子どもの個性を伸ばす! 中林美和さんのインターナショナル子育て

モデルとして、またスパブランド「MAROA」のプロデューサーとして活躍する中林美和さん。23歳で結婚、ステップファミリーとなり、4人の子どもを育ててきました。子どもたちは幼少期からインターナショナルスクールに通い、留学や海外移住などを経験し、それぞれが自分の道を見つけています。中林さんに、NAVY読者にも関心が高いインターナショナルな子育て、自主性ファーストの教育観、子育てが落ち着いた後の人生や夫婦の時間について、お話をうかがいました。

――お子さんは今、長男29歳、次男28歳、長女17歳、次女16歳になって、子育てはやっとファイナルステージという感じですね。

 

中林 結婚した時、(前妻との間にできた)息子たちは10歳と9歳。その後まもなく、長女と次女を年子で出産したので、本当に数年間は育児が大変すぎて記憶がないですね(笑)。

 

――4人ともインターナショナルスクールに通っていたそうですが、日本の教育にはない魅力がある反面、悩みや苦労もあると聞きます。まず、インターを選んだのはなぜでしょうか?

 

中林 もともと息子たちがインターに通っていて、お友達が世界中にいるのがすごく素敵だなと思って。ただ、日本人の生徒も多いスクールだったこともあり、息子たちは英語をあまり話さなかったんです。もっとどっぷり英語をやらせたいという気持ちがあって、娘たちにはほとんど外国人の生徒というインターを選びました。学校内で日本語を使うとペナルティがあるような厳しい学校で、両親ともに日本人は学年で娘たちだけでしたね。

 

――入学はすごく狭き門でしたよね。

 

中林 夫が英語を話せるので、将来的には海外に移住するかもしれないということや、英語の必要性やいかにこのスクールに入れたいかを何回もアピールして、どうにか入ることができました。

 

――インターで良かったと思うのは、どういうところですか?

 

中林 まずは、日本の多くの教育のようにみんなで同じ価値観を共有するという方針じゃなくて、個々を見てくれること。たとえば、苦手な科目は下の学年と学んだり、逆に飛び級もありますし、同じ年齢でも一人一人のレベルに合った教育をしてくれます。あと、自分の意見をみんなの前で言うスピーチやディスカッションの機会が日常的にあるので、それもすごく良かったと思っています。

 

――スクールとのやりとりは中林さんが主にされていたそうですが、苦労はありませんでしたか?

 

中林 入学当初、私は日常会話程度しか話せなかったので、たとえば子どもがお腹が痛いとか怪我をしたからこうしてほしいとか、咄嗟の対応は苦労しましたね。先生にうまく説明できなかったりして。なので、一時は英会話学校にも通いました。

 

――家庭内の会話は英語ですか?

 

中林 私以外はみんな英語で会話をして、私が子どもと話す時は日本語です。子どもたちはバイリンガルですが、咄嗟に出るのは英語。寝言もやっぱり英語です。

 

――途中で日本校に移ろうとか、悩んだことはなかったですか?

 

中林 入れた以上、こうすれば良かったとは思わないようにして、スクールの教育を信じてお任せしました。唯一、母親同士のコミュニケーションはちょっと大変だったかな。子どもたちは仲良しでも、私が英語が苦手だったので外国人のママと上手にコミュニケーションをとれなくて、はじめは少し大変だったこともありました。でも、外国人は表現がストレートなので、英語さえ慣れてしまえばかえって意思疎通がハッキリしていて気楽かもしれません。

 

――ご夫婦では、教育についてどんな話をしていたのでしょうか?

 

中林 自主性を育てたいと思っていたので、小さい頃から、子どもの意見を尊重することは心がけてきました。特別に意識したつもりはないのですが、おむつトレーニングもしたことがないくらい。二十歳になってオムツをしている人はいないから、いつかは取れるだろう、自分が外したくなったら外すだろうなって見守っていました。結局、自分たちでトイレに興味を持ってからやるようになりましたね。あとは、物を買い与えすぎないこと。買ってあげるのは簡単だけど、頑張った先にいいことがある!と教えていました。たとえばディズニーランドに行く時も、お手製のスタンプラリーを作って、スタンプ50個を集めたらね、とか。ご飯を残さず食べる、宿題をきちんとやる、お手伝いをする、そしたらスタンプ1個ねって。どれも簡単なことですけど、子どもたちもディズニーランドに行きたいから頑張っていろんなことをするようになる。あとは、とにかく褒める、褒める、褒める! 特に音楽や工作など、本人の感性に関わるものはすごく褒めていました。

 

――褒めるのって加減が難しいなと思うのですが、とにかく褒めるんですね。

 

中林 母親同士の会話でよくある「うちの子なんて〜」という言葉も、子どもの前では絶対に使わないようにしてきました。謙遜なんでしょうけど、子どもに否定的な言葉は言わなかったですね。

 

――たとえば、娘さんを「可愛いね〜」と褒められたら?

