。

構成/CLASSY.ONLINE編集室