母が一度は通る道「PTA役員」は、なぜだかネタの宝庫|40代ライター&フレンズ、語り合い隊!
STORYスタッフ&読者が毎日の生活の中での本音を語り合うこの企画。今回のテーマは親になったらほとんどの人が一度は経験する「PTA」。いろいろな関わり方や学校の個性が現れて、座談会が終わった後、すっきりするのか、笑顔で「楽しかった!」となるんです。
智子 私立に通う中学生と、私立に通う小学生のママ。PTA役員には興味も関心も関係もなく、平穏な日々。
さやか 公立に通う小学生2人のママ。ボスママや先生から気に入られ、腰巾着のように上手く立ち回れる得な性格。
北野 2人の子供が公立の小学校に通っている間、ひと通りPTAは経験済み。PTA会長を務めた経験もあり。
やりたがる人が少ないから…PTA役員決めには「駆け引き」がある?
北野 今日のテーマは、子供がいれば誰もが一度は経験する「PTA役員決め」についてです。PTAって決める時に、揉めたり嫌な思いをしたりしますよね。そんな経験などもぶっちゃけて語っていただけたらと思います。
美樹 私の子供たちの学校は、6年の間に1回どこかで役員をすればいいっていう暗黙の空気が流れていて。子供が6年生の時に役員になると大変だから、1年生の時から保護者が本気のジャンケンで役員決めをするの(笑)。
さやか わかる、わかる! みんなガチだから、「最初はグー」をやるのかやらないのか、そこを何度も確認して(笑)。そして負けたら急に「あ〜負けちゃった」みたいな残念な空気をだす人もいたりしてね。
美樹 しかも、やる役職によって忙しさが違うから、あまり忙しくない役を引き受けたいんだけど、人気の役は倍率が上がるからその駆け引きでめっちゃ悩んだり(笑)。
さやか どの学年でどの役員をやるのか、みんな何げに計算してますよね。
美樹 でも学校によってはお父さんがPTAに積極的に参加して、「大人の部活」って感じで喜んでやるところもあるみたいね。お父さんたちはそこで仲よくなって、PTA会合後の飲み会を楽しんでるみたい。飲み会の方がメインだったりっていう話も聞いたりするよ(笑)。
さやか お父さんが積極的に参加するところは、女性特有のドロドロした感じがないから、いい雰囲気だったりしますよね。
美樹 そうそう。逆にずっとPTAに携われる人は運がいい! みたいな。
公立・私立、「PTA役員決め」には学校の個性が現れる!
北野 美樹さんは今年役員をされているようですが、ジャンケンで負けたからですか?
美樹 今年はコロナの影響で学校側もいろいろ対応が大変みたいで。私は過去に役員経験があるので、学校から経験者として指名されたんです。
北野 今年は例年と違う形でのPTAになると思うのですが、大変ですか?
美樹 それが逆に全然学校に行かないので、めちゃくちゃ楽なんですよ。
さやか そうだよね、「今年は当たり年!」ってママたちが言ってますよ。逆に学校に行っちゃいけないし、学校行事もことごとくなくなり、あまりPTAとしての作業がないって。
美樹 そうなの。運動会や夏祭りもなくなったりして、子供たちにとってはかわいそうなんだけど、役員の仕事としては「今年でラッキー!」と思っちゃいました。PTAとしてすることがなくて、ただ時間が流れていくだけだから(笑)。
北野 智子さんの学校ではどうですか?
智子 うちは、仮にやりたくてもやりたいって言えない学校で、暗黙の了解で学校からの指名で役員が決まるんです。なので、指名された方には周りから「何であの人なんだろう」っていう目に見えない詮索が始まります(笑)。そして指名された方は「私がやることになりました。どうぞよろしく」的な感じでご挨拶をするんです(笑)。だいたい、先祖代々その学校に通ってたりか、学校と関係が深い方みたいですけどね。
さやか そういうのって“一見さん”がなるってことはないのかな?
智子 たまにあるみたいですよ。そうするとその学年がザワつくらしいです。「あの方はどうやって営業したのかしらね」って!
北野 営業って(苦笑)。みんなやりたいのかしら?
智子 噂ですけど、役員になると子供が留年することがないとか言われてたりするので、「ずるい!」みたいな(笑)。
北野 じゃあ、智子さんは役員決めのドキドキは体験しない感じですね。
智子 そうですね、幼稚園の時も“やりたいボスA”と”やりたいボスB”同士で争っていましたから、私は外から見てる感じでした。
さやか 役員をやりたいボスが2人いるっていうのもすごいね(笑)。
智子 どこのホテルで謝恩会をやるかとか、どこのデパートの粗品にするとかを、上品な口調で揉めるという(笑)。お受験のドラマに出てくるようなバトルをしていましたよ。それが嫌で、上の子と下の子では幼稚園を変えたんです。そしたら、今度は謝恩会の余興で親が踊るってことで盛り上がり、誰が踊りのセンターを取るかってことでまた揉めました(笑)。
美樹 誰のための謝恩会なんだか。
智子 そうなんですよね。踊りの練習のために何度も何度も集まって、保護者同士で踊ることへの温度差が生じて、また揉めるみたいな(笑)。
北野 さやかさんは公立ですけど、どんな感じですか?
