【コロナ太りが急増中】4月以降、日本でみんなが太り始めた理由とは?
新型コロナウイルスの感染拡大により、首都圏を中心に本格的な外出自粛要請が出され、家で過ごすことが多くなったこの頃。また、4月7日には緊急事態宣言が発令され、状況はさらに深刻化。家に引きこもって生活をする…という今までにない「自粛生活」が始まっています。そして、自粛生活が続き、在宅勤務やリモートワークをしている人たちにある変化が…。
身体状態や健康行動の変化に関する調査を行っている「株式会社リンクアンドコミュニケーション」から、第2回目の調査結果が発表されました。同社が運営するAI健康アプリのユーザーを対象に身体状況・健康行動の変化を分析。なんと、4月以降は体脂肪率も上昇し、完全にコロナ太りの傾向が見られるそう!あなたの健康状態は大丈夫?さっそくチェック!
1. 自粛とともに「歩数」は減少。緊急事態宣言前後では1日3,000歩未満が約3割に迫る!
3,000歩未満の方は、コロナの影響がさほど大きくなかった1月では17.8%だったのに対し、自粛要請期間では20.1%、緊急事態宣言期間では28.4%となり、30%近くまで増加しています。また、6,000歩未満の方は、1月は50.2%、その後緊急事態宣言期間には63.4%と、その差は13.2ポイントと急増しており、全体的に歩数が減っていることがうかがえます。
2. 3,000歩未満の人は、エアロビ17分相当のエネルギー消費が必要!?
歩数で消費しているエネルギーと、運動で消費しているエネルギーを足し、厚生労働省が「健康づくりのための運動指針2006」で推奨している1日の活動量の200kcalと比較。3,000歩未満の方は、1日に約90kcal分の消費エネルギーが不足していることが発覚!
90kcalを消費するためには、掃除であれば24分、自宅でできる軽めのエアロビクスで17分、ウォーキングで21分の時間が必要です。3,000歩未満の方には、これらの家事や自宅でできる運動、まわりに人がいない環境でできる運動をうまく組み合わせて、不足している90kcal分を追加で消費するよう促す必要があります。
3. 歩数が減った今はダイエット効果が現れにくい!
2019年12月1日~2020年2月1日の中で、体重のデータがある2月1日に最も近い日の体重を基準として、2月以降の体重の増減を調査しました。9,000歩以上の方は、基準日と比べると4月2週目では約-0.4㎏でした。一方、6,000~9,000歩の方は約0.25㎏、6,000歩未満の方では約-0.2㎏とあまり変化がありませんでした。当アプリユーザーのうち約75%は、ダイエットやメタボ改善を目的としていますが、歩数が減っている昨今の状況下では、ダイエット効果が現れにくくなっています。
4. 4月以降、歩数にかかわらず体脂肪率が上昇傾向に!
2019年12月1日~2020年2月1日の中で、体脂肪率のデータがある2月1日に最も近い日の体脂肪率を基準として、2月以降の体脂肪率の増減を調査しました。2月2週目から3月4週目までは、9,000歩以上を歩いている方は順調に体脂肪が減少している一方で、9,000歩未満の方では横ばいでした。
4月に入ると、歩数に関わらず体脂肪率が上昇しています。図3の体重変化と図4の体脂肪率の変化を見比べると、3,000歩未満の方の体重は3月から横ばい傾向、体脂肪率は3月2週目から上昇傾向になっています。体重に変化がなく体脂肪率が増えているということは、筋肉が減り始めている可能性があります。体脂肪率の上昇は将来のメタボリックシンドロームのリスクを、また、筋肉量の減少は将来の寝たきりのリスクを増加させる原因となります。筋肉量を今よりも減らさない工夫が必要といえます。
■専門家からの意見
東京大学大学院 准教授 近藤 尚己先生
自粛要請、緊急事態宣言など行動制限が強まるにつれ、3,000歩未満の人が顕著に増えてきていることが「見える化」された衝撃的なデータです。身体活動の低下は糖尿病、心臓尿、脳卒中などの慢性疾患、うつ病やがんなど様々な病気と関係していることが、多くの学術研究により指摘されています。外出を控えながら、新しい形で運動習慣をつくれるよう社会全体でサポートしていく必要があるでしょう。テレワークを推奨している会社では、従業員の活動量を確認して、活動量が減少している従業員には運動を促してほしいと思います。例えば、1日の中で時間を決めて社内SNSで20分間の運動を推奨したり、運動することへのインセンティブをつけたりなどの工夫ができるかと思います。また、リモートでも社員が顔を合わせて積極的にコミュニケーションをできる工夫をすることで孤立感やうつ病などを防止し、心の健康も維持していただきたいと思います。
◆近藤 尚己 先生(医師・医学博士)
・社会疫学者 ・公衆衛生学研究者
・東京大学大学院医学系研究科准教授(保健社会行動学分野、健康教育・社会学分野主任)
・日本老年学的評価研究機構理事
・日本疫学会代議員
・日本プライマリケア連合学会代議員
調査を行った、株式会社リンクアンドコミュニケーションとは?
「社会の健康課題を解決し、自然に健康になる世界を創る」をミッションとし、IT×専門家ネットワークで「専門家がもっと身近にいて健康をサポートするシステムの構築」を目指しているヘルステック企業。全国で約1万人の管理栄養士・栄養士のネットワークをもとに、食と健康、栄養分野のリーディングカンパニーとして、食を中心とした健康アドバイス事業、健康情報の発信事業に取り組んでいます。<提供サービス>健康アプリ「カロリーママ」、健康経営支援アプリ「カラダかわるNavi」など。
構成/CLASSY.ONLINE編集室