〈春の文学入門〉「本・ひとしずく」あやさんセレクトの出会いと別れの話3選
これから始まる何かに期待してわくわくしたり、大切な人との別れに切なくなったり。春は出会いと別れの季節です。今回は本屋開業準備中のあやさんに、春に寄り添ってくれるおすすめの小説を伺いました。
1.心温まる出会いと別れの物語
『そしてバトンは渡された』瀬尾まいこ著/文藝春秋
2019年の本屋大賞受賞作品。主人公は17歳の女の子。話の冒頭で「私には父親が三人、母親が二人いる。家族の形態は17年間で7回も変わった」と、いきなり衝撃的な家庭環境の告白から始まります。しかしこの物語は、たとえ血が繋がっていなくても、相手を気遣い、思いやることはいくらでもできるのだと、教えてくれます。
2.野草の知識も満載。春にぴったりの胸キュン小説
『植物図鑑』有川浩著/幻冬舎文庫
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2016年に高畑充希と岩田剛典が主演し映画化されている作品。ある冬の帰り道、道端でイケメン植物オタクの男の子を拾って、一緒に暮らし始めます。彼のことで知っていることといったら、名前だけ。そんな彼との恋の始まり。あまい純粋な恋愛小説を読みたい方にはおすすめです。
3.2019年本屋大賞 2位受賞
『ひと』小野寺史宜著/祥伝社
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両親を亡くし、東京で一人ぼっちになった主人公。お財布にはたった55円。その55円で買えたはずのコロッケを店先でおばあさんへ譲ったとき、彼の人生が変わり始めます。“ひとは人との関わりがあるからこそ生きていける”。人との関わりで、彼も自分の大切なものに気づきます。
教えてくれたのは……
本・ひとしずく
あやさん
本と本屋が好きすぎて、愛知県瀬戸市で昨年の11月に10日間限定、今年の2月に1日限りの古本屋「本・ひとしずく」を開業。小説や雑誌、写真集など幅広い読書レビューが人気を博している。
instagram @hitoshizuku_books
Edit・Text_Saki Inoue