《29年間ビューティ担当のベストコスメ》【第24回】SUQQUの【プライマー】という名の化粧下地

時代や私たち女性の欲求に沿っているからこそ、存在できる化粧品。ロングセラーも新作も必要とされなくなったら淘汰される、厳しい世界です。その中で愛され生き残るものは何か?それを見極めるには、ちょっとした知識も必要なんです。今回のテーマは、驚くほどの進化を続ける下地。複合悩みに満ちたゆらぎやすい肌のケアと、メークの仕上がりを同時に叶えることが求められています。

SUQQUの 「トリートメント セラム プライマー」

≪今月の美の英知≫

1:プライマーは美肌のための〝肌の万能基礎塗装〟
2:密着度と化粧持ち、肌のうるおいは基本
3:大人肌をトーンアップするのは、絶妙なピンクカラー

SUQQU トリートメント セラム プライマー SPF15・PA+ 30g ¥6,000(SUQQU)乾燥くずれ、皮脂くずれに加え、水分くずれも防ぐプライマー。地くずれ状態にならないためのバリアフィルムは、柔らかく伸縮性があり隠蔽感も少ない皮膜剤だから、美容液ファンデ自体の美容エキスや保湿成分は肌の各層へ浸透する。ピオニーピンクで生命感溢れるほんのりとした血色を与える。2019年9月発売。

仕込みが必要な大人肌には下地が不可欠。全方位で美肌を支える、進化したピンクのプライマーを選びたい

 今、化粧下地に注目が集まっています。私もここ半年、多くの下地を使いました。過去、日焼け止め、コントロールカラー、皮脂による化粧くずれ防止、毛穴隠しと、さまざまな目的を持つ〝ファンデの前に塗るもの〟が単体で製品化されてきましたが、今は1つで叶います。かつての目的に加えて、24時間くすまない、肌表面の質感を整える、ツヤ肌にする、など、目標が高くなった肌レベルに対応する進化を遂げています。

 今回取り上げたスックの最新下地「トリートメント セラム プライマー」は、2018年9月に発売され大ヒット中の〝諭吉ファンデ〟こと「エクストラ リッチ グロウ クリーム ファンデーション」のために作られました。しかし〝諭吉ファンデ〟だけでなく、現在人気のいわゆる〝美容液ファンデ〟全般にも有効です。みなさんはファンデ自体の保湿効果が高いことで、グズグズ地すべりするような〝うるおいくずれ〟を経験していませんか? 私は顔に汗をかくため(それがゆらぎ肌の要因でもあります)、仕事の日はドライでカバー力があるサラッとしたファンデを選んでいましたが、この下地に出合ったことでこっくりとした美容液ファンデでも、1日化粧直しせずに過ごせるようになりました。

 ファンデーションに定評があるブランドには優れた下地がある、というのが私の持論です。スックは昔あった「フレーム フィックス」というファンデシリーズも素晴らしかったんです。その折、限定で出たベースカラー「ライティング リキッド」(2015年)、「シアー グロウリキッド」(2016年)が、あっという間に完売したのを覚えています。両方とも化粧くずれ防止とフィット感を高めるのはもちろん、前者は微細パールにより高い面の部分を反射させること、後者は透明感と血色感、ツヤ感を出すことが特長でした。単なるベースというよりも、ハリ・ツヤなどの質感と色のトーンを変え、「下地で仕込む」という視点がここで一般化したと私は思っています。

 今年ピンク色のUV下地に注目が集まったように中身の色も大事です。スックは2007年に初めてピンクの下地を出して以降、黄ぐすみした大人肌をトーンアップするピンク色にこだわってきました。前記の2つもピンクだし、2016年に出た前身「トリートメント プライマー」はピオニーピンク、2018年3月に出たリキッドファンデ対応の「ブルーミング グロウ プライマー」は透明感を出す絶妙な青みをプラスしたブルームピンク。カバー力のある優秀ファンデがあるからこそできる、下地の新しい付加価値です。

 以前の製品より保湿効果をよりアップさせたいしフィット感も上げたい、実はこの2つは相反する要求です。ファンデの下にある肌に、うるおいの膜を過不足なく常にキープするためにはどうすればいいのか――フィット感を重視すれば硬くなってしまったり、うるおいを重視すると逆にヌルヌルしてしまったり……肌にのせた時のまろやかさ、スキンケアとしての癒しも求めて、膨大な数のポリマーから数種選択して配合量を変え、微妙な違いを何度も試しました。その結果、肌の角質層の水分量をモイスチャライジングリキッドという成分でアップさせ、その上に高抱水性オイルを置いて蒸散を防ぎ、さらにその上にぴたりとした膜を作るバリアフィルム効果でハリとうるおいをキープすることに成功。実はこのうるおいの層をキープする方法は皮脂くずれにも効果大。皮脂過剰になるのは乾燥して肌のバランスが崩れるからなんです。さらに、大人肌には向かない皮脂吸着パウダーに頼らず、4種の植物オイルも配合しました。直前のスキンケアに手がかけられなくても、「トリートメント セラム プライマー」をつけておけば大丈夫。下地そのものの水分も肌内部の水分も中に留まります。

 スックは2016年に下地を定番化するにあたり、「プライマー」と名付けています。プライマーとは、本塗装の前に行う下塗りのこと。とりあえず塗るのではなく肌の準備をし、さまざまな要素で肌の仕上がりを期待できるという意味を込めてこの言葉を使っています。

 朝起きてから夜メークを落とすまで、下地はずっとファンデの下についているものです。だからこそ、さまざまな役割を果たしながら、ケアも含め肌にしなやかに寄り添うものでなくてはいけない。地味なアイテムでもその良し悪しが1日女性の肌を支えることを忘れずに追究していく、そこまでできる大人ブランドがあることが、嬉しいです。

\使い切ってます♡/

テクスチャーが瑞々しく肌にすぐ馴染むので、ついたくさん使いがちですが、小豆大の量で十分効果が出ます(毎日使って約1カ月もちます)。肌トーンに作用する下地にありがちな膜感や、時間がたったあとボロボロ剥がれるようなことはありません。そしてメークを落とした後の肌のげっそり感もなし。皮脂吸着パウダーとパールが一切入っていないのでファンデ自体のツヤを消さず、テカテカしないのもいい。

『JJ』時代から美容を担当。スーパーモデルブーム、日本上陸前のM・A・Cをブレイクさせる。愛ある視点で厳しく化粧品を選ぶ。「コスメは感動!」が信条。

29年間ビューティ担当・編集I

2020年『美ST』1月号掲載 撮影/河野 望 編集・文/石原晶子

美ST