東原亜希さん「専業主婦に憧れていた私が30歳で起業した理由」
2020年、VERYは創刊25周年を迎えました。ずっとママたちを見続けてきたVERYですが、特にこの5年はママたちの変化に驚いています。誌面で活躍しているモデルたちも、5年の間にいろいろありました。結婚したり、夫婦関係が変わってきたり、離婚したり。そのなかで感じた価値観、ライフスタイルの変化について聞きました。
今回は、モデル、タレントとして活躍する傍で、起業家としての顔も持つ4児のママ、東原亜希さんです。
ママたちの
“子どもを思う気持ち”が
これからの社会を
支えていく力になる。
そう信じて
私らしく挑戦し続けたい
ドレス¥988,000(ジバンシィ/ジバンシィ表参道店)イヤリング¥1,240,000(TASAKI)
今から5年前といえば……2人の子どもを抱えながら、今年5歳になる双子を出産した年。間違いなく、私の人生で最もハードな時期でした。その日々の記憶はほぼないです(笑)。長女の小学校入学の準備と重なり、双子も9カ月で保育園に入れたので、その入園準備などにも追われて。とりあえずその日のことしか考えられず、明日のこともギリギリ。それまでは、準備をきちんとしないと不安なタイプだったので、なにもできない自分が嫌になりました。でも、双子を産み育てているうちに、“できないものはできないって言おう”というマインドに変化。対外的なことを気にしていい人ぶるのをやめたり、人に甘えられるようにもなった。家庭という存在がより大切になり、自分にストレスを溜めるのが一番よくないって気づけたんです。いい意味で頑張りすぎず、手が抜けるようになりましたね。
結婚する前は専業主婦に憧れていた私ですが、30歳のときに起業しました。子どもに依存する母親になりたくなかったし、社会とはつながっていたかった。そんな心境の変化がきっかけ。
子どもの成長とともに、自分も成長しなくてはいけないと思いました。でも、家を空ける働き方ではなくて……と考え、設立当時の7年前から今もずっと、リモートスタイルです。効率もいいし家庭もおろそかにならないし、ワーキングママにとって最高の環境なのではないでしょうか。
私らしくマイペースに続けてきた会社の経営も、今モチベーションが高まっています。自粛期間中に断捨離をして、10年以上履いていないルブタンのヒール靴を手放しました! 自分の中で、優先順位や価値観が変わっていることを実感。そうやって考え方や生き方が変わる中で、自分の体のためになることがより大切になってくるはずで。“体にいいもの、環境に優しいもの”を大切に発信してきた私が、こんなときこそできることはないだろうか?と思案する日々です。児童養護施設への寄付など、私なりにできる社会貢献というものも、今一度考えていきたいと思っています。
もし、仕事がしたくても諦めているママがいるなら「絶対やったほうがいい!」と、私は背中を押したいです。なぜなら、子どもにも社会のために働ける人になってほしいから。自分の意思で決められる人になってほしいから。そのためには、まず母親がそういう姿を見せることが大事なのかなって。たとえ失敗してもいいと思うんです。失敗を恐れず挑戦する気持ちを教えるほうが大事。ママでも失敗するんだよ~と伝えることで、社会の厳しさや、世の中の現実も知ってほしい。発信の方法だって今はたくさんありますよね。副業の形もいろいろ。まずは尻込みせずに、前を向いて進んでほしいと思います。
今の時代、ママたちのパワーって本当にすごいなと感じます。周りを見て思うのが、とにかく時間の使い方がうまい! 限られた時間で決めたことをやりきる能力のすごさたるや。時間があったはずの独身時代のほうが、実は非効率だったり……。無駄なく必要なことだけを進めるスキルの高さは、現代の優秀なビジネスマンに通ずるものがあると思います。会社に例えるなら、主婦はみんなスーパーエリート。新入社員教育のような育児をしながら、家計のやりくりをする経理担当であり、家庭を回す役割はもはや社長(笑)。日々をそれなりに生き抜いている経験値、度胸、懐の深さ……どんなときも頼もしい存在。一人で何役もこなしながら家族に愛情を注ぎ続けるママたちが社会を支えていけたら、きっと幸せな未来が開けるはずだと信じています!
双子が生まれて1ヶ月健診の時の写真。そろそろバギーを買わなくちゃとか、新生活についてやっと考え始めた頃です。
●東原亜希さんPROFILE
1982年生まれ。モデル、タレントとして活動。30歳のとき“いつも、ママのそばに”をコンセプトとした、家族みんなで楽しめるライフスタイルを提案する(株)Motherを設立。現在は4人のママで、夫は柔道日本代表監督の井上康生さん。
撮影/竹内裕二〈BALLPARK〉 ヘア・メーク/シバタロウ〈P-cott〉 スタイリング/池田 敬 取材・文/松井美雪 編集/鈴木恵子
*VERY2020年8月号「結婚、夫婦関係、仕事、離婚。いっぱい考え、手に入れた幸せがある この5年、VERYモデルの中に起きた“変化”」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。