 

中林 「ありがとう! ◯◯ちゃんもすごく可愛い〜!」って。

 

——確かに、褒め返せばみんなハッピーですね。そういう小さなところから、自己肯定感や自信が育っていくんですね。

 

中林 子どもを100%信じて応援してあげられるのは、親だけだと思うんです。親が「すごい! 頑張ってる!」って言ってあげないと、誰が言ってくれるの?って。いつだって、子どもにとって一番の理解者でいたいので。

 

――娘さんは英語だけじゃなく韓国語も堪能だったり、音楽やダンスもやられているそうですが、習い事はどうやって選んでいましたか?

 

中林 自分からやりたいと言うまで、何もやらせていませんでした。だから、小さい頃は“何もしてないの?”って、よく聞かれてましたね。でも、自分の好きなことじゃないと続かないと思っていたので、子どもが好きなものに出会えるまで待ちたいなって。

 

――今は幼稚園生でも、習い事をしていない子のほうが珍しいですもんね。

 

中林 初めて習い事をしたのは小学年くらいかな? 娘たちが合唱をやりたいと言って始めたのと、長女はヴォイストレーニング、次女はダンスも。やりたいと言われた時には全力で応援したいから、どの教室や先生がいいとかのリサーチはちゃんとしますね。長女は海外の合唱コンクールに出たいというので、ヨーロッパに送り出したこともありましたし、次女はダンスを習いたいと言われて。韓国へダンスのレッスンを受けに行ったこともありました。子どもが何か興味を持った時にどれだけ経験させてあげられるか、自分のできる範囲でそのサポートは常にしてあげたいと思っています。

 

――習い事でも何でも、親が選んで与えるのは簡単ですが、子どもの自発性を一番大事にされていたんですね。

 

中林 あと、自分で体験させることも大事だと思います。息子たちはずっとバスケットボールをしていたので高校生の時にNBA選手になりたい!と言って留学したのですが、当然世界の壁は大きくて、なかなか自分たちの思うようなポジションがもらえなくて。それでも、プレイヤーということは叶わなくても、別の形でバスケに関わる仕事に就きたいとか。そうやって自分で経験して感じて、自分の人生を自分で舵をきっていく。これってとても大事だなと思っていて。次女に対しても同じ気持ちで、同じように本気で夢に向かう子と、たくさんの経験をしてほしいと韓国へと送り出しました。やりたいことをやらせてあげたほうが、後悔しないと思うんです。

 

――才能が関わってくるものは見極めが難しくて、心の底で「無理かな」と思ったり、他の道に誘導してしまいがちですけど、とりあえず気が済むまでやらせてみようと覚悟できるのがすごいなと思います。

 

中林 人間って苦手でも好きなことってありませんか? 私にもあるから。上手くいってもいかなくても、好きなことは続けていたいだろうし、そこに幸せを感じてほしいなと思いますね。

 

――「◯◯しなさい!」「◯◯しちゃダメ!」みたいなことも、言ったことはないですか?

 

中林 ほとんどないです。勉強をしなさいと言ったこともないし、「やらないで怒られてもママは知らない、自分の責任でしょ」って知らんぷりしてました(笑)。そして、「ママは何もしないよ」と伝えているんです。学生の間は全力でできることはサポートするけど卒業後は自分の責任だから自分で生きてね!って。少し冷たい感じがしますけど、もちろん愛を持って伝えています。今の時代は、女の子はいつかお嫁に行くから大丈夫なんてことはないし、女の子でもちゃんと自立する力をつけてほしいので。娘たちもそれを理解して、自分で考えてると思います。そして今、娘たちが夢に向かって頑張っている姿が本当にキラキラしているので、私もそれに負けないようにと力をもらっています。

取材・文/宇野安紀子

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