さやか うちは基本的に誰もやりたくないから、いかにPTA役員をやらずに逃げ切れるかっていう戦いです。
北野 そっちが一般的な気がしますね。
さやか やっぱり卒対(卒業対策委員)が一番大変で、その6年生になる前に一度やって後は静かに過ごしたい、という。私は子供が1・2年生の時に役員をやったので、それ以降の学年は安泰と思っていたら、最終学年の時にまさかのクラスのほとんどの人が役員経験者だったっていうね。みんな「私もう2回やってるから」とか、「今年は仕事で忙しくて」とか言い合って気まずい空気が流れました。結局その場の雰囲気に耐えられない優しい人が「じゃあ、私が…」って手を上げることになっちゃって。
美樹 あの気まずさに耐えられるか、耐えられないかで明暗が別れるよね。私は耐えられないタイプ。
智子 小さい子供を2人抱えて、さらに妊娠してる人が「私、やります」っていうので、「いや私がやるから!大丈夫!」っていう話とか聞いたことあります(笑)。
美樹 そういう時、急に存在消す人いるよね。透明人間ですか?みたいな(笑)。
さやか 例えば、逆に仲いい人を集めて、「6年で卒対やろうよ」ってする方が楽しくできるんじゃないですかね。私はそのつもりで、6年生の時に向けての人脈集めと体力蓄えてます(笑)。
美樹 役員も別に損することばかりじゃないし、私は役員やってよかったと思ってるんだ。先生と仲よく話せるし、学校へ行くと子供の様子もわかるしね。あとまた、子供が喜ぶんだよね〜。ただ、何か揉めごとがあると役員頼みになったりするから、そういう時は負担が大きいけどね。
北野 仕事をしていたり、母子家庭だったり、親の介護をしていたりと、見えない大変さを抱えている人もたくさんいるから、短絡的に「あの人は専業主婦で、ヒマなはず」と見えてるところだけで押し付けるのは違うよね。
智子 でも、そういう調査隊みたいな人っているんですよね。「あの人は○年生の時に○○係しかやってないから、この中で一番やってない」みたいな(笑)。
さやか ”役員警察”出動か!余計なお世話!
美樹 例えば兄弟姉妹がいて、私立で同じ学校に入学させたい親が、急にお受験の時期だけ積極的に役員やるっていうのもあるあるだよね(笑)。
さやか あと何か、頑張ってやってるのに「あの人使えない」とか文句言う人もいますよね。
智子 「今年ハズレだわ〜」とか言う人ね。
さやか そう。だからやらなくても文句言われたり、やっても文句言われたりとか、辛い時もある。
美樹 いろんな人がいるからさ、ランチのお店選び一つにもしても本当に難しいって思っちゃう。ランチの金額の上限だったり、デザートが付いてる付いてない問題とかね。
智子 もうさ、みんなで仲よく美味しく食べればいいじゃん!って思いますよ。
さやか 私も隣で「コーヒーついてないの?」とか言う人には、「だったら自腹で頼めば?」って言っちゃう。40歳過ぎると心に思ったことが我慢できずに口から出ちゃう(笑)。
一同 笑。
「1回は経験しておいて損はないかも」
さやか でも、結果的には1回は経験していいものだと思うな。小学校に上がると、学校にどんな人がいるか分からなくなるから。役員になると保護者と仲よくなれるし、情報も入ってくるしね。PTAって子供を守るための一つの組織だと思うんだ。
智子 そうですね。うちの学校は子供が忘れ物をしても、保護者はいっさい学校に入れないんですよ。でもPTAをやっている人だけは、学校に入れるんです。だから学校に入れる権利を持っていて、普段の子供たちの様子も見られるのは「いいな」と思っちゃいます。でも、さっき話したように先生からの指名制なので、なりたくてもなれないんですけどね(笑)。
北野 結局PTAは仕事じゃないからね。ボランティアの上に成り立っているから、損得勘定も出てきたり、不公平感も出てくるのよね。
美樹 40歳も後半になると名前が覚えられなくなるから、役員をやると相手が覚えてくれるのも役得かも(笑)。
さやか それに役員をやってると、相手から「頼りになる人」って思われて、相手から仲よくしてくれて友達も増えたり(笑)。
北野 私はPTA活動って、公衆トイレの「キレイに使っていただいてありがとうございます」っていう張り紙と同じと思っていて、「何でキレイに使ってくれないの?」と文句を言うより感謝だなと。それぞれの役割があって、どうせやるなら楽しくやった方が得だと思うの。1年間前向きな気持ちで取り組んで、終わった後はみんなが「楽しかった!いい経験したな!」って思えるPTA活動ができるといいですね。
取材/北野法子
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